第32話 四人目の女友達は誰なのか

 四人目の女友達――


 湊には高校に上がって、葉月と友人になるまで女友達など一人もいなかったのに、ずいぶん増えたものだ。


 梓という“五番目に可愛い”女子とも仲良くなったが、友人とまでは言えない関係なので、カウント外だ。


「葉月は“まだ増やす気か、この野郎”みたいな感じだけど、そんなこと言われてもな」


「んくっ♡ は、葉月さんは……“一人目”ってところにこだわりもあるみたいだしね……やぁんっ♡」


 昼休み、例の空き教室――


「だよな。だいたい四人目ができたってなあ」

「こ、こんな風に……おっぱい吸わせてくれるとは限らないわよね」


「そ、そういうことじゃなくてな」

「そこ、大事なところでしょ……あん♡」


 椅子に座った湊は、茜を机に座らせ、ブラウスをはだけさせて――

 ジュニア用のブラジャーをめくり上げ、味わわせてもらっている。


「は、はうっ……ミナ、一回済ませたばかりなのに……んんっ♡ 強く吸いすぎよ……あんっ♡」


「いや、昨日は茜のは吸えなかったし。やっぱ一日空くと、もう吸いたくて吸いたくて」


「そんな禁断症状みたいな……きゃっ、歯でコリコリしないで……!♡」


「あー、やっぱ美味いなあ……こんなの、一日吸えないなんて拷問だろ」

「そんな禁断症状出るようなヤバいものじゃないでしょ……んっ♡ お昼休み、もうすぐ終わる、わよ……ああんっ♡」

「今日の放課後は、また忙しいんだろ? 吸えるうちに、たっぷり吸わせてもらいたい」


「そ、そうね……ギリギリまで吸ってていいわよ……んんっ♡」

「ああ、昼休みだと一回ヤらせてもらうのが精一杯だからなあ。二回ヤると、オーバーしそうになるし」


「一応、生徒会役員だから、遅刻はあまりよろしくないのよね……んっ♡ ど、どうしてもっていうなら、二回でも……いいけどね♡」

「もう少し時間配分を考えるかー」


 湊はじっくり味わわせてもらって――


「早く暇になって、毎日三回は茜にヤらせてもらいたい……葉月も瀬里奈も最高だけど、やっぱ茜のちっこい身体もすげーいいからなあ」


「そ、そんなに良いの……? んっ、それでもまだ四人目がほしいなんて……贅沢すぎるわね、あああんっ♡」


 茜が、びくびくっと身体を震わせて――ぐたっと力が抜けてしまう。


「は、はぁ……四人目にも、こんなことするのかしら……?」

「茜もけっこう気にしてるな」


「だ、だって……四人目ができたら、一人分の回数が減るんじゃないかしら? ただでさえ、わたしとセリは少し機会が減ってるし……」

「沙由香は、5月になれば落ち着くんじゃないか?」


「少しはね……でも、生徒会は9月まであるし、なんだかんだで仕事はあるのよ」

「そうか……この美味しい乳首、味わえるときにたっぷり吸っておかないとなあ」


「そ、そうしてるじゃない……! 長くもない昼休みに、慌ただしくヤって、しゃぶって、吸ってるくせに……♡」


「最近、瀬里奈はこの空き教室使ってないな。そうは言っても、瀬里奈は週3、4回はヤれてるから、茜に譲ってるんだろうな」


「それはありがたいわね……持つべきものは幼なじみ、だわ……んんっ♡」


 また湊にしつこく乳首を吸われて、茜は気持ちよさそうにあえぐ。


「い、いえ、わたしの話はいいのよ。四人目……のことだったわね」

「四人目か……そうは言うけどな」


 はむっ、と湊はまたむしゃぶりつくようにして――


「まだ、一度も会ったことねぇからな」


「……そうだった、わね」


 胸をたっぷりとしゃぶられ、茜は恥ずかしそうにしながらも頷く。

 茜の可愛らしいおっぱいの味わいが最高なのはともかく――


 そう、実は湊は“四人目の女友達”とは一度も会ったことがない。


「レジェンディス……だったわね。ゲームで知り合ったのよね」


「ディスコでは毎日通話してるけど、顔は知らないし――本名すら知らないからな」


 湊は、茜の小さな乳首をイジりつつ苦笑する。


 四人目は――ネットで知り合った友達だ。


「ま、まあ……進歩かもね。セリは葉月さんの友達だし、わたしはセリの友達だし。一人目、二人目を踏み台にして三人目までゲットして――今度は葉月さん以来、自力で友達になったんだものね」


