第7話 女友達はお願いされたら断らない
なんでも、門限があるらしい。
門限がある女子はたまにいるが、瀬里奈家は特に厳しいのだろう。
葉月と同じマンションだとバレないためとはいえ、なかなか面倒だった。
湊が瀬里奈と別れて、マンションに戻っていると、葉月からLINEが届いた。
はづき 《今日はウチで》
とのことだった。
もちろん、本日も二人の親はしばらく帰ってこない。
晩飯を一緒に食おうというお誘いだった。
「ういーす、来たぞ」
「おー、湊、おっつー。あたしの部屋、行っといてー」
葉月家の玄関は開いていて、湊が勝手に入ると奥から声がした。
美味しそうな匂いが漂ってきている。
今日は少し早いが、もう夕食らしい。
湊が葉月の部屋に入ると、すぐに本人も入ってきた。
「はーいはい、晩飯ができたよ。泣いて感謝しろ、JKの手料理だよ」
「手料理……?」
部屋のテーブルに並べられたのは、お好み焼きと焼きそば。
「そうそう、手作りの冷凍お好み焼きと、手作りのカップ焼きそばだよ」
「手料理の概念を壊すな」
といっても、湊にもすっかりお馴染みのメニューだった。
お好み焼きは冷凍といっても本格的で、マヨネーズと鰹節をたっぷりかけ、濃厚なソースが塗られていて香ばしい香りがたまらない。
カップ焼きそばは1.5倍の大盛りサイズで、二人で分け合うとちょうどいい。
「はー、お腹減った。食おう、食おう」
「そうだな、冷めないうちに食うか。いただきます」
一応、お好み焼きには包丁で切れ目を入れてある。
葉月は料理はさっぱりだが、ちょっとした手間くらいはかけてくれる。
「焼きそば、これ新作なんだよ。辛いけど、湊ならイケるよね」
「ああ、辛いのは大好物だ。最近はネタみたいな激辛が多くて助かる」
二人はアツアツのお好み焼きをパクつき、焼きそばを分け合う。
焼きそばのほうは特に取り分けたりせず、そのままカップから少しずつ取って食べていく。
同じカップに箸を突っ込んで食べるのは、最初は湊も戸惑ったものだが、今はまるで気にしない。
葉月は最初から気にしていなかったからだ。
「うっ、でもこれマジで辛ぇな。普通の人は食えるのか、こんなの」
「あはは、だよねえ。あたしでも、ちょい辛いわ。ほら、涙出てる」
「ふっ、葉月はまだまだお子様舌だな」
「おおっ? この野郎、あたしが食い尽くしてやる!」
「あっ、てめっ、そんなにいっぱい持ってくな!」
葉月が大量の焼きそばをカップから取り、ずるずると食べ始める。
辛味に強くても、辛いものは辛いので、葉月の目は潤んでいる。
涙目になった葉月も、やはり可愛い。
「うーっ、ちょっと無理しすぎたかも! うえぇっ、辛っ!」
「ちょっと待ってろ」
湊は立ち上がってキッチンに行き、冷蔵庫から牛乳のパックを取り出し、新しいグラスも持って部屋に戻る。
「ほら、これ飲め」
「あうーっ、さんきゅ、湊」
葉月は、湊が注いでやった牛乳をごくごくと一息で飲み干した。
ウーロン茶のグラスもあるが、辛さを打ち消すには牛乳のほうがいい。
「やっばかったー……湊、唇腫れてない?」
「……大丈夫じゃね?」
葉月がぐいっとテーブル越しに身を乗り出してきて、唇を突き出すようにしてきた。
その唇が妙に色っぽくて、湊は戸惑いを押し隠しつつ答える。
「そっか、よかった。ぽってり唇もえっちでいいけど、あたしには合わんし」
「辛いもん食って腫れてちゃダメだろ。おまえは、もうやめとけ」
湊は、残りのカップ焼きそばを全部取って、お好み焼きの上に載せてしまう。
「ちっ、今度はノーマルな焼きそばにしとくか……けど、さすがにこんな晩ご飯を瀬里奈に振る舞うのはためらうよね」
「さすがにな。いや、瀬里奈さんだって冷凍もカップ麺も食うだろうが」
現代の子供が、冷凍食品もインスタント食品もまったく口にしないということはないだろう。
