9月7日(水)晴れ 後援する大山亜里沙
台風後の晴れ間が見えた水曜日。
この日の帰りのHRに席替えが行われる。
長らく居座った出入口側の一番前の席からお別れし、真ん中の後ろから2番目の席になった。
ただ、話の本題は僕の位置ではなく……
「うぶクン~! 何度目かわからないケド、今回もよろしくね」
その言葉通りまたしても大山さんが近くの席になっていた。
いや、毎回隣というわけではないから、そんなに驚くこともないのかもしれないけど、テスト時は必ず隣なのもあって、ずっと変わらないように感じてしまう。
「こちらこそよろしく。寝てたら容赦なく起こして」
「前にも後ろの席だった時には、うぶクンは寝てなかったから大丈夫じゃない? アタシが寝てる時は知らないケド」
「いや、それが月曜から塾が始まったんだけど、次の日の火曜日はめちゃめちゃ眠かったんだ。今日も塾があるから明日もヤバいかもしれない」
「あっ、行き始めたんだー なるほど、それならアタシに任せておいてよ」
「まぁ、その前に自分でちゃんと起きないと駄目なんだけどね」
「スルーしたと思ったのに掘り返すの!?」
僕の言葉に大山さんはオーバーな反応をしながら言う。
最近は真面目に授業を受けて欲しいというくだりも、一種のノリのようになってしまった。
もちろん、僕としては本当にきちんとした方がいいと思うけど、これはこれでお決まりのやり取りとしていいかと思うようになった。
「この後すぐに塾なの?」
「ううん。7時からだからちょっと空くよ」
「じゃあ、ちょっと時間空くわけだ。そっかそっかー いい感じならアタシもそこに通ってみようかな」
「今の時点では何とも言えないけど、教室は綺麗だし、いい環境だとは思うよ。あとは先生がどんな感じかかな。月曜と水曜では違う先生らしいし」
「ふむふむ」
「あとは路ちゃんも通ってるからそっちの意見も参考にして」
「えっ、ミチも?」
「うん。というか、僕も紹介して貰った立場だから」
「……なるほど」
大山さんは少々驚いたような感じだった。
僕は大山さんと路ちゃんがどれくらい情報を共有する仲かまでは把握していないけど、これについては初耳だったらしい。
「あっ、アタシはそろそろ部活行くから。また明日ね、うぶクン」
「うん、また」
そんなこんなで2学期の暫くの間はまた大山さんと近くの席でやっていくことになった。
起こしてくれることに関しては全然期待していないけど、楽しくやっていける友達ではあるので、そこは安心だ。
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