【明智光秀の真相?】


KAC20225 お題「88歳」

二分で読めます。

信長の暗殺の犯人を語る人物…


~~~~~~~~~~~


「信長の首を届けよ。良いか?

決して失敗は許されぬぞ。」


「御意!」


親方様の部屋を出て自室に戻ると

深くため息をついた。

信長の……

あの信長でしょ?

いやいや無理でしょ!!

だって私は武士でも忍者でもない

しがない僧侶なのに!!


命を大切にって、いつも説法している、

俺に殺生しろだなんて…

そもそも何故、入門したての

俺にそんな重大な任務を任せるのだ?

他にも武闘派で優秀なやつなんて

大勢いるでしょ!

まったくもって意味不明…

親方様はどうかしてるわ!


「はぁーい、ここまでの説明を聞いた上で

皆に問題です。信長の首を狙う武将は数え切れない程いたことでしょう。その中でも誰が一番、打倒信長に燃えていたでしょうか?」


"明智光秀?"

"まさかの豊臣秀吉?"

"徳川もあり得る!"


「んー、みんないい線行ってるけど、在り来たりだな?信長による1571年の比叡山延暦寺焼き討ち事件の話は覚えていますか?自分の敵に味方した僧侶達に難癖をつけ、お前たちは僧侶の癖に修行もしないで我の敵に手を貸すとは何事だ!と無茶苦茶な理由で攻め入ったと言われるあれです。この事から、僧侶達は信長の度重なる傍若無人な振る舞いに振り回され深い恨みを募らせていたのではないか?と先生は思いました。」


”あー確かに”

”なるほどー”

”信長めちゃくちゃだな!”


「はい!ではこの後、この入門したての

僧侶はどう行動したのでしょうか?」


"逃げた!"

"親方様を殺す!"

"普通に信長を伐った。"


「ぶぶー。正解は明智光秀に相談に行った!でした。きっと明智は若い僧侶の話を聞いて


"良くぞ相談に来られた。

拙者も同じ思いであった"


とかなんとか言ったんじゃないかな?

と先生は推測します。そしてこの数日後、

あの日本人なら誰でも聞いた事があるであろう、有名な”本能寺の変”が起こったのであります。比叡山延暦寺の焼き討ちをキッカケに恨みを募らせた僧侶達が、明智光秀を唆したこれこそが、教師生活66年目に辿り着いた答えです!」


"先生?質問いいですか?"


「何でもどうぞ!」


"先生って今いくつ?"


「私の齢(よわい)は、教師生活40年!

おん歳、60歳になりました。」


"はぁーいお爺ちゃん、

先生ごっこは今日はおしまい。

お茶でも飲みましょうねー"


ブチッッッ…


「今見て貰った映像は、認知症を発症しているうちの父親だ。ちなみに自分の中では60歳で止まっているのか、歳を尋ねても60歳としか言わない。実年齢は88歳だがな。長年歴史教師として退職まで務めあげたが辞めてしまってから病が進行してしまい、老人ホームにくる若い実習生を見つけては授業をしているそうだ。こういう場面に遭遇しても、決して否定してはいけない。本人の気が済むまで待つということも難しいが、即座に否定するという事だけはやめておいたほうがいいだろう。これから介護の現場に足を踏み入れようとしている君達も実習先でこの様な場面を、何度も目の当たりにすることになる。認知症というものは、全ての人間に起こり得ることであり、まずは理解を深めていく事が大切だ。この事を頭に入れておくように。よし、今日の授業は終わり!」


キンコンカンコーン♪♪♪♪


さて、次の授業で使う参考映像は…

「聖徳太子は二人いた」

「卑弥呼の恋路」

なんだこれ…凄く気になる…

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