第8話 力

夢を見ていた。


そうあの声の人の記憶だ。

彼の高校生活から死ぬまでだ。

大事なところ以外はダイジェストになっていた。


彼の高校生活の最初はひどいといえるもので、クラス、いや学年全体でのいじめを受けていた。

しかし二年生になった時に味方ができた。

そのあと色々あり結婚して幸せだった。


のだ。






彼の結婚相手が殺された。犯人は彼を邪魔としている人であった。

彼は激怒した。

どうやら彼にとっての精神的な支えがなくなったから‥‥‥。


それから彼は人が変わったように犯人やその元凶を殺した。

しかし彼は力をひどく強く長時間使い過ぎた。

そして彼は死んだ。

でも後悔はしておらず清々しくむしろ好きな人のところにいけると前向きなのだ。



なんでこんな記憶を見ているか、気になったが簡単でどうやら彼の力を受け継いだ者へのチュートリアルみたいなものだ。




だから俺の気をつけないと。

二の舞にならないように。


もう夢から醒めないといけないな。


目を開ける。


「仆釉!」


目の前に白姉がいた。

ということは家にいる。


「道端で倒れていたわ、全くびっくりしたわ」

「ごめんね」


「一体なにがあったの?」


異世界行ってドラゴン倒したら倒れましたなんてことは言えないのでごまかそう。


「分からない、なんか帰ってる途中で気を失った」

「本当?」


「本当だよ」

「わかったわ」


白姉は心配そうな顔して俺が寝ている部屋から出ていった。


「はぁ」


完全に出ていったことがわかるとため息をつく。


俺の予想では倒れた時には戻ってこれたと考えている。

フレドリアさんはあそこから帰る方法知っていてもできないと思うから。


時計を確認すると下校した時から三時間ほどしか過ぎてなく、あちら側の時間はこちら側とは違うことがわかる。

時差のことは今はどうでもよくて考えなければならないことがあった。


それは力についてだ。

なぜあの時力が発生したのかということについて考えなくてはいけない。


なぜなんだ?

考察をすることにした。



あの時は死ぬということがわかっていた。

ドラゴンの攻撃により形があればいいと感じていた。

つまりは死ぬとわかったら発動するということなのか?


それなら他にそういう場面はあったはずだ。

なのになんでだ?


その時の状況を考えることにした。

親に殴られすぎて意識がなくなりかけたことなどを思い出してみる。



(あ、そうか)


つまりは確定なる死なら発動するということなのか。

でも俺が誰かの思惑によってあちら側に行かされたのだから俺の近くの人の被害にあう可能性は高くなる、例えば白姉とか。

ならいつもでも発動できるようにしておかなくてはならない。


無意識に拳にしていた。













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る