第61話 一人目の女友達とやり直したい
穂波麦と泉サラにはカウントリセット後、それぞれ七回ずつまでで我慢した。
三人で夢中になりすぎて、フィニッシュをどっちで迎えたのかわからなかったことが三回ほどあったが……。
「え、えっとぉ、どっちだっけ。もう麦、わかんないよぉ。んんっ♡」
「ど、どっちでもいいよ! それより、次がアタシかムギムギか、どっちなのかのほうが大事! ちゅっ、んっ♡」
二人の美少女ギャルたちは制服をはだけさせ、半裸で湊に抱きつき、夢中で唇を重ねてきながらそう言ってくれた。
ただ、湊としてはせっかくヤらせてくれる女友達の、どちらで最後を迎えたのかわからないのは、申し訳なかった。
三人でシャワーを浴び、結局はバスルームでもついでにもう一回ずつヤらせてもらい、ようやく湊も落ち着いた。
夜になってから二人のマンションを出て、すぐに引き返して、もう一回ずつヤらせてもらっただけなので、最終的には合計九回ずつだ。
二桁を超えなかったあたり、なんとか湊の自制心は働いたらしい。
なにしろ、いくら時間よりも回数優先の湊でも、それ以上ヤらせてもらっていたら、今日が終わってしまう。
葉月と向き合うためには、日を改めて――というわけにはいかない。
気づけば、もう夕方になっている。
朝に瀬里奈と出会い、身体を楽しませてもらって。
そのあと、穂波と泉の家にずいぶんと長居してしまった。
だが、学校が終わる時間帯まで待つ必要はあったので、ちょうどいいだろう。
湊は自宅マンション――葉月家と同じマンションへと向かっている。
今日、葉月がまっすぐ帰宅するとは限らない。
むしろ、彼女は放課後に遊び歩いてくるほうが多いくらいだ。
湊と遊ぶようになって、外での遊びは減ったとはいえ、葉月は陽キャの女王。
友人との付き合いをおろそかにはできないし、彼女もそれは望まない。
湊も、陽キャの女王である葉月を一番の女友達だと思っている。
マンション前に着くと――
「え?」
湊は、ぴたりと足を止めてしまう。
入り口前に、その葉月が立っていたからだ。
「あれ、葉月。おまえ、なにしてるんだ?」
「湊を待ってた以外に、なにがあんの?」
トゲのある口調だった。
「久しぶり……じゃないのに、なんかそんな気がしちゃうね」
「そ、そうか?」
湊は葉月の前まで歩いて、立ち止まる。
「別に、こんなところで待たなくても。俺に用があるなら、ウチで待っててもよかっただろ?」
会いに行こうとしていた本人が待ち伏せていたのには、正直驚いている。
しかし、湊はなんとか驚きを抑え込んだ。
「あんた、あたしを馬鹿だと思ってんじゃないの?」
「そ、そんなことは」
「湊がいきなり学校休んで、麦もサラも休んでるし。あの二人、意外と学校サボんないからね?」
「そうだったかな……」
湊は、穂波と泉の身体のことは誰よりも知っている――くぱぁまでして見せてもらっているが、学校生活のことはそこまで知らない。
「瑠伽も珍しく大遅刻してたし。まあ、それは湊が黒幕だってすぐわかったけど」
「黒幕って。そんな悪いことみたいな――」
「ハァ?」
「……遅刻させたのは悪いですね、ええ」
「わかればいいの」
そう言うと、葉月はくるりと身を翻して歩き出した。
湊は黙って、彼女についていく。
二人でエレベーターに乗り、上へと向かう。
葉月は湊家があるフロアのボタンを押していた。
「…………」
エレベーター内で二人は黙って突っ立ったままだった。
いつもなら、キスして、スカートの中に手を突っ込んで尻を撫で回すくらいはするのだが。
沈黙が重くて、湊でも軽くスカートをめくってパンツを眺めるくらいしかできない。
今日の葉月は、シンプルな白いパンツだった。
葉月は少し顔を赤くしていたが、あまり気にはしていないらしかった。
エレベーターを下りて、湊家の前へ。
葉月が普通に合鍵を取り出してドアを開けた。
「お邪魔します」
「ああ」
一応、葉月は今でも挨拶くらいはする。
彼女にはもう我が家同然だろうが、最低限の礼儀は忘れていない。
葉月は先を歩いて、湊の部屋に入った。
それから、どさりとベッドに座る。
「ここだったよね。ここで、湊に頼まれて――初めてヤらせてあげたんだっけ」
「そうだったな……」
まだ1年は経っていないが、もう遠い昔のことのようだ。
あのときは、湊も葉月と同じく初めてだった。
シーツに残った赤い痕は今でも鮮やかに記憶している。
「そうそう、あたしだけ確認されてないんだよね。処女ま――」
「だから、それはやめろ!」
「湊、それ言われるのだけは嫌がるよね。つーか、瑠伽から茜も朝日奈ツインズもきっちり確認しといて」
「い、一応、品ってものがな……」
「ちなみに、麦もサラも?」
「ああ、でも泉のほうがはっきり――」
「さらっと答えんなー!」
「……しまった。誘導尋問とか、やってくれるよな」
