第25話

Side未来

私は昨日泣いた。花音はもう達平の家で泣いてしまっていたけど私は泣けなかった。なんか「ここで泣いちゃいけない」そう思ったのだ。私が泣く資格なんてない。泣きたいのは彼の方だろう。一生懸命、私と花音に思いをぶつけてくれたのに……「なんで!! 分かっていないの! お兄ちゃんは、達平は心を閉ざしてしまった! 貴方達のせいで!貴方が彼を突き放したから! あなた達は覚えがあるでしょう?」そんな彼女の言葉が1日経った今日でも頭にリピートされる。そして私はまた泣いた。信じられない程泣いた。あのクソ教師に言い寄られた時もこんなに辛くなかった。我慢すればいいと思っていた。けど今回は無理だ。我慢しようとすると胸がギュッと締め付けられるように痛くなる。私のせいで彼がもう心を閉ざしてしまったらどうしよう。そんな思いはみるみる膨れ上がっている。けどこのままじゃ終われない。花音はもう来ないかもしれないけど私はずっと通って見せる。それが少しでも償いとなると思うから…………


Side涼子


私は荒海涼子だ。ちなみに恋人は居ない。所で私には前世の記憶というものがある。前世の私はとある日本という国の先生をやっていたらしい。私が6歳になったときに記憶を思い出した。なんだかこの世界が私が記憶の中で好きだった恋愛ゲーム「恋する乙女の雨模様」というゲームに似ているらしいのだ。このゲームは男を主人公として様々なヒロインを攻略するというストーリーらしい。その中ヒロインの一人が私、荒海涼子らしいのだがなんだかピンとこない。もしこの世界が記憶の中にあった世界でも私は普通に生活して見せる!!


私が大人になって主人公が居るらしい学校へと先生として向かった。すると私の目の前にはある子供が目に入ったのだ。その子の名前は「多田平達平」この世界の友人キャラらしい。なのにも関わらず私の目には彼がとても美しく見えた。多分そうだ私は彼に恋したんだろう。くだらないほどチョロく簡単に好きになってしまったけどサブキャラなのにも関わらず必死で努力する姿勢。そんな部分に私は惹かれたのではと思う。


私が彼を好きになって少し立った頃に彼が学校を走ってると言う話を聞いて私は急いで向かった。私が彼の居る方向へ向かうと彼が走っていた。私は止める「まて!! 達平!」という。これが先生として私に出来る精一杯の引き留め方だった。これがただの恋人とかだったらもっと助けられたのだろう。すると彼は「どいてくれ!!」その言葉で私は鬼になった。彼の首元にチョップをいれ彼を気絶させた。彼が目覚めて彼は私にこういった。

「なんて邪魔したんだよ!!」その直後私は声を発していた。「なんでお前はそこまで鈍感なんだよ。バカかお前? お前のおんなは本当にお前を嫌っていると思っているのか? そう思っているのならいい加減にしろ!!」もう単なる感情を彼にぶつけた。なのに彼は勘違いした。もう学校に来ないと言って帰ってしまったのだ。私は家に帰って密かに泣いた。学校や人前では泣けない。それは私という人間が変わってしまう。私は泣いている合間にある事を思い出していた。私が日本で暮らしていた時の事。なんか私の学校にいた生意気な生徒の事を………その生徒の名前は多分「唯山蒼」だったと思う。今こんな事を思い出すなんて不思議だな?そう思って私は眠る準備をした。

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「こら! 蒼! お前このままだと留年だぞ!!」「別に良いよ麻沙美先生。俺は今(恋と乙女と雨模様)ていうゲームにハマっているんだ!! だから大丈夫だよ! 3人目のヒロイン。荒海涼子先生を攻略したら勉強に専念するからさ!」…………

Side達平



なんか夢を見ていた。目を覚まして俺は言った。「麻沙美先生。いたな?」ふと日本の記憶を思い出す。麻沙美先生は俺のことをよく考えてくれる先生だった。とても良い人生だった。俺が死んだあと先生は幸せに暮らせたのだろうか?俺はそう思いながらもう一度眠りについた。




 



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