第34話

風邪が治った俺は今日こそ学校へと向かう為に家を出発した。 皆勤賞は取れなかったがまた今度目指せば良い。けど本当に花音には感謝しか感じない。俺が風邪をひいたときにわざわざお見舞いに来てくれるなんて……  そのおかげで俺は今日学校へ行けてると言って良い。 もしも家族だけだったらもっと酷さが長引いてしまっていただろう。 俺が学校について教室へ向かうと花音が話し掛けてきた。「元気になりましたか? 達平さん」とそう言って来た。そんな彼女の顔はほんのりと赤く染まっていた。昨日の事がフラッシュバックしたのだろうか? 少し頬を赤く染めてそんな事を言う花音に俺はただ「あぁ」という二言しか発せなかった。……本当に可愛かったのだ。まるで何処かの漫画のワンシーンを見ているかのような…… そんな花音を見ていると俺は正気を失いそうになる。 後少し、後少しでいい。そうしたら襲えるのに…… 俺は今、それ程までに危険な状態だった。 花音を捕まえたい。そんな欲求に見舞われたのだ。 だがあと少しの所で俺の理性は意識を取り戻す。 その時俺はなんか名残惜しい気分になってしまった。 あぁ 恥ずかしい……… 本当にどうしたんだろう? 俺がそう思って信じられない程赤面するまで実に一秒も経ってはいなかった。………


はぁ 圧倒的な恥ずかしさに身を焦がした俺は何もなかったかのように装い授業を受けた。なのに……俺の頭の中には花音が渦巻いていて授業に集中するなどとても出来る状態じゃなかった。………  


授業が終わり俺は勢いのままに学校を出た。恥ずかしさを紛らわしたかったのか、それとも違う理由なのかは、俺でも分からない。

ただ、俺がその時花音に対して『興奮』していたのは間違いない。本当に俺はどうなってしまったんだろう? 俺は家に帰ってそう一言もらした。その答えは誰も教えてくれない。 俺はふらふらとした足取りで自室へと向かった。そしてすぐ俺は眠っていった。………


翌日、俺はまだ気分が昂揚していた。何故か俺の頭の中にある花音の像が俺の頭から離れてくれない。どうしたら開放される? もう俺は無意識の内に下唇を噛んでいた。


あぁ痛い。まるで身体が焦げ落ちるようだ。始めて下唇、そして様々な部分を触って、俺の身体は初めて痛くなった。そしてその痛みが幾分続いて俺は遂に正気を取り戻した。

その時にはもう俺の頭の中に花音はいなかった。


もう大丈夫。そんな声が何処かから聴こえてきたような気がした。自分を正気に戻す為の神聖な儀式を終え、ふと上を見ると、夏海がそんな俺を見つめていた。


その事に気づいて俺はたまらず赤面した。いつから俺を見ていたのだろうか? 全く気づかなかった。 変なふうにに思われていなければ良いのだが……… 俺は夏海に言い訳とも呼べる発言をした。

「これは何でもないぞ!!」その声はとても戸惑っている声だった。 俺が夏海に向かってそう言った後、夏海は何も言わずに俺を睨んでいた。あぁ恥ずかしい…… 素直に声を掛けてくれればまだ希望があった。けど夏海は俺をただ無言で睨むだけ。その行為がより俺の心を恥ずかしさで満たしていった。


恥ずかしさを感じながら俺は自分のベッドへダイブした。そして5分後、俺は夢の世界へと旅立って行った。………



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