第56話 女友達はゲーム感覚でヤらせてくれる

「し、しまった! せっかくじっくり貯め込んでたのに、あんまり気持ちよすぎて全部出し切っちまった!」


「あはははは、ミナミナ、まだまだ甘いね! そんな一気にどぴゅぴゅってイっちゃダメダメ! もっとゆっくり、相手がこれでイくってタイミングでどばっと出しちゃわないと!」


「くっそ……もう一回だ、もう一回! まだまだいくらでもやれるからな!」

「はっはっは、いくらでもどうぞ! アタシなら今夜は何回でも付き合えるから! やぁんっ、ミナミナがいっぱい出しすぎるから、こぼれちゃってるじゃん!」


「……なんか、会話だけ聞いてるといかがわしいねぇ♡」


 泉サラが働いている同人ゲーム会社のオフィス。


 オフィスは教室の半分ほどの広さ。

 湊と泉、それに穂波麦はオフィスの隅にある応接スペースにいる。


 主に外部との打ち合わせや、“商品”のプレゼンに使うらしい。

 ソファとテーブルに、50インチの液晶TVが置かれている。


 TVにはゲーム機とデスクトップPCが繋がっていて、画面に表示されているのは泉たちが開発した同人ゲームだ。


「なんつったっけ? えーと、“金狼の森”だっけ?」

「まだ仮称だけどね! ウチみたいな弱小だと、もっとタイトルで目立たないと売り上げ出なくてスタッフ全員路頭に迷って涙目になっちゃうからさ!」


「まあ、悪いタイトルじゃないが、確かに目立たないかもな……」


 湊は、泉たちの同人ゲームのテストプレイをさせてもらっているところだ。


 ジャンルは、横スクロール2Dアクション。

 操作キャラクターは長い金髪の美少女で、ハーフで金髪の泉にどことなく似ている。


 金髪美少女のメイン武器は弓矢で、次々現われるモンスターを倒しながら進んでいく。


 さらに、ステージ途中で獲れる“マナ”を貯め込んでいくと強力な一撃が放てる。

 マナの一撃は任意で発動可能だが、調子に乗って適当なところで射ると、強いモンスターとの戦闘で苦労することになる。


 大型モンスターはHPが減るほど強くなるので、ある程度HPを削ったところで放つのがコツらしい。


 弱いモンスターをマナの一撃で倒すと、モンスターが破裂して毒の体液がこぼれ出すという罠もある。


 シンプルな横スクロールゲーに見えて、意外に奥深いゲームになっている。


 仮にもゲーマーの湊としては血が騒ぐゲームだった。


「しかし、よくこんなのつくったなあ」

「エンジンはフリーで配布されてるヤツだからね。さすがにゲームをゼロからつくるのは無理かな。ウチはグラフィッカー二人とプログラム一人の小世帯だからね!」


「泉を含めて四人ってことか?」

「そうそう、内部メンバーは四人だね! シナリオとかイラスト、音楽とかは外注にしてる! 内部に抱えるとコストかかるからね! 同人ゲーだと一人でぜーんぶ作ってるところだってあるから、まだ多いくらいだよ!」