よほど特殊な事情でもない限りは。
「まー、人様を食事に誘って冷凍物は出せないわ、いくらあたしでも」
「俺は幻でも見てんのか? 思いっきり出されてるんだが?」
「湊は客って感じじゃねーよ、もう」
「……そりゃそうか」
湊のほうも、葉月は半分同居人のように感じている。
もてなそうなどと思わないし、雑に扱っても気にならない。
「ふー、ごちそうさま」
「ごちそうさん」
二人とも綺麗に食べきって、葉月は後片付けをしに行った。
湊も別に手伝わない。
料理を振る舞ったほうが後片付けまでやる、というルールがいつの間にかできている。
湊家で食事するほうが圧倒的に多いので、若干不公平ではあるが。
洗い物も終えて、葉月が部屋に戻ってくる。
「ふー、今日はなかなかおもろかったね」
「つーか、なんで唐突に瀬里奈さん呼んだんだよ」
「あたしのパンツにあれだけ興味津々だった湊なら、瀬里奈のブルマにも食いつくかなと思って」
「最初から、ブルマがテーマだったのかよ」
湊はまさか瀬里奈がスカートをめくるとは、予想だにしていなかったが、葉月の計画通りだったらしい。
「あのブルマはやべーな……パンツ、ちらっと見えてたし」
「えっ、マジで?」
ぐいっと葉月が身を乗り出してくる。
顔がくっつきそうなほど近い。
「ちょっとブルマからはみ出して……いや、本当にちらっとだぞ?」
「ほー、ほー、このあたしだけでは飽き足らず、瀬里奈のパンツまで見ちゃったか」
「あれは不可抗力……瀬里奈さんには言うなよ?」
「わざわざ言わないよ。まあ、あいつはあんま気にしないだろうけど」
「気にするんじゃないか?」
清楚で女の子らしい瀬里奈瑠伽なら、誰よりも気にしそうにすら思える。
「というか、葉月は瀬里奈さんをなんだと思ってるんだ?」
「女子には意外な顔があるもんなんだよ。あたしの口からは言えないけど」
「別に追及はしねーよ」
「あ、けどさ、瀬里奈はなんか清楚でエロいけど、おっぱいはあまりないよね」
「なんだ、急に!?」
湊は、あまり瀬里奈の胸のサイズは気にならなかった。
そもそも、分厚いブレザーを着ているので、わかりにくい。
「あたしと比べると全然だよ。Bか、せいぜいCじゃない?」
「そういうのも、おまえの口から言わないほうがいいんじゃね……」
「たぶん訊いたら普通に教えてくれるよ。今や、瀬里奈も湊のお友達だしね」
「友達……なのか?」
葉月と友人になれただけでも、湊のような平凡な男には過分なことだ。
それに加えて、あの瀬里奈瑠伽まで――
「友達になったんだから、今度はブルマからはみ出してるパンツじゃなくて、堂々と見せてってお願いしたら?」
「ソッコーで友情終わるわ!」
葉月は、いきなりなにを言い出すのか。
「もうちょっと友情を育んでからじゃないとダメかな?」
「そんな目的で育んでどうすんだよ」
「ま、あたしと湊の友情にはまだまだ追いつけないね」
「……そんなもん追いつくとかいう問題でもねぇだろ」
湊は、葉月のベッドにもたれかかって、ため息をつく。
「瀬里奈さんはなんか面白いし、仲良くなりたいっていうのはあるかな」
「えっ」
「な、なんだよ? びっくりするようなことか?」
「ふーん……瀬里奈と必要以上に仲良くなる気かぁ……男子は、ああいう子、好きだよね」
「な、なんか目が怖いぞ、葉月」
「べっつに。じゃあ、また瀬里奈をウチに招待してあげよう。今度はブルマなんかどうでもいいから、おっぱい比べするか」
「自分が確実に勝とうとしてないか!?」
というか、なぜ勝負が始まってるのか、湊には理解不能だ。
ちらり、と湊は葉月の胸元を見た。
ピンクのカーディガンと白いブラウスの下から、大きなふくらみが激しく自己主張している。
確かに、瀬里奈のブルマよりはこちらのほうに興味がある……。
「……おいおい、湊。あんまおっぱい、ガン見しないでくれる?」
