9月6日(火)曇り時々雨 松永浩太との歓談その5

 台風が来た火曜日。

 しかしながら、僕が朝起きた時点では風こそいつもよりも強かったけど、大荒れではなかった。

 僕は親に送って貰うのは遠慮して、傘を持って徒歩で登校することになった。

 

 そして、無事に学校へ到着して朝のHRが始まると、電車通学の人は影響を受けて休んでいる人がいるという状態だと知らされる。

 それでもクラスの大半は登校できていたので、授業は通常通り始まる。

 その代わり、帰宅時の影響を考えて今日の部活は全体で中止になった。


 なので、帰りは松永と徒歩で下校した。


「伊月さんと一緒に帰らなくて良かったの?」


「今日は車で迎えに来て貰うって。俺らくらいじゃないの、普通に歩いて来てる」


「そんなことはないと思うけど、今日は駐車場めっちゃ混んでたな」


 長らく送り迎えされていないので、傍から見た感想だけど、雨の日など天候が良くない時には学校の周りに軽い渋滞ができる。

 今日は部活が中止されたこともあって下校時も車の列ができていた。


「あれだけ多いと普段の倍以上帰るのに時間かかりそうだ。それにしても何だか中途半端な台風だったなー」


「どうせなら休みが良かった?」


「そりゃあ、そうだよ。まぁ、部活が中止になったのはちょっとラッキーだけど」


「松永って部活楽しみにしてるタイプの人間じゃなかったのか」


「みんなと会って話したり試合したりするのはいいけど、筋トレオンリーとかじゃちょっとやる気出なくなる。雨の日だとだいたいそうなるし」


「あー、テニス部だとそうなるのか」


「りょーちゃんとこはまだ文化祭で忙しいとかじゃないよね? 茉奈ちゃんも絶賛創作中って言ってたし」


「うん。体育祭が終わった辺りからが忙しくなると思う」


「このまま涼しくなったら体育祭もやりやすいんだけどなー」


 そんな他愛のない会話をしていると、突然雨が降り出す。

 台風は過ぎ去った後だから大気はだいぶ不安定なようだ。


「うわぁ、傘差さずに帰れると思ったのに」


「いや、逆にここまで傘なしで行けると思ってなかったよ。もっと大荒れだって聞いてたから」


「天気予報なんてそんなもんですよ。まぁ、おかげでりょーちゃんとゆっくりと帰れたから良しとするか」


「お、おう」


「えっ、なに? 照れてんの? 可愛いじゃ~ん」


「なんだその絡みは。やめろ!」


 そう言いつつも僕は先日の件があるから、松永と普通に話せて帰れたことに少し安心する。

 この辺りで台風の被害は特になかったし、いつもと少しだけ違う日だったけど、良い日が送れたと思う。

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