「へぇー」


 湊は基本的に商業ゲームしか遊ばない。

 永遠に終わらないようなスタッフクレジットを見ているので、ゲーム制作はとんでもない大規模プロジェクトだという印象が強い。


 しかし、こういう狭いオフィスでわずかな人数でつくっているメーカーも多いのだろう。


「ほら、あそこに写真あるじゃん? あれが旗揚げの日にみんなで撮った写真だよ!」

「ああ、あの子たちが」


 すべてのデスクに同じ写真が飾られている。

 四人のJKが一緒に写っている写真だ。


 真ん中は泉で、セーラーやブレザー、私服の少女三人が並んでいる。

 泉は派手だが、あとの三人は割とおとなしそうだ。

 眼鏡をかけている子もいる。


 だが――どういうわけか、全員がかなりハイレベルな美少女ばかりだ。


「……顔で選んだのか?」

「まっさかー! ネットで知り合ったんだもん、最初は顔なんて知らなかったよ!」


「けど、レイヤーとか声優目指してる子もいるんでしょぉ? ゲームも好きだけど、アニメも好きだからいろいろやりたい、みたいなぁ」

「そうそう、声優志望の子にはボイスも入れてもらってるんだよね!」


 どうやら、この会社は濃い目のメンツが集まっているらしい。


「あっ、アタシは一応代表兼ディレクター兼雑用かな! ディレクターって言っても、どちらかというと命令される側だね!」


「それにしたって……まだ高校生でゲーム開発してんのは凄ぇな」

「そんなヤツいっぱいいるって! というか、ウチは恵まれてるほうだからね!」

「どういうことだ?」


 湊はゲームを操作しているので、泉のほうを見られない。


「麦とサララの親はどちらもゲーム会社勤務なんだよぉ。会社の方針で同人ゲーにも援助してるトコで、サララは親のコネで援助してもらってるってわけぇ」

「ムギムギだって、ゲーム配信するために家を出させてもらってるじゃーん! アタシら見事に親のスネかじって生きてますっ!」


「ま、まあ、いいんじゃないか? まだ高校生なんだし」


 ゲーム好きの湊としては、開発に携われることは羨ましい。

 裏アカ配信を企んでいる穂波ですら、ゲームに仕事として関わることを考えているようだ。


 二人がルームシェアしている理由もわかってきた。

 親は娘たちが仕事をしやすいように、二人で住ませてくれているのだろう。


 それから、湊はまたゲームにチャレンジするも、あっさり途中でゲームオーバーになってしまう。


「はー、ダメだ! これマジでクリアできるのか?」

「アタシらはできるけど。難易度調整はまだ先だからね。まあ、ゲーマーのミナミナの意見は参考になるよ! あんがと!」


「そりゃどうも……あ、穂波、ちょっともう一回ヤっていいか?」

「今ぁ!? ここに来て玄関で一回、サララがゲームの準備してくれてる間にお口でも一回ヤらせてあげたのにぃ!」


「えっ、あんたらそんなことしてたん? ミナミナが楽しめるステージを選んで、いろいろ調整してあげてた後ろでなにやってんの……あはははははっ!」


 泉は呆れていたかと思うと、いきなり笑い出す。

 陽キャというより、情緒不安定な感もある。


「ヤ、ヤらせるのはいいんだけどさぁ」

「なんだ?」


 穂波は口を尖らせて、すねている。


「もぉー、さっきもお願いされたからせっかくお口で楽しませてあげてたのにぃ。もういいとか言われて、麦ちゃんは傷ついたよぉ」

「わ、悪い。でも、穂波の口、気持ちよすぎてゲームに集中できねぇし」


 実はこの同人ゲームを遊びつつ、穂波の口も味わわせてもらっていたのだ。

 ただ、本当に穂波が夢中になってヤってくるので、さすがに集中できなかった。


「そうそう、アタシらのゲームはぺろぺろちゅっちゅされながらクリアできるほど生易しいもんじゃないから!」


「ぺろぺろって……でもこのゲーム、売りたいなら、もっと簡単なのがいいんじゃないか?」


「いやいや、難易度低いゲームが万人受けするって考えるのは浅はか! 今、同人ゲーを遊ぶ人たちは歯ごたえを求めてるんだよ!」


「そういうもんか……まあ、俺もどっちかっつーとムズいゲームのほうが好きだしな」


「ファンスレやってんだよね? アオアオから聞いたよ!」

「全然ゲームに興味なかった葵がファンスレ始めたの、みなっちの影響だって聞いたよぉ」

「あれ、そうだったか? 葉月から教えてくれって言われたんじゃなかったか……」


 だいぶ前のことなので、湊も記憶がはっきりしない。


「なんにしてもさ、なんにしてもさ! アオアオが一緒にゲーム遊んでくれたのがすっげー嬉しくて! みなっちのおかげだよね!」

「べ、別にそれほどのことでは……」

「いやあ、よくやったよ! 前に一緒に遊んでた頃は、なんかおっとなしいヤツやなあって思ってたけど、いい仕事してくれたね!」


 予想通りとはいえ、泉はグイグイ来すぎていて、湊も圧倒されてしまう。


「良い仕事の報酬をあげようとは思ってたんだよ! ムギムギが、アオアオのためになんか配信で良い物見せるっていうから! アタシはどうしようかと思ってたんだよね!」


「えっ、じゃあ泉もヤらせてくれるっていうのは――」


「もちろん、そんだけじゃないんだけど! あ、ちょい待ち!」