「踏み台って人聞きの悪い。あ、キスもしたい」

「す、好きに楽しんで……んっ、ちゅっ……♡」


 湊は、茜と唇を重ねる。

 ちゅばちゅばと唇全体をしゃぶるようにして味わい、舌をたっぷり絡めて――


「はぁ……♡ 君も忙しい人ね。毎日、葉月さんとセリにあれだけヤらせてもらってるのに、ゲームもしっかり遊んでるんだもの」


「葉月も陽キャ仲間と遊んでるし、1年のときから瀬里奈と茜だって毎日ヤらせてもらってたわけじゃないからな」


 意外と、ゲームを遊ぶ時間はあったのだ。


 それに、リアルの友達と遊ぶのと同じくらい、ネットでの遊びもゲーマーには重要だ。


 湊が、もっともよく遊んでいるFPSゲーム、“レジェンディス”。


 PC版がメインのプラットフォームだが、年明けに家庭用ゲーム機“シュオッチ”版が配信された。


 ハードが違っていても一緒にオンライン上で遊べるクロスプレイも可能だが、シュオッチ版のみでの対戦もできる。


 なんとなくシュオッチ版を始めただけだが、意外に楽しかった。


 湊には、家庭用ゲーム機のコントローラーで遊ぶのも新鮮で面白かった。

 いつもはキーボードとマウスで操作していたので、操作感がまるで違うのが逆に良かったのだ。


 そういえば、この前の夢でレジェンディスをコントローラーで遊んでいたが、あれも現実を反映していたと言える。


 明らかにニュービーも多くて、彼らの意外な動きを見るのも楽しい。


 そして――シュオッチ版のみに実装されている“ツーマンセル”モード。

 その名のとおり、二人1組で戦う。


 アサルトライフルやサブマシンガンを使う“前衛”と、機関銃や狙撃銃を使う“後衛”に分かれて、広いステージに30組が放り込まれて最後の1組になるまで続く。


「最初は、瀬里奈と組んでやってたんだけどな。でも、あいつゲームは上手いけどガチじゃねぇし、あまり付き合わせるのも悪いし」


「ゲームやるくらいなら、ヤらせてもらったほうがいいしね……?」

「ま、まあな」


 隣で瀬里奈が「きゃっ」「ああんっ」などと叫びながらゲームをしていると、ついムラムラしてしまう。


 さっさと切り上げて、ヤりたくなってしまうのでゲームにならなかったのだ。


「ずっと野良で遊んでたんだが、たまに上手く戦えた相方とはフレになったり、ディスコ繋いだりするようになってな」

「まあ、普通のことね」


 茜はゲームをやらないようだが、ゲームを通じて友達になるくらいは当然のこととして受け入れている。

 湊にも、知らない人とネットで遊ぶようになるのは珍しくない。


「“サンライザー”って女子ゲーマーと仲良くなったのは、1年の冬休みだったな」

「ふーん、変な名前ね」

「プレイヤーネームじゃ普通なほうだろ」


 ちなみに、湊は本名を逆にしただけの“トナミ”。

 瀬里奈は“るっかちゃん”だ。


 瀬里奈がプレイヤーネームを明らかにしたときの照れた顔は、今思い出しても最高に可愛かった。


 その照れ顔だけで興奮しすぎた湊は――


「せ、瀬里奈。ちょっと一回だけ、今ヤらせてもらっていいか?」

「え、い、今ですか……いいですけど、ゲームは……」


「回線が切れたと思おう。戦闘中じゃないし、問題ないだろ」

「そ、そうですね……でも、今はあまり顔見ないでください。プレイヤーネーム、人に教えるのってなんだか照れくさいですね……」


「その照れてるのがいいんだよ。あ、やっぱ二回いいか?」

「え、ええ……二回なら、また少しゲームやる時間も残りますし……どうぞ、私を使ってください……♡」


 ゲームを切り上げて、すぐに瀬里奈に三回ほどヤらせてもらったものだった。

 結局、回数が増えるのはいつものこと。


 もちろん、その日はゲームどころではなく、ひたすら瀬里奈に楽しませてもらったわけだ。


 そんなことも前にあって――


「まだ瀬里奈もツーマンセルやってて、俺と瀬里奈、サンライザーでよくディスコ通話してたんだよな。三人なんで、一人余ってたが」

「セリは飽きてやめちゃってたわね」


「しゃーない、瀬里奈は腕前はガチ勢だが、家庭用ゲーム機にはあんま興味ねぇし」


 瀬里奈は優しいので、飽きても付き合ってくれただろうが、彼女に余計な時間を使わせるのも悪い。


 湊は、サンライザーと二人で通話しつつツーマンセルを楽しむようになった。


「サンライザー、上手いんだよな。俺は前衛オンリーなんだが、あいつ前衛も後衛もどっちもこなせて。俺がたまに不慣れな後衛やっても、あいつは前衛しっかりやってくれたんで、ランクもガンガン上げられたし」


「ずいぶん気が合ったようね」

 じーっ、と茜がジト目で睨んでくる。


「い、いや、ゲームで一緒に遊んでるだけなんだから、いいだろ」

 まるで浮気を責められているようだ。


「ディスコ通話してたの、サンライザーだけでもないしな。ツーマンセルは他のタッグと協力することもあるし、えーと……“HAL”と“ふっゆ”って二人組ともたまに話してたぞ。あいつら、息が合ってて上手かったなあ」


