9月11日(土)曇り 大倉伴憲との日常その7
久しぶりに5日間の学校後の土曜日。この日は清水先輩からの連絡がなかったので9時前までぐっすり寝ていた。
そして、お昼過ぎからは大倉くんと通話を繋いでゲームや雑談を始める。
『もう来週の今頃には体育祭だね』
「うん。まぁ、終わってしまえば何てことないんだろうけど」
そんな大倉くんも体育祭そんなに楽しみでない派の一人だった。この派閥の人を躍起になって見つけようとしているわけじゃないけど、共感できる人がいるとちょっと喜んでしまう。
『そういえばうちの地域だと9月頃に運動会をやるけど、他だと春頃にやるところもあるんだよね』
「そうらしいね。そっちの方が涼しくて良さそうだけど、1年生は入学してすぐに運動会になるのはどんな感じなんだろう」
そう思った僕と大倉くんは春の運動会について少し調べ出す。すると、春の方が晴れの日が多いだとか、春先にやることでクラスの団結力が高まるとか、そんな理由が出てきた。どうやら僕が思っていた気温的な面は二の次のようである。
「でも、春先にやるとそれぞれの運動能力がわからないから競技の忖度はして貰え無さそうだな……」
『そ、そうだね。ボクなんか本当に一種目しか出なくていいのってちょっと思ってる……産賀くんは部活対抗リレーに出るみたいだし』
「僕だってそれがなかったら一種目だけだから変わらないよ。むしろ一種目の方が……」
僕はそう言いかけたけど、また森本先輩と同じようになりそうだったので何とか止める。いや、森本先輩が悪い例ではないんだけど、自分で出ると決めたんだからあまり愚痴を言うのも良くない。
『じ、実を言うと……部活対抗リレーだけはちょっと楽しみだったりする。産賀くんが部活動としてどんな風に走るのかなぁって』
「へぇー、そうなんだ?」
『で、でも、走らないボクがそんな風に考えるのはあんまり……』
「ううん。確かに僕も松永や本田くんがどんな活躍するかは気になるな。僕の方は……あんまり期待しないで欲しいけど、それなりにやってるから応援お願いするよ」
大倉くんは体育祭そんなに楽しみでない派だけど、その中で楽しみを見出しているようだ。まぁ、僕も体育祭が始まるまでは文句を言っていても終わった後はそんなに悪くなかったと思うものだ。それはどちらかというと友人ががんばっている姿を見る方だけど……僕も見られる立場になるならちょっとはがんばるべきかもしれない。文芸部だけど。
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