第42話〜思いつき
もうあの入学式が3ヶ月前か。俺はとりあえず近くの人に話しかけて友達を作った。そして狭間と瀬山は同じクラスになったが席はとても遠い。
仕方ないと思う。俺の苗字は「あ」から始まるしね、でも離れてると話にいくのが
「飴岩のさぁ、いつもつけてるそのペンダントって誰から貰ったの?」
「自分で作った」
「ほー、人から貰ったと思ってたわ」
後ろの席の
「俺の趣味じゃないもんな。でもめちゃくちゃ大切な人から中身は受け取ったんだよ、これ」
俺は中身の花びらを見せる、やはりレジンで固めているから鮮度は落ちていない。
「へー、めっちゃいいじゃん。んで、その大切な人はどこにいるんだ?遠距離恋愛かよ」
「もう…いや、分かんねぇ」
彼女はこの世にはもういないと思う。いや、そうやって割り切ってるつもりでもどこかにいるんじゃないかって、考えてしまう。
「居場所知らねぇのに大切な人なのか。あ、あれか!ネットで知り合った感じ?」
「ちがうよ!もっといい感じに出会ってるし。ただ住んでる場所が分かんないだけで…」
「それなら、探せば?その子どこ住み?」
「確か…」
俺は腕を組んで考える。なんかで盛り上がってたよな…ええっと、なんだっけ。い、いがついてたような…?
「そうだ!稲丘市だ!」
「ふーん、稲丘市ね。その子と出会った時の周りの物とか分かる?」
「白い部屋で窓もなくて重そうな鉄の扉が1つだけあって、カードーキータイプで開く扉にちょいとヤバそうな感じの」
「すげぇ部屋。そもそもお前その子の部屋に入ってんなら居場所ぐらい分かるだろ。」
「部屋しか知らないんだ」
「なるほど、リモートで会ってんのか。」
(違うけど…まぁ、いいか。)
そして彼はスマホで何か検索してどうやら検索結果が出てきたようだ。
「あー…この家みたいだな。うん、いる可能性はだいぶ…低いと思うが行ってみる価値はあると思う」
まさか出てくるとは思わなかったが、俺はとても幸運だ。何処にあるのだろうか。
「それなんて調べたら出てきたんだよ」
「稲丘、やばい、家で」
「そんなんで出てきた俺の大切な人に謝れ」
提示されたのはボロボロの家だった。家の近くの山をずっと奥にある怪しげな雰囲気が漂っていた。
「ありがとう!俺、ここに行ってみるよ!」
そうして俺は放課後にここへ行ってみる事にした。山の中をスニーカーで登っていく。
「たしかここら辺…お、あった。」
「あのー、誰か居ますか?」
画像で見た家よりもボロボロだったが、気にせず行く。扉の前に立って扉をノックする。炎華に不思議な方法で会うのではなく実際に会えるので、心臓がドキドキしている。
「…誰だ。」
中から出てきたのは白髪混じりロン毛のオッサンだった。オッサンといっても、五十代後半か60代前半ぐらいで白衣を着ていた。炎華の父なのか?いや、父だとしても随分と老けている。
「俺、
「君が…イズミちゃんか?」
「えっ、あぁ、はい。」
な、なんで俺の名前を知ってるんだ?しかもその呼び方は炎華しかしない。こ、このおっさんが炎華?!って、違うよな。やっぱりこの人が炎華のお父さんなのかもしれない。
「あ、あの!どうして俺の名前を?しかも炎華と同じ呼び方で。」
「ここで立ち話をしていると熊に襲われるぞ、中に入りなさい。」
「…はい。」
ここ熊が出るんだな。中に入ると意外と綺麗だった、綺麗というよりかは物がほぼないって感じだけど。コンモリはまだ流行ってんのかな?
「君…いや、泉水くんか。炎華の事で来たのだとしたら15年も遅い遅刻じゃないか。」
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