「君とサンライザーも息がぴったりだって、セリから聞いたわよ」


「ま、まあ……1月から今日まで、丸々3ヶ月、ほぼ毎日やってるからなあ」


 1日に1~2時間程度だが、それだけ毎日ゲームして通話していれば、もう“友達”だろう。


「しかもサンライザーって、この近くに住んでるんでしょう? ネットで知り合った女子の住所を聞き出すなんて、たいしたものだわ」

「あ、いや、ちょっと待て」


「出会い厨とか直結厨とか言うんだったかしら?」

「さ、最近はあまり聞かないな。つーか、俺が聞き出したんじゃないぞ」


 茜がジト目を向けてきて、湊は慌てて説明する。

 相手が女子ゲーマーだからといって、がっついて情報を聞き出したと思われては困る。


「まだ瀬里奈が遊んでた頃に、あいつがぽろっと住所を言っちゃってな。全部は言わなかったけどな……あいつはネットで通話するのに向いてないな」


「セリは頭はいいのに、隙だらけだものね……」


「サンライザーのほうも、それ聞いて“私もその近く!”とか言ったんだよな。あっちもネットじゃ危なっかしい」


 湊は、サンライザーの素性はほとんど知らない。


 近くに住んでいて、声の調子から若い女性だろうと推測できる程度だ。

 歳があまり変わらなそうなので、最近ではすっかりタメ口になっている。


「ま、友達っつっても、ほとんどなにも知らないし。一緒にゲームが楽しく遊べりゃ、それでいい」


「なるほど、わたしたちと同じで遊びの関係ってわけね」

「語弊が……いや、歳もわからねぇし、中学生かもしれないし、人妻かもしれない」

「余計にドキドキしそうね」

「おい」


「年下なら特に問題ないでしょ。わたしなんて、見た目は小学生だし」

「あのなあ……見た目はともかく、中身はちゃんと高校生だろ」


「わたしの中身も……たっぷり味わったものね?」

「だから、言い方が……っつーか」

「な、なに? きゃっ♡」


 湊は椅子から立ち上がり、茜の小さな身体を抱き上げた。


「悪い、なんか中身とか言ってたら、もう一回ヤりたくなってきた……すぐ済ませるから、もう一回だけ……いいか?」

「……そんなことだろうと思ったわ。放課後はヤらせてあげられないし……い、いいわよ。次も着けなくても……」

「悪い、助かる」


「そ、そうだわ……セリから聞いたわよ、ミナの夢の話」

「え? 瀬里奈、わざわざそんな話をしたのか。くだらない夢だよな、忘れてくれ」


 湊は苦笑してしまう。


「んんっ♡ だ、だからそんなにされたら、よすぎて……んっ♡……わ、わたしが生徒会長と付き合ったって?」


「いやー、生徒会長が女子だって、すっかり忘れてたよ」


「ウチの会長、自分でも言ってるけど、影が薄いのよ……んっ♡ でも、わたしと同じ1年で役員――それも会長になったんだから実務は優秀なのよ」


