第29話 Game Start!!!
女神、『
「これ、どういう状況?」
騎士の瞳に映る光景は実に歪であった。
本来自分が殺すべき対象である『
そして何故かその庇う女神を
もし仮に女神が『
では何故『
そして挙げ句の果てにはその行動を『
そんな思考が騎士の中に巡りに巡ってとりあえず騎士は質問を投げる。
「何で女神様を殺そうとしてるわけですか最高神さん。『
「はい!?最高神!?」
「チッ、余計な事を」
最高神と呼ばれた『
その一方で女神は今の言葉に心底驚き目を見開いて最高神を見つめながら突如命を助けてくれた騎士に質問をする。
「騎士様。最高神とは……?合計で六人いるのは知っていましたけど私は四人の顔しか把握していなくて……』
「騎士様なんて仰々しい言い方しなくて充分ですよ。俺の名前はセト。その名前で呼んでください」
セトと名乗った騎士は女神の質問に一呼吸置いた
「彼は最高神の一人、デルメア。顔を知らないのは無理もないでしょう。めんどくさがり屋で基本他の神々の前にすら姿を表さない人ですから」
「ベラベラと……少し運に見放され気味だな」
セトの言葉の合間にデルメアと呼ばれた男は不快な顔をさらに歪めて殺気をこれでもかという程強めている。
しかしそんな状況でもセトは解説を止める事なく言葉を続けていく。
「俺も会った事は一度だけです。リューア様と話している所を一度だけね。だからこうして面と向かって話をするのは初めてです。些か話し合いと呼んだ良いのかは微妙ですけどね」
「そうだね、実質殺し合いさ」
セトの一言にデルメアは大袈裟に両腕を広げて言葉を返す。
「厄介な奴に顔を見られたな〜。この事告げ口されたらリューアからそりゃあもう酷い罰を受けるだろうなあ……でもさ、解決策は一つだけあるんだよね」
今の言葉にセトは何かを察したのかそっと剣を構え直す。
その様子を見て女神も大方今目の前にいるデルメアと呼ばれている男が何をしようとしているのかを察し、額に少量の汗を滴らせている。
そして、そんな二人の様子を凶悪な笑みを浮かべながらデルメアはその解決策を提示する。
その解決策は大方この場にいる者の予報通りの結果であった。
「目撃者を殺せばバレることなんてないよね!」
その瞬間、デルメアは大きくその場を踏み込みセトに向かって身体を躍動させた。
────早ッ!!!
間一髪。
ほんの僅かでも反応が遅れていれば今頃セトの身体は生命活動を停止していた事だろう。
セトの構えた剣にはデルメアの強烈な拳が叩きつけられていたのである。
「潔く死んでくれれば即死にしてあげるけど?」
「
セトはとりあえず拳を払い除ける為に剣を大きく振り、その拳の軌道をズラしたがすぐさま第二、第三、そして
度重なる乱撃がスピードをつける事で虚像となり、まるで腕を増やしているかのようにすら見える。
それ程までに早い拳の突き出しに思わずセトは後退りながら向かいくる拳を剣で防御し、その中で止め切れないものは咄嗟の反応で身体をよらし、その拳を何とか防いでいた。
タチが悪い事にその拳の一つ一つには明確な殺意が込められており、剣に当たった振動が確かに手のひらに痛覚となって襲ってくる。
「アンタ、顔とか性格的にナイフとか使ってそうなのに武闘派なんだな」
「いやいや、僕の本職はナイフとかだよ?」
「そりゃタチが悪いな!」
「ていうかもう僕のこと『あんた』呼ばわり?最高神って呼んでよ〜」
セトの必死の煽りも簡単に逆転されてしまいその攻防はあらゆる面でデルメアに有利かと思われる。
そんな様子を見て女神はすぐさまこの状況を打開するべく行動を始める。
「えぇと……『
デルメアは明らかにセトと女神を殺す気である。ならば一旦距離を取るしかないと考え女神は魔力回路を増幅させ、適当な世界へその回路をコネクトさせる。
更に言えばデルメアは『
「さあ、どんな世界であろうと今は逃げましょう!」
女神は身体が思うように動かない『
「ナイス判断だ女神さん!」
セトはその行動を見て一安心したのか安堵の声をたまらずにあげる。
しかし、デルメアの顔は明らかに曇った。
その曇った要因は決して二人が別の世界に逃げる事にではない。
彼は『
更に実力的に女神の命もすぐにその世界にリンクする事で狩りに行くことが出来るのだ。
なら、何故彼は歪んだ顔を露わにしているのか────
────悟られてたか……!
女神の空けた穴に感じた
それは確かな形となってデルメアに危機感を与える。
× ×
天界、何処かの部屋にて────
「リューア様!女神が別の世界に繋がる穴を開けました!」
「よし、魔力回路に強制侵入。そして、行き先を強制的にあのフィールドに移行させるぞ」
× ×
「クッソが!」
デルメアは拳を止めて、すぐに穴に向かうがその進路はすぐに何をしようとしたのかを悟ったセトに道を塞がれた。
「アンタの相手は俺だろ」
「気取るなよ騎士風情」
デルメアは今までで最もドス黒い殺意を撒き散らし、その殺意の矛先をセトに仕向ける。
その行動の合間、世界……否、『
× ×
フィールド上空────
「取り敢えず着地をして辺りの状況を確認しましょう!今は逃げる事が先決です!」
自由落下を続けながら女神は『
────この世界、
明らかに周りの景色が突如としてプツリと切れている。
常人や女神の動体視力ではその景色の確認は出来ないが常人の視力の倍はある『
そしてその違和感は殺意が躍動した事により解消される。
突如、『
その身体に
「心臓を撃ち抜いたつもりなんだけどな。生きてるのか……?」
フィールドの地上にてラックが自由落下を続ける『
「生きてますね、ていうか何で女神と一緒に居るんでしょうか」
そのラックの呟きに何処からともなく
「全員、作戦通りでお願いします。三分稼いで下さい。それじゃあ御武運を祈ります」
「ゲーム、スタートです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます