第33話
夏休みが終わり学校が始まった翌日。俺は熱を出して学校を休むことになっていた。朝測った時は38度6分 高熱だった。本当は学校に行きたかったのだが家族に止められた。俺が密かに狙っていた皆勤賞がその時に崩れ落ちる事が決定した。 ふと横を見ると机にメモと一緒におかゆが置いてある。俺はおかゆを食べてまた寝っ転がった。寝っ転がるとまた眠気が俺を襲ってくる。普通なら耐えられるのだが、熱にやられていた俺は一瞬で夢の世界へと旅立って行った。…………
俺が目を醒ますと前に花音が見えた気がした。俺はすぐ「そんなわけない」と思いもう一度目をつぶった。けどもし俺が疲れたことで見えた幻覚ならば少しぐらいなら甘えても良いのかもしれない。俺は幻覚の花音に向かって「やっぱりかわいいな。」と言う。その直後なんか戸惑っている声が聴こえた。なんか幻覚にしては滅茶苦茶リアルな気がする。……… その後とある声が聞こえてきた。「そういえば、花音ちゃんが来てくれてるわよ。達平。」その言葉の意味を理解するのに俺は時間を有した。俺がその意味を完全に理解したとき俺は飛び起きた。理由は簡単だ。恥ずかしいからだ。花音を幻覚だと思い込んで「可愛い」と言うなんて……俺は花音を転生する前から知っていたからなおさら恥ずかしくなる。俺は飛び起きて花音に向かって言った。「見舞いにきてくれたの?花音さん」そう言った俺はなんだか嬉しい気分に包まれた。自分が風邪をひいたときにお見舞いしてくれるのっていいな。 地球で暮らしていた頃はそんな事はなかった。 家族には心配されたが自分の家族じゃない人に心配されるのはこの世界が初めてなのだ。初めての暖かさに俺の心は震えていた。 最初は恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだったが、それよりも嬉しい気持ちが恥ずかしい気持ちに勝ったのだ。
花音にお見舞いしに来てもらってから俺の体調は急激に向上した。熱も下がり比較的だるさを感じなくなった。そして翌日俺は学校へ迎えるようになったのであった。…………
Side花音
私が今日学校へ行ったとき彼は来ていなかった。どうしたんだろう? 私は彼が引き籠もっていた頃を思い出して身震いする。 私が心配していた頃先生が彼が風邪で休みだと伝えてくれた。その言葉で私は安心してきちんと授業を受ける事ができた。授業が終わって私は彼の家へと向かった。未来ちゃんには伝えていない。未来ちゃんに伝えるときっと「私も行く」と言っていたと思うから……
私が彼の家へと着いて彼のお母さんに部屋に通された。私が彼を引きこもりにしたかもしれないのに、なんて優しいのだろう。私は彼が居るリビングに行って彼が目を覚ますのを待った。こうして彼の素顔を見ると可愛らしい。 すると彼は目を開けた。その直後彼は驚きの発言をしたのだ。「やっぱりかわいいな。」私は彼が放ったその言葉に戸惑った。きっと寝ぼけて言っている事は目に見えてわかっている。だけどやっぱり私の容姿を褒めてもらえるのは嬉しい事だ。私がそう思って居ると彼のお母さんが彼に私がお見舞いに来てる事を伝えた。その直後彼は飛び起きた。それは彼が風邪をひいているなんて思えない風格だった。その後彼は「見舞いにきてくれたの?花音さん」そう恥ずかしいということが分かるような顔をしていた彼を私はまた可愛らしいと思った。だけどこの気持ちは彼には伝えない。彼は鈍感だ。だからまだ普通の友達のままでいい。私は安全第一なのだ………
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