「あー、そういや普通は2年が会長になるのに1年でなったんだよな」

 その話は、湊もうっすらと記憶にあった。


「そ、そうよ……ちょっと、時間がないんだから、いつまでも乳首吸ってないで……ヤ、ヤっていいから……」

「ああ、そうだったな」


 急いで済ませてしまわないと、次の授業に間に合わない。


「なんか、眼鏡で三つ編みで、キャラつくってんじゃねーかって感じの人だったよな」

「べ、別にキャラじゃないわよ……のんびりした人ってだけ。んっ、もうっ、じらさないで……意地が悪いわ♡」

「悪い、悪い」


「ああ、忘れてたわ。1年のとき、何度か生徒会の仕事、セリと一緒に手伝ってくれたわよね。会長がお礼を言いたいって言ってたけど、忘れてそのままになってたわ」

「けっこう前の話だな」


「思い出したことだし、今度ミナとセリを生徒会室に案内するわ。そのときに、会ってみて。いい人よ、朝日奈あさひな会長は」

「そりゃ楽しみだ。でも今は――沙由香を楽しむのが楽しみだ」

「たっぷり……わたしも楽しませてね♡」


 湊は頷いて、茜の尻を掴んでまた持ち上げた。

 昼休みが終わるまで数分――この気持ちいい身体を、たったそれだけしか楽しめないのが残念だ。



 放課後――

 今日は、葉月は陽キャ連中と遊びに行って、瀬里奈は予備校だ。

 茜は生徒会の仕事が忙しいようだ。


 今日はまだ、朝日奈会長には会わせてもらえないらしい。

 湊は、一人で帰り道を歩きながら、なんとなく会長を思い出してみる。


「んー? どんなんだっけ……」


 先日の始業式でも壇上でスピーチしていたが、あまり覚えていない。

 記憶にあるのは、よく通るいい声をしていた、というくらいだ。


 どことなく、聞き覚えのある声でもあったが――前にも何度もスピーチを聞いているから、覚えがあって当然だ。

 ただ、クラスも違うし、おそらく話したことは一度もない。


「ま、いいか。今日はサンライザーがINしてるといいな」


 湊は生徒会長のことを思い出すのはあきらめ、今日は夜までゲームを楽しもうと決めた。


 放課後のお楽しみがないのは辛いが――

 葉月も夜までには帰ってくるから、今夜も四、五回はヤらせてもらえばいい。


「ん?」

 葉月との夜を想像して、浮かれた足取りで歩いていると――

 スマホにメッセージが着信した。


「あれ、サンライザーから?」


 あまり彼女のほうからメッセージを送ってくることはない。

 ただ、ちょうど連絡しようとは思っていたのでちょうどいいとも言える。

 メッセージを確認すると――

「え!?」


《そろそろ、いっぺん会ってみない? 話しときたいこともあるしさ》

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