第4話〜謎

一旦整理しよう。俺は自室で寝ていたらこんな白い部屋に来ていて、謎の女子…炎華ほのかに出会って今話している。


「なんてこったよ、こんなおかしな事起きるはずもないのに」

「ねぇねぇ!泉水いずみちゃんはどうやってここから来たの?」


炎華ほのかは相変わらず目を光らせて俺の情報を聞きたがっている。まぁ、悪い気にはならないがちょっと頭が混乱している。


ベットに俺は座った、立ち続けるのも疲れたしな。隣には前を向いた炎華ほのかが居て俺はまっすぐ、俺から見て正面の壁を見ていた、別に恥ずかしいとかじゃないから。


「自分の部屋で寝ていたらここまで来ました、本当にこれは夢じゃないんだよな?」

「…夢なら、触れる事も出来ない。それは泉水いずみちゃんも同じでしょ?」


炎華ほのかの手が俺の顔に触れる。小さな白い手が俺のほほを撫でるように触っている。いきなりの事だったので、驚いた。


この子すっごい積極的なんだが、もっとこう「夢だったら殴っても痛くないよね?」って感じで殴られるかと思った。俺の姉とは大違いらしい。


「くすぐったいからやめろ、まぁ、これでゆめじゃないってことわかった」

「なんでそんなに片言なの?変なの」


炎華の手を掴み、元の位置に戻しといた。純粋な俺の心はドキドキしていた。いきなり女子に触れられるなんて思ってなかったからだ。俺ってば、ピュアだな。


「うーん、やっぱり何故ここに来たのかさっぱり分からないな」


考えても見ろよ、なんでいつも寝ている自分の部屋からこの白い部屋に来たのかさっぱり分からない。


「そんなの考えてもたぶん、結論は出ないと思う。アナタと会ったのは奇跡とか偶然じゃなくて、必然だったのかも」

「あの本にも書いてあったわ、何か会う者必ず必然である…ってね」


彼女は、真剣な顔で俺を見ている。頭から足のつま先まで。おいおいずいぶんとドラマチックなロマンティックな…でも炎華ほのかの言う通り、考えても、結論は出ないだろう。


「あの扉って開くのか?」


そうだ、外に行こう。外に出て誰かに聞けば何かわかるかもしれないし。俺が言った後、炎華ほのか露骨ろこつに嫌そうな顔をした。


「開くよ、でも外からで入ってこれるのは父様だけ。でもアナタは何故か入れた」

「今まで父様しか話したことがないから、もっと泉水いずみちゃんと話していたい」


父様以外と喋った事がない…父様しか入って来れない…中々その父様は束縛キツめ過保護なのねぇ。それに俺はちょっとゾッとした。


「お前の父さん過保護すぎじゃね?てかその言い草だと、炎華ほのかちゃんって学校行けてなくね?」


外からしか入って来れないとなると、自然とそうなる。そして炎華ほのかは残念そうな顔をしたあとに明るい笑顔を見せた。


「うん、自宅学習だよ。でも仕方ないよ、炎華ほのかは病弱で体がとても弱いから」

「あーね、体が弱いから学校は行けないのか。オケオケ」

「ねぇねぇ!学校って先生っているんでしょ?医者とどう違うの?」


学校に行けないから、先生を知らないのか。うーむ、難しい質問だ…正直俺は良い先生に出会った事がないから難しいなぁ。


「医者は体を治すだろ?でも先生はそんな事はしないぜ、ただ教えるだけ」

「そうなんだ…じゃあ全く違うんだぁ」


炎華ほのかうなずいきながら話を聞いていた。うなずく度に揺れる左目の花が綺麗だった。


「花、綺麗だなぁ…」

「へっ……!あ、ありがとね。炎華ほのかこの花でそんな事思った事ないから」


あ、やべ。なんか口説き文句みたいになった俺はそんなつもりで言ったわけじゃないのに。炎華ほのかはとても嬉しそうだったが、それもそのはずだった。


彼女にとってこの左目の花はコンプレックスのかたまりでしかなかったからだ。

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