7月6日(水)曇りのち晴れ 大倉伴憲との日常その16
期末テスト3日目の水曜日。テストが終わったの後夕方から晴れ間が見えて、本当に台風は消滅したことを実感する。しかし、そうなると暑さが戻ってくるので良いことばかりではない。
そんな今日は大山さんに声をかけられなかったので、休み時間中は大倉くんと話していた。こういう書き方をすると、まるで僕が女子の方を優先しているように思われるかもしれないが、昨日もあの時間以外は大倉くんと話していた。
昨今は悪意のある切り取りをされる可能性があるから一応言わせて貰おう。
「で、でも、実際のところボクと大山さんの同時に話しかけられたら……どっちを優先するかはわかってるよ……」
でも、その釈明を本人することになるとは僕も思っていなかった。さらに言い訳させて貰うと、昨日は大山さんが休み時間に入った直後に僕へ言ってきたので、大倉くんの発言が被ったわけではない。
ただ、いつも通りの流れなら大倉くんと話していることになるから、大倉くん側にも主張する権利はあるのだろう。
「優先なんて考えてない。それとも大倉くんは僕が裏切るように見える?」
「う、産賀くんは裏切るタイプじゃないとわかってるし、決断するのに悩んでくれるとは思うけど、それでもボクは勝てないと思う」
大倉くんの僕に対する印象に少し感動する。だけど、大倉くんはその上で僕が見捨てる可能性を考えてしまっているのに心が少し痛んだ。
「そんなことないよ。僕にとって大倉くんも大切な存在だ」
「じゃ、じゃあ……本当にどちらかしか救えない状況だったら……?」
「それは……似合わない台詞かもしれないけど……」
「う、うん」
「両方を助ける道を見つけるさ」
「お、おお~!」
……振り返ってみると、大倉くんも含めて何を言っているんだろうか。数日前に松永が恥ずかしい台詞を言ったことに恥ずかしがってしまったけど、大倉くんと話している時は別の意味で恥ずかしい台詞を平気で吐いていた。
でも、いくつになってかっこいい台詞や必殺技は声に出したくなる時があるものだ。今日はたまたま僕が言ったけど、大倉くんもキザな台詞を言う時もあるし、松永や本田くんと集まった時でもみんな乗ってくれる。
まぁ、それをテストの休み時間中に言っているのは……ちょっと疲れていたということにしておこう。今日で折り返しだからちょっとした息抜きが必要だ。
残り2日間を終えるまで、僕たちの戦いは終わらない――うん、今日はこういうテンションの日だった。後から見返してもあまり気にしないようにして、いつかの僕。
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