第21話 デート(入草花音)

俺がノートを買ってから約半週間たち遂に木曜日がやって来た。木曜日は入草花音とのデートだ。 まぁ彼女がどう思っているかは知らないが…………


俺は当日のために来ていく服を念入りに選ぶ。噂で聞いたのだが、女性はおしゃれにはとても厳しいらしい。俺がオシャレじゃなくて女性の服着せ人形になるのだけは絶対に嫌だ。俺は当日来ていく服を決め、明日のためめにいつもよりも早く布団に入った。……


翌日

俺は朝早く起きた。本当だったら二度寝するのだが、今回はしない。なんてったって花音とのデートなのだ。これで興奮しない男子がいるわけないだろう!! ゲームの花音とのデートでは花音は街が怖いという理由で主人公の手を恋人繋ぎで繋ぐのだ。その花音の少し頬を赤らめた顔は打どんなものにも勝るものなのだ。


俺は素早く身支度をし、家を出発した。目指すは待ち合わせ場所のカフェだ。花音を待たせるなんてことはあってはならない……だが俺は迷ってしまった。…………

今自分がいる場所が分からなくなったのだ。俺は考えた末、スマホを使う。するとどうした事か、俺は全くの別方向に歩いていたのだ! それに気づいた俺は急いで待ち合わせ場所へと向かった。


俺がカフェへと着いた時、もう花音は席に座っていた。俺は「ごめん、遅れて……」と言って花音の隣に座る。すると彼女は「別にいいわよ」と少しふてくされておるような顔で俺に言った。

ふてくされてる彼女はとても可愛い。本当に俺なんか似合わないぐらいに………


花音と合流した俺はデートを開始した。まずはカフェでお茶を飲む。花音はタピオカミルクティーを頼んでいたが俺はお茶を頼んだ。注文した品が来る前に俺は花音に声をかけた。自分はそんなに異性に慣れてる訳じゃないから、少し言動不審になっていたのかもしれない。「花音さんはどうして俺と一緒に出かけてくれたの?」この疑問は俺は誘われた時から思っていた。なぜ自分なのか、太陽は何をしているのだろうか?俺はヒロインを幸せにする事はできない。だって俺はサブキャラなんだから…………  


俺が花音に言った直後 花音は声を出した。

「自分自身を「なんか」なんて言わないで!! 貴方は私と一緒にいればいいのよ!!」

そう言っている花音の目は涙に濡れていた。

それ程までにただのサブキャラである俺の事を気にかけてくれるなんて…………


俺は花音に「ごめん。そんな事言って俺を気にかけてくれてありがとう。」と一言伝えてカフェを出た。もう花音に迷惑はかけたくない。明日は未来とのデートがあるけどそれを中止にしよう! それで嫌われてもいい。拒絶されたら長い時間立ち上がれないと思うけど、もう俺のせいでヒロインが変わってしまうのはもう嫌なんだ。…………


家に帰った俺はすぐさま部屋に駆け戻った。

そうでもしないと家族に泣いているところを見せてしまうから。最初は大丈夫だった。だが帰るに連れて思い出が脳にフラッシュバックする。最初に出会った花音。最初は俺なんかに興味がないっぽく俺はたくさん絡んでいた。次に出会った未来。最初は俺のことを拒絶していたが勇気を持って自分のことを教えてくれた。そんな彼女達と会えないと思うととても強い悲しみに襲われる。自分の中で理解はしている。 だが心の奥底で納得できていない自分が居るのだ。それ程までにこの短時間の思い出は俺の記憶を侵食していっている。けど俺は決めた。絶対にもう彼女達には関わらないと………… そして俺は寝ることに決めた。寝ないと泣いてしまうから……


Side花音


私は彼とのデートから帰って泣いていた。彼に嫌われたのかもしれない。もしかしたら彼は私のことが嫌いなのだろうか?自分でも身体や容姿が整っていることは知っている。それじゃだめなのかな?もし彼に捨てられたら私は引きこもるかもしれない。お願いです。

彼と仲直りさせて…………











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