第3話 あちら側、こちら側
「はっ!とりあいず入り」
「わかった」
白姉は正気を取り戻して家の中に入れてくれる。
いつもそうなので驚かずに対応する。
(やっぱし変わってないし、よかった)
顔には出さなかったが内心安心していた。
前来た時と変わらずの雰囲気。
「お邪魔します」
「仆釉、気にしなくていいよ」
「あ」
俺はとあることを思い出した。
「ん?どうしたの?」
謎の異世界に行ったせいで忘れていたけど、俺今日泊まるとこないから白姉の家来てるんだった。
(追い出された話をしておかないと後々困りそうになるから伝えておくか)
「話すことがあるんだけど‥‥‥「わかった」
白姉は俺の話が軽めに言えるものではないと気付く。
リビングに向かい、ソファーに座る。
「で、話って?」
白姉の雰囲気が重くなっている。
俺はいつも通りと言いますか‥‥‥そもそも自分の雰囲気知らない。
「実は家から追い出された」
「は?!」
白姉に追い出された経緯を伝える。
そして深刻な顔して聞いてくれている。
「で、今に至ります」
「なるほど、今日は客室使いな、私はちょっと用事ができたから出かけてくる、遅くなるから先に寝ておいていいぞ、飯は冷蔵庫を漁ってくれ」
そう言うと白姉は仕事用のかばんを持って颯爽と去っていった。
白姉は真剣の時は口調が変わるからわかりやすいな。
(お腹空いてないから客室向かうか)
時間は夜の八時ぐらいだがお腹はあんなことがあったのだから空かない。
少し急ぎ足で客室に向かう。
「ん、じゃあ調べますか」
客室にはパソコンが置いておりそれで今日あった出来事についての情報がないか調べる。
「んーこれではないな」
一つ一つ確認していく。
まずは書き込みサイトから。これが一番情報を得やすいと思っている。
「これか?」
一つの書き込みに目が止まった。
45:不確かだが若い女性が理事長を務めている学園あるんだけどそこでは夢物語の
ような力を持っている人がいるみたい。
46:話変わるけどあちら側とこちら側って知ってる?
47:なにそれ?
48:45のような夢物語に出てきそうな怪物がいる世界をあちら側というらしい、で
今俺らがいる世界をこちら側っていうらしい。
49:ほんと?
50:わかんない、だってあちら側から戻ってきた人がほとんどいないし生きて帰って
きても記憶障害があるみたい、でも‥‥‥
51:でも?
52:まれに記憶障害がない人もいるみたいで友人がそうみたいでこんなことを言って
いた『一部分ごとに切り抜いた世界でできていてこちら側から遭難した人を救助
する組織があるみたいだけどもその組織が救助する前に怪物に喰われるのが多
い』話だけだから本当かはわからない。
53:なるほど
つまり俺は運良くあちら側から帰ってこれたということか。あちら側、こちら側覚えておこう。
一見オカルトじみたことかもしれないが俺からしたらこれは事実だ。
でも約束されているはずだ。話してはいけないと。
まぁ、他人だしいいか。
他にも調べてみたが目星ものはなく、お風呂に入って就寝した。
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