「わ、悪い……」
「この前のパンチラもそうだったけど、見たいならその前に言うこと、あるでしょ?」
「…………」
見たい、と言えば見せてくれるとでもいうのか。
偶然にパンチラを目撃することはありえても、おっぱいを見ることはまずない。
「見たいなら……ほら、なにを言えばいいのかな?」
葉月は、ニヤニヤしながらも顔を赤らめている。
まさか――と思いつつも、湊は自分を抑えられない。
「葉月……頼む、おまえのおっぱいを見せてくれ! 生で!」
「うえぇっ!? 思ってた以上にストレートに来やがったよ、こいつ!」
「ブラジャーはほら……夏に透けて見えたりするし」
「それ、あたしがおっぱい見せる理由にはまったくなってないんだけど」
「俺が見たい理由にはなってるんだよ。だから、お願いしてんだよ」
湊は、完全に頭がおかしくなっていた。
すぐ前にある、葉月の二つのふくらみ。
スカートの下と同じくらい、湊の部屋で、葉月の部屋で、ちらちらと数え切れないほど見てきた。
たぶん、葉月も視線には気づいていただろう。
どれくらい、湊が葉月のおっぱいに興味を持っているのか。
「頼む、葉月! おまえのおっぱいが……ずっと見たかった!」
「すっげーこと言うな、この男。まったく……」
「…………」
葉月は呆れたように首を振ると、カーディガンのボタンを外し、ネクタイも取って、白ブラウスのボタンを外し始めた。
「ちょ、ちょっとだけ。一瞬だけだからね? あたしだって、さすがにパンツより格段に恥ずかしーんだから」
「あ、ああ」
葉月のブラウスの前がはだけて、白いレースのブラジャーが現れる。
くっきりした谷間に、意外に清楚な下着……それだけで充分すぎるほどエロい。
「ブ、ブラまでは外さないからね……?」
「ええっ? 生ブラジャーまでなのか?」
「……そんな絶望的な顔しないでよ……ああんっ、もうっ……マジで一瞬だから! 少しだけだからね!」
葉月はヤケクソ気味に叫ぶと、ブラの片方のカップの部分をつまんで、ぐいっと下に引っ張った。
ブラが壊れるのではないかと思ったが――湊はそんなことは一瞬で気にならなくなった。
「おおっ……」
ズレたブラジャーの下から、ピンク色の乳首が姿を現していた。
胸の圧倒的なボリュームに比べて、乳輪のサイズはずいぶんと小さくて可愛い。
突起の部分はツヤツヤとしていて、少し尖っているようにも見えた。
「うわ……すっげ……」
「ちょ、ちょっと……そんな見ないで……あっ、こらっ、そんなに顔近づけないで!」
湊は思わず胸に息がかかるほどに顔を寄せてしまう。
葉月も叱りつけながらも、身を引こうとはしない。
「……一瞬って、もう過ぎてない?」
「も、もうちょっとだけ……」
「い、いいけど……こっちも見てみる?」
葉月は、ブラのもう一方も引っ張り、ぷるんっと大きなふくらみが完全にあらわになる。
ブラが下乳部分に残っているのが、余計にエロさを煽ってくる。
「ど、どう? けっこう自慢なんだよ。大きいし形はいいし……乳首の色も綺麗なもんでしょ?」
「エロ動画とかとは全然違うな……」
「エロ動画と比べんな。まったく……ま、これだけ見せたんだから、好きなだけ見なよ」
「マジか!」
「……す、少しくらいなら……触ってもいいよ」
「…………っ!」
葉月は身体を反らすようにして、胸を突き出すようにして、その自慢のおっぱいを見せつけてくる。
「でも、その前に……言うこと、わかってるよね?」
「……ああ」
湊は頷いて、じいっとふたつの大きなふくらみと、ピンクの乳首を見つめながら――
「もっと葉月のおっぱい、見せてくれ。触らせてくれ」
「……いいよ。でも、でも、ちょっとだけだよ?」
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