第6話〜夕飯

ベットから起きて自分の体を触る。よかった、何ともない。周りを見渡してもいつも通り俺の部屋だった。


「いずちゃん、何してるのよ。早く降りてきてらっしゃい」


お袋はそう吐き捨てて、1階に降りた。あれは夢だったのかは分からないがとてつもなくリアルな夢だった。


1階に降りて、食卓につく。テーブルの上にはご飯、味噌汁、おひたし…いつも通りの普通のご飯が置いてあり親父と姉貴はもう食べていた。


「いずちゃんも早く食べなさい」

「分かってるっての」


お袋がうながすので、俺はイライラした。反抗期ってのは本当に面倒くさいと思いながら飯を食う。


「そういえばよー俺、さっき超リアルな夢見たんだけど。感触とかもガチで触ってる感じでビビったわー」


一応、家族には言っておこう、別にあれはタダの夢だしな…超リアルなだけのな。でも姉貴はケッと言って、箸を進めた。


お袋は反応して興味を持っているようだ。親父は相変わらず無言で、食べている。


「お母さんはそういう夢は見ないわねぇ、お父さんは見るかしら?」


お袋が親父に話題を降った。しかし親父はどうでも良さそうな顔で素っ気なくいった。


「ワシは夢は見ない。ましてや、夢に感触なんてある訳がないのだからな」

「もぅ、お父さんはホントに夢がないわねぇ。ホントは見てるんでしょ?」


親父はお袋に指でツンツンされて少し笑顔になってはいる。うへぇ、親のイチャコラなんて見たくないぜ…そして姉貴は俺のおかずであるしゃけを奪った。


「ちょ、姉貴やめろよ!俺のシャケだ!」

「お前が余所見よそみしているのが悪いのよ、はー勝ち取ったシャケうまぁ…」


姉貴はほこらしげに、俺から奪ったしゃけをゆっくりと口に入れている。仕返しに姉貴のおひたしを奪ってやった。


「あーそれアタシのおひたしでしょ!返せ!」

「はいはい余所見よそみしているのが悪かったんですよね?ははっ、ざまぁ」


俺は姉貴と同じ事をやり、姉貴を煽った。顔真っ赤になって怒っているが因果応報なんだよな。


姉弟喧嘩をしていると、お袋が仲裁に入ってきた。親父につんつんしながらだ。


「もー姉弟なんだから喧嘩はやめなさいよね!お父さんとお母さんみたいに仲良くしなさいな。ねぇーお父さん♡」

「…あぁ」


俺は姉貴と顔を合わせた。誰も親同士のイチャコラなんて見たくはない、それは姉貴も同じだった。同時に、


「うぇぇ、気持ち悪い」

「もうさっさと…んぐ、食べ…て部屋戻る」


大きな口で頬張ほおばり早くご飯を飲み込み、姉貴は去った。俺は少し遅くなって完食した。


結局、あの夢は何だったんだろう?



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