第6話 副業に追われる日々
あの頃の私は転売に追われていてまったく精神的な余裕がありませんでした。
仕事が終わった後に、毎日リサーチをして商品を探して、スタッフさんとやり取りをしていました。
休日もリサーチはもちろん、取り組みの見直しなどしていて、まったく自由な時間がありませんでした。
好きだった小説を最後にゆっくり読んだのはいつだったかなと考えていました。
そこまでしていても、お金を稼げていればよかったのですが、残念ながらそんなことはありませんでした。
結局、利益が300,000円出たとしても、それはほとんど手元に残りません。
在庫に回す分やスタッフさんへの報酬などの経費を差し引くと残らないどころかマイナスになることもありました。
利益は商品、つまり在庫になっているのです。
よく転売の商材のセールスレターでは、利益100万円達成と大々的に書かれているものがありますが、実際に手元に残っているのは100万円どころかマイナスの可能性も充分にあり得ます。
もっとひどいセールスレターだと利益ではなく月商100万円と謡っているものもあります。
月商100万円など利益を考えずにただ売ればいいだけなので簡単に達成できます。
また、アマゾンの購入者第一主義にウンザリしていました。
アマゾンを利用したことがある人はご存知かと思うのですが、アマゾンでは基本的に無条件で返品ができます。
購入者にとってはとても良い制度なのですが、販売者側からしたらとんでもないことでした。
商品が破損していたなど正当な理由があるならこちらの落ち度なのですが、すり替え目的で購入して返品をしてくる業者もいます。
商品がボロボロのものすり替えられて返ってきたり、まったく違うものに替えられて返品されたりという被害を何度も受けました。
そのことをアマゾンに連絡をしても補填をしてくれるまでにとても時間がかかりました。
補填をしてくれれば良いのですが、してくれないこともあり、時間と気力だけを無駄にしてしまうこともありました。
お金も手元に残らず、そういったことに振り回させていて本当に疲れていました。
なので、最初の目標だった30万円も達成したし、区切がいいからここで終わりにしようと決めました。
ただ、なんとなく寂しい気持ちにもなりました。
ここまで必死に取り組んだのにこれで終わりにしてしまってもいいのだろうかと悩みました。
せっかく300,000円を達成したのだから続けていけば500,000円、ひょっとすると1,000,000円も達成できるのではないだろうかとも思いました。
感覚的には「資金があればいくらでも利益を出すことができる」という状態でした。
けれど、それ以上に疲弊してしまっていたのです。
やれるだけのことはやったし後悔はない。そう思って転売をやめました。
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