湊は別にボケたわけではなく、真面目な雰囲気に流されてつい答えてしまった。
これでもう言い逃れはできない。
「はー……とうとう、ウチのこっち側の友達にもヤらせてもらうとか。やっぱ、そうか」
やはり、葉月は湊とギャル友達との関係を疑って、待ち伏せしていたようだ。
「わ、悪い。いつか葉月には話さないといけないとは思ってたが……」
「どうせ、湊が話さなくても麦たちがすぐに話してたって。あいつら、隠し事ができるタイプじゃないもん」
葉月はもう一度、はぁっとため息をつく。
「だから、麦もサラもガチ処女なのは知ってたし。あの二人、友達と遊ぶのと趣味に熱中しすぎて男子に興味なかったんだよね」
「……あの二人、葉月のこと心配してたぞ。元気がないって」
「この際言うけど、それって湊のせいじゃん」
「やっぱ、そうだよなあ……」
葉月は人に責任を押しつけるタイプではないが、今回は特別なのかもしれない。
実際、湊がヤれなくなったことが葉月のローテンションの原因だ。
「つーか、あの二人とはヤれたわけ!?」
「な、なんだ、いきなり。まあ、そういうことだな……」
「ふーん……初めての子ならヤれるってこと? 一番ヤりまくってるあたしには飽きた? もうヤれない?」
じいぃっと睨んでくる葉月。
正確には、ヤれたかどうかが気になって待ち伏せていたのかもしれない。
だが――湊には葉月の疑い、特に後者は心外だった。
「そんなわけあるか! 葉月とは24時間いつでもヤりたいと思ってる!」
「あたしだって、湊にいつでもヤらせたいと思ってるっつーの!」
じいっと見つめ合う二人。
周りから見ればバカップルの会話にしか聞こえないが、二人はごく真剣だ。
「というか……逆なんだよ」
「え?」
「俺は梓に断られて、そのあと葉月だけじゃなくて瀬里奈たちともヤれなくなった」
「……うん」
「梓に受け入れてもらえば、もしかすると元通りになるかもしれないと思ってた……」
湊は、葉月の隣、ベッドに腰掛ける。
「でも、違うって気づいた。俺が初めてヤらせてほしいと思った女友達は葉月なんだ」
「まあ、湊が初めてぶち抜いたのがあたしだよね」
葉月の表現は、ざっくりしすぎている。
「一度途切れたんだよ、女友達に頼んでヤらせてもらうって――当たり前のことが、できなくなっちまった」
「けど、穂波たちとはヤれたんでしょ?」
「初めての相手ならできるみたいだな。葉月たちのことはヤらせてくれる女友達だと思ってる」
「そのとおりじゃん。あたしも瑠伽たちも、いつでも湊にならヤらせてあげるよ?」
「梓のことも、そう思ってた。あいつとは元から仲が良かったし、頼めばヤらせてくれるって。でも、そうじゃなかった」
「……ん? 頼めばヤらせてくれるって信じてる相手とはできなくなったってこと?」
「そう、穂波と泉は頼んでもヤらせてくれるかわからなかったからな」
あんな極上の美少女ギャル二人だ。
ヤらせてくれと頼んで、笑い飛ばされてもなんの不思議もない。
我ながら不思議だったが、ヤらせてくれるかわからない相手に断られても、特にショックはないらしい。
「なんか、ややこしいな。それで、どうすんの? これからは麦たちにヤらせてもらうの? あたしたちはお払い箱ってわけ?」
「だから、違うって! 俺は――」
「俺は、なに?」
「葉月とヤりたい! 瀬里奈とも茜とも朝日ともひぃなともヤりたい! 穂波とも泉とももっとヤりたい! 女友達のみんなにヤらせてほしい!」
「湊……」
葉月は、大きな目を丸くして湊を見つめてくる。
「俺は、葉月たち7人の女友達と8
湊は立ち上がり、葉月の目をまっすぐ見ながらきっぱりと宣言する。
「でも、その前に葉月たちにヤらせてもらえるように、元通りにならなきゃいけない」
「は、8
「もう一度、最初からやり直す。そうだよ、ここが俺と葉月との――女友達との始まりだった」
湊は床に座り、ベッドに腰掛けている葉月に向かって頭を下げる。
「もう一度、始めからやり直させてくれ、葉月。おまえのも初めてだと思って見せてもらう」
「は、初めてじゃないから、なにもないけど?」
「それでもいい、ここから再スタートにしたいんだ」
「じゃ、じゃあ、湊……」
「ああ、もう一回、お願いさせてくれ」
湊はさらに頭を下げ――
「葉月のパンツを見せてくれ! おっぱいも揉みたいし、吸いたいし、スカートの中にも手を突っ込みたい!」
「な、なんか今さら感が凄すぎるんだけど?」
「俺もわかっちゃいるが、こうしないと前に進めないんだよ」
そして、湊は大きく息を吸い込んで――
いつか彼女に必死に頼み込んだ、あのときの台詞を繰り返す。
「頼む、葉月! 一回でいいから――ヤらせてくれ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます