第22話
デートが終わった翌日、俺は何事も無かったかのように学校へと向かった。昨日のことはもう吹っ切れた。昨日は思い出が脳にフラッシュバックしてしまい泣いてしまったがもう泣くことはない。 学校へと着いた俺はいつもの席へと座る。すると入草花音さんが話しかけてきた。俺は彼女に普通に話しかける。
「おはよう御座います。花音さん。」そう他人行儀に言って俺はまたノートにあることを書いていった。…………
そのまま放課後になって俺は学校を出た。どうやって学校を出たのかは覚えていない。図書室へ寄ってから出たのか、はたまた裏口を通って出たのか、その様子はまるで無力感が形に現れたようだった。家に帰って気付いたら俺は食卓にいた。本当に今動いて喋っているのが自分じゃないように感じる。夏海がなにか言っているがそれも俺の頭に届く前に何かによってかき消される。
本当にどうかしてしまっている。もし明日になってもこの状況が変わらなければもうずっとこのままなのだろうか。できれば元に戻りたい。俺はそう願って布団にくるまった。
翌日
俺は普通に登校した。だけどやはり俺の頭には「サブキャラが調子のんなよ!」と妬みの声が届いてくる。それはそうだ。なんで俺なのだろうか? ふとまたネガティブな思考になっていることに気付く。でも俺は諦めたくない。俺は誰だ? 俺は多田平達平。約11回転生した男だぞ! だからこのような理不尽にはもう慣れている。
「諦めない」 この世界に転生してからそんな基本的な事を忘れてしまっていた。俺は今度こそ無双したい! と思っていた。けどこの世界に転生して、気持ちが揺らいだ。初めてメインキャラに「幸せになってほしい」とそう思えた。だけど諦めない。俺が彼女達を幸せにできなくても、俺が彼女達に選ばれなくても、足掻く権利ぐらいはあってもいいだろう。俺は運命に抗って見せる。 サブキャラという運命に…………
俺はラインで花音達に連絡した。
「放課後会えるかな?」そんな一言で……
放課後俺は図書室へ向かった。俺がついた時には彼女達は座っていた。俺は花音と未来に声をかける。「一昨日はごめんなさい。」 俺は震えていた。怖いのだ。自分で二人を離しといて今更近付こうだなんて…………
俺が行った直後彼女達は何も言わなかった。その言動で俺は理解する。「もう遅いのだと……」俺はすぐさま「変なこと言ってごめんね!」と言って図書室を出て走った。先生たちが注意をしているが気になんない。もう家に帰ろうとしたその時だった。
「待て!達平」と声が聴こえたのは…………
そう言ったのは花音でも未来でもなく3人目の攻略対象である荒海涼子だった。俺は彼女に向かって「どいてくれ!」と怒鳴る。その時の自分は誰が見てもおぞましいと思えるほどだった。その直後俺は激しい痛みに襲われた。もうその時には俺の意識は雲の上だった。…………
目が覚めて俺は教育指導室にいた。目の前には荒海涼子が居る。俺は彼女に言った。「なんで止めた!」早く帰りたかった。早く現実を忘れたかった。もう花音たちと関われない現実を…………
すると彼女はこう言った。「なんでお前はそこまで鈍感なんだよ。バカかお前? お前のおんなは本当にお前を嫌っていると思っているのか? そう思っているのならいい加減にしろ!!」先生のその声で俺の頭の中はまっしろになった。悲しいからではない、今俺が何をしているのかが急に分からなくなったからだ。何故見捨てられたと俺は思った? もしかしたら捨てられていなかった? 冷静に考えると疑問がたくさん出てくる。けど俺の頭にはもう二人のことを考えている暇なんて無かった。俺は「さっきはごめんなさい。荒海先生。多分もう学校には来ないと思います。僕を止めてくれてありがとうございました。」そう言って家に帰って行った。…………
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