『猫の』
猫の恩返し、けれど誰も覚えていません。猫に親切にしたってそんなに長いこと覚えているものでもないでしょう。ましてや猫派の多いここでは猫にはいつだって親切です。
彼は猫でした。就業時間だけでは飽き足らず、その後も猫の姿で忍び込んで仕事をしていました。最初はただ忍び込んだままで仕事をしていましたが、服がないので誰かに見られるとまずいことに気付き、服を持ち込んだり持ち出したりしていました。
最初に見つかった日が最初に服を持ち込んだ日でした。服を持ち込んだり持ち出したりが間に合わないときに見つかっていました。
もう十分恩を返しただろうと思ったので最後に挨拶をしてお別れしました。まあ飽きてしまったのかもしれません。なんせ彼は猫なのですから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます