第8話 女友達の胸と取引する(改)

「んっ……ひ、火がついてる! こ、これってどうすればいいの?」

「ああ、身体に火がついたときは何度も前転するんだよ。三回でいい」

「そ、そうなんだ。おっ、消えたっ」


 本日の放課後のたまり場は、みなと家――

 葉月はカチャカチャとゲーム機を操作中だ。

 画面の中では、葉月が操るキャラが巨大なモンスターと戦っている。


 家庭用ゲーム機の“シュオッチ”で発売された新作、『ファンタジースレイヤー』略してファンスレだ。

 シュオッチは据え置き型と携帯型の二種類があり、葉月が使っているのは携帯型だ。


「うわっ、吹っ飛ばされた……んんっ……! ちょ、ちょっと……!」

「慌てずに回復すればいい。ほら、モンスターさん、相棒のほうにちょっかいかけてる」

「そ、そっか……やんっ……!」


 時折変な声を出しながらも、葉月は慣れないゲーム操作をなんとかこなしている。

 ファンスレのシリーズ最新作はつい数日前に発売されたばかり。

 もちろん、葉月は過去作を遊んだことも一度もない。


「これ、マジでむずい……レジェンディスのほうが簡単じゃない?」

「あれはPvP……対人戦だからな。こっちはモンスターとのバトルだから別物だよ」

「人のほうがめんどくさいって……あんっ……こと?」


「基本的にはそうだな。モンスターの動きはパターンが決まってるが、人間はどう動くか想像つかねぇだろ」

「そ、そういうもんなんだ……ぎゃっ、なに! あんな連続でドツいてくるの反則じゃない!?」


「一撃目をくらわないようにするんだよ。ほら、また来るぞ」

「ぎゃー、死ぬ死ぬーっ……あああんっ!」

「あー……乙ったな。まあ、まだ1乙だ。もう一回いけ」

「い、行くけど……その前に!」

 くわっ、と葉月が目を見開いて俺を睨んでくる。


「その手! もうちょっと遠慮しろーっ!」

「そう言われても……」


 湊は、葉月の背中に密着する形で座っている。

 葉月は湊にもたれるようにしているが、湊が後ろから伸ばした手が、彼女の胸をぐにぐにと揉んでいる。


「俺がファンスレを教える代わりに、葉月は胸を揉んでいいっつっただろ」

「い、言ったけど……教えながら揉まなくてもいいでしょ! ゲーム終わったら好きなだけ揉んでいいから!」

「好きなだけって……」


 今日は“お願い”ではなく、“取引”で葉月のおっぱいを揉んでいるのだ。

 だからといって、好きなだけ揉ませてもらえるとは湊も思っていなかった。


 ファンスレは有名作品なので、湊は過去作をプレイ済みだ。

 教えることは問題ないが――

 あとで葉月の気が変わっては困るので、ゲームを教えるのと同時に、揉ませてもらっている。


「しかし、マジでデカいよな、この胸……」

「なによ、今さら。この前、あたしに必死に頼み込んでFカップだってバラさせたくせに。あたしだって、カップ数教えるなんて……は、恥ずかしいんだから」

「いや、これはどんだけデカいのか、具体的なサイズを知りたくなるだろ」


 この女友達の胸は、予想以上のサイズだった。

 先日、瀬里奈瑠伽が葉月家に遊びに来た日に、この友人の胸を見せてもらい、揉ませてもらってから。

 湊は何度となくお願いして、手に収まらないこのおっぱいを楽しませてもらっている。


「ああっ、これじゃゲームにならない!」

「つっても、おまえのグループでファンスレ流行ってんだろ?」

「そうなんだよね……普段みんなゲームしないくせに、いきなり流行りだしたんだよね」


 葉月は流行に乗っかるために、わざわざ携帯型シュオッチを買ったのだ。

 湊も、葉月グループが休み時間にファンスレで盛り上がってるところを何度も見ている。


「どうせ、みんなすぐに飽きるんじゃね?」

「飽きるっていっても、こういうブームって2週間とかそこらは続くんだよ。あたしがやらないとシラけるって言われちゃったし」

「それはそうだろうな」


 葉月はグループのリーダーだ。

 彼女が遊ばなかったら、他のメンバーは盛り上がれないだろう。


「悪かった、葉月。ちゃんと教えるよ。胸は後回しで」

「……ま、まあ優しく揉むくらいなら……いいよ?」

「いいのかよ」


 だが、これだけの魅力的なおっぱいを優しくなど、不可能に近い。

 夢中になって揉んでしまう。


「いや、しばらくゲームに集中しよう。俺も新作のほうはまだ手探りのところもあるし、真剣に教えないと」

「そ、そう?」


 湊の目には、少しばかり葉月が残念そうに見えた。

 今度は、湊は葉月の横に座って真面目にゲーム操作を教えて――

 2時間も経つと、序盤のモンスターくらいは狩れるようになってきた。


「はぁーっ、今日はもうここまで! こんだけできりゃ、みんなについていけるでしょ」

「そうだな。教室でちらっと見た感じ、みんな初心者だったしな」

 基礎さえできるようになれば、葉月グループの連中よりは上手くプレイできるはずだ。


「六時か……もう疲れた!」

 葉月は、どさっと湊のベッドに横になる。


 カーディガンとブラは脱いだままで、白ブラウスだけ着直している。

 横になったと同時に、Fカップのおっぱいがぷるるんと弾んだ。


「あ、おっぱいだっけ……ああ、もう好きにしていいよ。いっぱい教わったし」