 泉は、応接スペースのテーブルに置かれていたタブレットを持ち上げる。


「えーと、ほらこの絵! 外注のイラストレーターさんに描いてもらった主人公キャラのキャラデザなんだけど!」


「めちゃめちゃ泉に似てんな」


 ドット絵でも泉に似ていたが、カラーイラストで見ると余計にそっくりだ。


「あはは、イラストレーターさんと打ち合わせしてたら、アタシをモデルにしたいって言い出しちゃって!」

「いいんじゃないか? 安直だけど美少女キャラはテッパンだしなあ」


「そこなんだよ」


 すっ――と、唐突に泉の声のボリュームが下がる。

 正直、湊もやかましいと思っていたので助かった。


「このイラストは良いし、ウチのグラフィッカーちゃんが描いてくれたドット絵もラブリィなんだけど、まだちょっと物足りない気がして」

「そうか? 本当にかなり良いデキだと思うけどな」


 金髪美少女がひらひらしたドレスを着ているグラフィックだ。

 ドット絵だが、可愛さがよく伝わってくる。


「これだけじゃダメなんだよね……なんというか、エロさが足りない」

「エロさ、必要か!?」


 湊もゲームの美少女キャラに興奮することはある。


 アクションゲームでミニスカートの美少女が操作できれば、なんとかパンツが見えないかとアングルやポーズを動かしまくったりする。


 実際は、あまりよく見えないことが多いが。


 自宅から二つ上のフロアに、いつでもパンツを見せてくれる女友達がいなかったらヤバかった。

 悔しい思いを、葉月のパンツを好きなだけ眺め回すことで晴らしている。


 その葉月は、スカートをめくってパンツを見せつけてくれつつ――


「ゲームのパンツなんか見てないで、あたしのを見に来りゃいいのに」


 と苦笑しているが。


「あからさまなエロじゃなくていいんだよ。そうだなあ……色気って言い換えてもいいかな」

「まあ、わからんでもないが……」


「そこで、これだよ!」

「え?」


 泉はタブレットをまた操作して、今度は写真アプリを表示してきた。

 そこには、さっき撮影した穂波の配信用のエロ動画のサムネが映っている。


「そういや、撮影データは穂波のクラウドに放り込んだんだっけ」

「アタシ、ムギムギとクラウド共有してるから」

「へぇ」


「めちゃめちゃエロいやん、ムギムギとミナミナの動画! サムネだけでもエロすぎる!」

「そ、そうかな」

「やぁーん、恥っずぃ♡」


 さすがに穂波も顔を赤くしている。

 友人に、自分の恥ずかしい動画を見せるのは照れるのだろう。


「アタシもね、自分のこういう恥っずい画を撮りたいんだよ! それをイラストレーターさんとグラフィッカーちゃんに見せて、デザインをエロくブラッシュアップしたい!」


「つまり、その恥ずかしい写真を俺に撮れと……?」

「そのとおり! なんとかアタシに協力してほしいんだよ!」


 泉はそう言うと、ソファの上に座り、ミニスカートをすぅっと持ち上げて。

 ちらり、と白のパンツがかすかに覗いている。


「そ、そのためなら……パンツくらい見せてもいいし……パンツ見られてるアタシを撮ってほしいし……」

「あ、撮影は麦がやるよぉ。みなっちは頑張って、サララにエッチな顔をさせちゃって♡」


「そ、そりゃ……泉のパンツは見たいし、ブラジャー外してそのロリ巨乳も拝みたいし……」

「ロ、ロリ巨乳……」


 泉は恥ずかしそうに、自分の大きく盛り上がった胸を見ている。


「それに――泉にもヤらせてほしい! まずは五回くらいヤったあとで、3ピーでも五回くらいヤらせてくれ!」

「サララと七回――じゃない、十二回くらいヤったんじゃないの!?」


「泉みたいな可愛い子がいれば、すぐに回復するに決まってるだろ」

「そ、そういうものなん?」


「男なら当然だな。で――もう一つ、泉にはお願いがある」

「はい?」


「もしも、ここのスタッフの女の子たちとも友達になれたら――ヤらせてもらってもいいだろうか?」

「えっ、ええぇっ!?」

「すっげー、みなっち、どこまでヤりたがるのぉ!?」


 もちろん、泉が許可することではないが、先に話を通しておくのが筋だろう。


「とはいえ、それは明日以降の話だしな」

「早ければ明日にでもウチの子たちにもヤらせてもらうの!?」


 さすがにそれが無理なのは、湊にもわかっている。

 だが、ヤらせてほしいという意思をまず示しただけだ。


 あんな可愛い子たちとなら友達になりたいし、頼み込んでヤらせてもらいたい。

 ただ、それだけのことだ。


「まずは、泉――ヤらせてくれ! あ、いきなり3ピーでもいいかもしれない。そうするか?」

「麦はいいよぉ!」


「ア、アタシ、初体験が3ピーになるの!?」


 泉は戸惑いつつも――


「い、いいけど、ムギムギはちゃんとアタシのエロいとこも撮って! あと、ミナミナは――アタシのエロいとこ、いっぱい撮れるように何回でもヤってよ!」

「言われなくても、二桁はいくに決まってるだろ!」


 話がまとまったなら、あとはするべきことは決まっている。


 まずは、この金髪ハーフ美少女の白いパンツをたっぷりと見せてもらうことからだ。

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