第24話

Side花音

彼が学校に来ないことを知った次の日、私は学校が終わったあと未来ちゃんと一緒に彼の家へと向かっていた。彼の家は涼子先生が教えてくれた。行けばわかるからって………

  

私達が彼の家に着いたとき私はインターホンを鳴らした。あまりにも静かで、インターホンの音が私の周りに響いていた。私がインターホンを押して少し立った頃にある人が出てきた。その容姿は私より少し年下な感じ。だけどとても強い意志を感じられた。その子は私達を部屋に呼んだ。彼の部屋でない事はすぐさま理解した。そして私達が部屋についたときその子は私達に言った。「なんで来たんですか?お兄ちゃんを捨てたくせに!!」その言葉で私の頭は真っ白になった。私は彼を捨てた覚えは無かった。私は無意識に「なんのこと?………」と言葉を発していた。全く見に覚えのない事だった。私が彼を捨てた?    

そんな事あるはずが無い。私は彼のことが好きなのだ。少し鈍感で自己評価が低い所はあるけどそれでも私は彼の事が好きなのだ。私がそう発した直後その子、彼の義妹である夏美ちゃんは私達に向かって言った。「なんで分かっていないの! お兄ちゃんは、達平は心を閉ざしてしまった! 貴方達のせいで!貴方が彼を突き放したから! あなたは覚えがあるでしょう?」その言葉で私は意識する。あの日彼が最後に学校に来た日のことだ。その日彼に私達は図書室に呼ばれた。彼は私達に向かって「昨日はごめんね!」と言った。私達は少し混乱していて返事が出来なかったが、もしもそれを彼が見放されたと勘違いしてしまったら………  私は夏海さんに言った。「ごめんなさい……ごめんなさい……」私は泣いていた。彼女が怖いから泣いているのでは無い。私のせいで彼がどうにかなってしまうのが嫌なのだ。でも終わってしまった事はもう後戻りできない。出来るなら彼が最後に学校に来たときに戻りたい。私は彼女の話を聞いたあと一度彼の部屋に向かって「ごめんね、達平。」とそう言った。その時の私の顔は人に見せられないほどのものだった。そして私は家に戻って行った。……



Side夏海

最近お兄ちゃんの様子がおかしくなった。それも三日前私が普通に友達と遊んで帰ってくるとお兄ちゃんが部屋にこもっていた。私はお兄ちゃんに会おうとした。けど私が見たお兄ちゃんはとてもやつれていた。生きる気力さえない様なそんな顔だった。私はそんな彼を見たとき泣いた。様々な感情が押し寄せてきて泣いた。義理の兄妹としての気持ちと彼に抱く異性に対しての気持ち。全てが複雑に絡まって私の心を蝕んでいく。誰がお兄ちゃん、いや達平をこんなふうにしたのだろうか?絶対に許さない。


それから三日立ったがあまり状況は変わりはしなかった。そして私が誰とも遊ばず急いで帰ったあとある人が訪ねてきた。それは入草花音と藤宮未来、お兄ちゃんを捨てた人達だった。私は感情を押し殺して自分の部屋まで案内する。今、感情を爆発させてしまったらもう戻れなくなる。だから私は自分の部屋につくまで我慢した。そして私の部屋に着いて私はついに言葉を発した。「なんで来たんですか?お兄ちゃんを捨てたくせに!!」そう言っている私は泣いていた。もうその感情に耐えきれなかった。入草花音は「なんのこと?」と言った。白々しいなんで嘘を付くのだ? 知らないのなら教えてやる。私は彼女達に向かって言葉を発した…「なんで分かっていないの! お兄ちゃんは、達平は心を閉ざしてしまった! 貴方達のせいで!貴方が彼を突き放したから! あなたは覚えがあるでしょう?」私は彼女たちに感情のままに怒鳴る。すると彼女は思い出したのか「ごめんなさい……ごめんなさい……」と言った。私は彼女たちを許すつもりは毛頭ない。けどお兄ちゃんはどう思うのだろうか? 彼女達を許すのだろうか? 花音はそう言ったあと私達の家を出て行った。私は彼女たちが居なくなった部屋でもう一度泣いた。どうすればいいのか?その疑問を投げ掛けたような悲痛の叫びだった…………

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