第7話〜友達

今日はいつにもまして、暑い。それに加えて雲ひとつない晴れだから尚更なおさら暑い。


汗が背中にいくのが分かり、さっさと学校に行って汗をぬぐいいたい…そう思っていると後ろから誰かに強く押された。


「っうえ!」

「よぉお!お前と登校の時、会うのは1年ぐらいじゃね?」

「マジビビるからやめろって」


押した犯人は、畑端はたはしだった。みんなからのあだ名は筋肉ゴリラだ。


この筋肉ゴリラは人の背中を押すのが好きで、登校の時にやられると普通にビビる。


「まぁまぁ、そう怒んなよ。昨日聞いた話でよ、高田たかだ狭間はざまさん付き合ったらしいぜ!」

「えっ…そこくっつくの?うわー3年なりたてで、彼女出来るは羨ましいわ」


ガリ勉こと高田たかだ狭間はざまさんはあまり似た者同士とはいえない。クラスでも全然話してなかったし、朝一番のニュースだった。


「俺も彼女欲しいわー」

「俺らのクラスじゃ無理じゃね?性格ゴミゴリラばっかじゃん」


それもそうだ、俺のクラスは大半の女子が笑う時に拍手をするタイプのゴリラだ。正直、タイプではない。いや全くタイプじゃない。


「筋肉ゴリラのお前が言うな。あー、夢の中であったあの子が1番可愛かったなぁ」


炎華ほのかちゃん…性格も良かったしなにより可愛いかったな、自分でもちょっと理想高すぎは思うけど仕方ないか。


クラスの女子には俺は全く興味を示されていない。アイツら、「優しい人が好き♡」とか言う癖に不良とばっかり付き合っている。


「夢の中ねぇ、俺も夢とかコントロールして理想の子と出会いたいわ」

飴岩あめいわ君、畑端はたはし君おはよう」


声をかけてきたのは、高田たかだだった。あだ名はガリ勉で筋肉ゴリラにいつもイジられているちょっと可哀想な奴だ。


「お前マジで狭間はざまさんと付き合った?付き合った?」


筋肉ゴリラは興奮気味で鼻息を荒くしていた、その鼻息で俺ごと飛ばせるほどに。ガリ勉はモジモジしながら答えた。


「うん、ひなちゃんと付き合う事になったけど誰にも言わないで。バレたら僕怒られるから…」

「もう名前呼びか、手が早いんだなぁ。ガリ勉くんはよ」


俺はガリ勉ににらみを効かせた。ガリ勉に出来て、なぜ俺には出来ないのだろうか。謎は深まるばかりだ。


「おーおー彼女出来たからって調子こいてんじゃねーぞ、ガリ勉」

「筋肉ゴリラにも早く出来たらいいね、ほら僕達のクラスに瀬山せやまさんいたでしょ。あの人は?」


ガリ勉は負けじと、筋肉ゴリラに対して煽りをした。俺はそれを横目にあの夢の事に対してふけっていた。


「アレはバケモンだろ!?性格ゴミレベルじゃねぇし、風呂1年は入ってないだろ」

「だからこそお似合いでしょ」

「んだとこのクソガリ勉!お前がゲロ可愛い狭間はさまさんと付き合えてるからそんな事言えるんだろ!」


やっぱり夢なのだろうか…隣で口喧嘩している2人とは距離は近いものの、心の距離は遠ざかっていくばかりだった。その後は学校につくまでずっとあの夢について考えていた。

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