第9話〜公園

ある休みの昼の日だった。俺は家の近くの公園で、コーラを自動販売機で買って公園のベンチに座っていた。


「何が楽しくて公園に来て、1人虚しくコーラ飲んでんだろうな」


勉強が嫌になったので、気分転換きぶんてんかんで来たわけだがやることがない。いや、やることはあるけどそれをやりたくはない。


ずっと、このままボーッとして生きていくのか。どんどんぬるくなって炭酸も抜けつつあるこのコーラのような人生を、歩んでいくのだろうか。


「…あー、うま」


空には鳥の群れが飛んでいる。鳴き声が聞こえてくるが、そんなに気にする程でもない。だって俺は鳥ではないし、ヤツらがどこを飛ぼうが関係ない。


でも、その鳥の群れは楽しそうだった。


「あ」


公園の外には高校生がいた、俺が目指しているところの高校の制服を着ている。その高校生達は笑顔で話している。


「あー、早く高校行きてぇ」


遊び友達はいる、しかしその大半は勉強に集中しておりジョークのひとつも言わなくなった。みんな、夢があるって言うが。


「しょーもない夢、途方もない夢」


だが、お前が1番見ていても仕方のない夢だ。自分の頭のそこからそう、聞こえた。考えれば考えるほど、そう思って仕方がなかった。


親にも先生にも話したが、けなされるばかりで何も参考にならない。先生は「もっと高いこころざしを持ちなさい。いつまでも若い訳ではないのだからね」


お袋には「そんなのは指で数えられるほどにしか居ないわよ、銀行員とか大手企業の課長とかに就職した方がいいわよ」


親父には「日本男児ならばそんなモンを生業なりわいとせず、先祖に誇れるような商いあきなをしろ」


俺は言われた事を思い出して、涙が溢れそうになった。ただアドバイスを貰っただけなのに泣きたくなるのはストレスのせいだろう。


そっとベンチに横たわり、顔にジャージを乗っけて寝た。


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