「……寝転がると、横に流れるもんなんだな」

「なに感心してんの、ばーか」

 葉月は顔を赤くして、大きな二つのふくらみを上で押さえる。


「あたしのおっぱい、こんだけ大きんだから、そりゃ横に流れるよ。地球には重力ってもんがあるんだから」

「ふーん……そういうもんか」


「そういうもんって、見たとおりでしょ」

「俺が知ってるおっぱいは、葉月のだけだからな。他の女子がどうなのかってな」


「人の胸、好きなだけ揉んどいて、よくまあ他の女子の話を……あっ、もしかして瀬里奈のおっぱいも、揉んだりしたいの?」

「したくてもできねーだろ。ブルマのはみパン目撃だけでも、奇跡みたいなもんだよ」


「やっすい奇跡だなあ……そういや、瀬里奈とはあれ以来、なにもないの?」

「あるわけねーだろ。瀬里奈さんって別次元の住人だしな」


 それを言ったら、湊にとってはカーストトップの葉月もまるで次元が違う相手だ。


 だが、今は葉月のパンチラどころか、大きくふくらんだ形のいい胸とピンクの可愛い乳首を拝みむどこか、揉んで楽しむことさえできる。


 もちろん、この奇跡を瀬里奈のような清楚な美少女にまで望むことはない。


「はー……なんか、ゲームより疲れた……ていうか、ゲームで覚えたこと、頭から吹っ飛んだ」

「また最初から教え直しかよ」


 二人は、湊のベッドに並んで横になっている。

 シングルベッドなので狭いが、葉月は胸以外はスレンダーだし、湊も痩せているほうだ。

 そこまで狭苦しくはない。


「じゃあ、教えてやる代わりに次はなにをお願いするかな」

「あんたの欲望は底無しか。ま、友達のあたしが受け止めてあげないとね」

「いい友達だなあ……」

 湊は笑って、葉月のミルクティーの色をした髪を撫で回す。


「ああん、こらっ、髪が乱れる!」

「もうだいぶ乱れてんだろ」


「あんたがいろいろするから……でも、湊はもっとあたしに感謝すべき! こんな可愛くておっぱいデカい女友達、そうそうできるもんじゃないからね!」

「わ、わかってるって」


 お願いや取引で、友達のおっぱいを楽しめるなんて普通はありえない。

 湊は充分によくわかっている。

 多くを望まないと告白を断られたときに決めたはずなのに。

 棚ぼたのように転がり込んできたものが大きすぎて、感覚がおかしくなってきた。


「おっぱいはともかく、湊はもっと友達つくるべきかもね」

「え? 俺、普通に友達はいるけど……おっぱい揉めるくらい、仲の良い友達ってことか?」

「おっぱいはともかくっつっただろ。なに、もしかして瀬里奈、狙ってんの?」

「狙ってない、狙ってない。恐れ多すぎる」


「あたしのおっぱいは恐れ多くないの? さっきから、また揉んでるし」

「葉月お望みの優しいおっぱい揉みだよ。ダメか?」


「いいけどさあ……よく飽きないね」

「飽きるもんじゃねーんだよ」


 本来なら、絶対に手の届かなかったおっぱいだ。

 揉んで怒られないなら、永遠に揉んでいたいくらいだった。


「まあ、俺は葉月と遊んでりゃそれでいいよ」

「とか良いこと言いつつ、今度はスカートめくんな」


 湊は葉月のミニスカをめくり、水色のパンツをまじまじと眺めつつ、軽くおっぱいも揉んでいる。

 美少女のパンツとおっぱいを同時に味わえるとは、なんて贅沢なのだろう。


 だが、こんなことを許されてしまっては、どうしても欲望がエスカレートする。

 胸とパンツだけで充分に最高だが、それ以上となると――


「あたしはさ、たまに湊と遊べないこともあるしさ。他の友達もいていいと思うんだよ」

「確かに、外ではあんまり他の友達と遊んでねえな」


 特に深い理由はない。

 高校に入って、葉月と遊ぶようになってからは学校の外で男友達と遊ぶ機会は減ったというだけだ。


「じゃあさ、今度瀬里奈と外で遊べるようにセッティングしてあげる」

「は?」


「善は急げだね。ちょっと待ってて……よし」

「お、おい、話を進めんなよ。なにしてんだ?」

 葉月はスマホを操作して、瀬里奈に連絡をつけたらしい。


「あ、もう返事来た。瀬里奈、返事早いね。おっ、OKだって」

「おまえ、なにしてんの? 瀬里奈さん、葉月に頼まれたら断れないんじゃねぇの?」


「なんでもいいじゃん、瀬里奈と遊びたいでしょ?」

「そりゃあ……」

 あの清楚な美少女で、なかなか面白い瀬里奈には興味は山ほどある。


「……でも、二人きりは無理だぞ。葉月……おまえも一緒に来てくれ!」

「えっ? 今度はそんなお願い!? 瀬里奈と二人きりになるチャンスなのに?」


 葉月は、湊のヘタレっぷりに呆れているようだ。

 なんと思われようと、まだ一回遊んだだけの――あんな美少女と二人きりで、外で遊ぶなど不可能だ。


「ちょ、ちょっと……動揺してるから、もう少しおっぱい揉んで落ち着かせてくれ」

「そんなことで落ち着くんかい、あんたは!」


 また呆れながらも、葉月は白ブラウスの前を広げて、おっぱいをよく見えるようにしてくれた。


 お願いすれば割となんでもさせてくれるこの友人と、瀬里奈とは違う。

 湊は不安を覚えつつ、女友達のおっぱいに顔を埋めてしまう――

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