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 「はぇ?ココどこ?」


 気がつくと俺は真っ白な空間にいた。おかしい、さっきまでコフリン村の鬼笑茶屋で魔王と血湧き肉躍る大戦(捏造)を繰り広げていたはずなのに、どうして急にこんなことに……。


 「フッハッハッハッ!気がついたな勇者よ!」


 ま、魔王!生きていたのか、あの致死的攻撃を受けてなお立ち上がるのか!くっ、なんてしぶとさだ。


 「オイ、魔王ここはどこだ?まさか___【結界】」


 「いや、そんな大層なものではない。ただのであるぞ」


 ……は?


 「アニメで言うとまだ背景と下色が決まっていない状態じゃな。ちなみにここから出る手段は無い!」


 「あっ、了解。なんとなく理解できたわ、とりま説明不可能な超常現象ってところだな?」


 「そうじゃ、なのでこの状態がどうにかなるまで一旦休戦しようではないか?」


 ふむ、確かに休戦すべき状況だ。……しかし、誰もいない真っ白な世界、男女二人きり、何もないはずがねぇよなぁ!!!


 「解説、ニューマスターのお粗末な脳には状況がインプットされないと判明」


 「おわっぁ!?お前いたのかよ!!」


 勇者であるはずの俺に気配すら悟らせない機械っ娘、やりおる。流石は強キャラ。

 ……ちなみに、実は敵の気配とか感じたりする主人公補正は自分に掛かってなかったりする。クソッガァッ!?


 「いたのではありません。


 「は?創られた?」


 「うむ、それは吾輩から説明しよう」


 急に話のバトンを奪った魔王と、それに何も言わない機械っ娘。あれ?こいつらこんなに仲良かったっけか?


 「この世界はズバリ創造者の怠惰によってできたもの!簡単に言えばサボり、ストーリーが思いつかづにテキトー書き綴ったものじゃな!!」


 「なんだその駄目作者は!?」


 「ニューマスター、上方を視認するとあのバカのアホ面が見えるような気がします。やって見て下さい」


 あー、なんか見えるわ〜、ミジンコよりIQ低そうな顔が見える気するわ〜。……俺らそんなのに創られてたのか。後数年で崩壊する系世界よりもよっぽど危ういな。


 「てか、お前らがそんなにメタいこと言うなら俺からも一つある。……打ち切り、前回が最終回じゃなかったのか?」


 「うむ、確かに前回が最終回だったな。までは!」


 「は……は?どゆこと?」


 「補足説明します、it is 作者の気分」


 「覚悟にぶすぎだろ!?切るならの切れよ!!?」


 勝手に冒険を絶たれて勝手にコンテニューさせられるこっちの身にもなってみろ。考えてみれば命の損失にも等しいんだぞ!?殺す覚悟ないなら殺すな作者!?


 「……っと」


 なんだ、急に目眩がしてきた。


 「あぁ、来たな」


 「は?来たって何が……」


 魔王は黙って上を見つめていた、それに倣うように俺も上を見つめるが……なんということでしょう、何もない真っ白な空に色が着けられているではありませんか。多分これ、今話終了のアレですね、分かる。


 「勇者、言っておきたいことが一つある」


 「え、なに?」


 「世界が構成されればここでの記憶は無くなるから、そこら辺ヨロじゃ」


 俺は絶句した、メタい!そして何よりご都合主義が過ぎる!サボりだからといってそこまで怠けるか作者よ!?

 ……と、その時、魔王が一つ咳払いをした。その顔は、少し火照ってるようにも感じた。


 「勘違いするでない、まだ最後の一言は言っておらん」


 魔王は少し震えていた。怒っているわけではなく、もっと単純で、それでいて熱のある感情がそこに見えた気がした。

 そして、魔王から放たれた一言が、俺に何かを確信させる。


 「これだけは伝えたかった、吾輩にとって勇者は……その、悪くはない男じゃから。急に変な話だが、妙ちくりんなお前は見ていて楽しい」


 魔王はそこまで話すと、なにかから逃げるかのように空へと飛び立った。降ってくる羽は黒曜石のように硬く、そして美しい。世界が色付いていくなか、最後の一言はどんな色よりも色彩豊かに映ったのだった。


 「吾輩は……好きなのかもしれない、勇者でありながら魔王に冗談をかます、不躾で自由な君のことを」


 自然と俺は理解した。自分の心の内側、見えにくいその色彩を。

 思えば、機械っ娘よりも先に魔王に出会ったんだな。不思議なものだ、因縁の関係なんて言っても結局はそれも縁で、だから好きになってしまう可能性だってあるんだ。尤もその確率論は、大胆にも二重の当たりを出したわけだが。

 あぁ、そうだな正直になろう。俺は魔王を___。、___@.___


 ___【物語が構成されました】


【errorを消去/Worldを再開します】


【第15話 カンワ 】start

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