第10話【キカイ ドコ ?】
【王都:時計塔前】
今日は待ちに待った旅立ちの日!昨日はあまり眠れなくて倒れそうなぐらいに睡魔が襲って来るけど、楽しくステップなんか踏んじゃってます!イェイ!!楽しみ!!
ーーーつって、さぁ。
……なんで待ち合わせ場所に誰も来ないの?
ヒュウゥゥ、と乾いた風が、虚しくもこの時計塔前広場に吹く。今日は心地良い天気だ、見れば太陽が真上まであがっていて、雲ひとつない晴天はまるで逆さ吊りの海のようでなかなかに詩的ではないか。いい日だ!……いい日、なんだ。
「……」
あゝ、現実逃避。なんと虚しい、一時は悲しみを忘れられてもふとした時に感情の後払い。悲劇は連鎖する!悲しき
……約束を、破った?
考えて見れば、俺との約束なんてどうでも良かったとして、けれどおじいさんとの約束はどうなった?それこそ破れないものなのではないか?ならばこの場、自分で言うのも何だけどユウシャの旅立ち(野次馬の一人もいないけど)に居ないのはどう考えてもおかしい。理由があるはずだ。
「……探そう、機械っ娘が心配だ」
【ナモナキ丘:推奨レベル5】
結局、王都近辺は全て回って全て外れた。残ったのはここらだけなのだが……なに?このクレーター??戦地ですか?
「……」
足跡と何かを引きずった形跡、発見!なるほど機械っ娘の体重は芝にくっきりとあとが残るぐらい重いと。また一つ有用な情報が手に入ってしまったね!……使ったら、確実に死ぬけど。
さて、跡を辿るにやっぱり鉱山のほうか。
ーーーいた。
深さ10mはあるクレーターの中に、機械っ娘はいた。廃鉱山はもう完全にクレーターと化している。山一つなくなる爆発とか、どこの宇宙の方ですかだよ。あのおじいさん本当に何者?
「待たせてしまいました、ニューマスター。待ったならもう少し待っていてください」
俺は「あと何時間〜?」と口に出かかって、踏みとどまる。そこには酷く美しい静寂だけが目に見えて映っていた。機械っ娘は
一際大きいクレーターの中には、2メートルはある大きな木の墓。ちょうど瓦礫で雨風を防げているようで、何気にすごいバランスで組み合わさっているそれが機械っ娘にしかできないのは良くわかっていた。そうかい、墓を造っていたのならしょうがない。許そう、50Gで遅れは許そう。まけてくれと頼むのなら、49Gにしてやってもいいぞ?こちとらメチャクチャ寂しかったんだからな!!分かれ!
「終わりました。ニューマスター」
それから10秒ほどして、機械っ娘はクレーターを跳んで登った。急かした俺が言うのも何だが、もう少しゆとりを持っても良かったのに。
「たった二言、言ってきました。ありがとうの祝いの言葉と、置いて行きやがっての呪いの言葉です。内容は言えませんが、きっと天国でガタガタと震えています。マスターはなんでも持っているようで、実は何も持っていませんから、きっとあっちでも必死に何かを得ようとしていることでしょう。けど、みんながいるから楽しいんです。絶対にです」
機械っ娘はいつもよりも饒舌だった。瞳の先が少し下を向いていて、それがどうしてか俯いているようにも見える。水に石が落ちたように、心という名の湖に動揺が走ってしまえばそれはなかなか消えるものではない。だから、あえてそこには触れずに、別の言葉をかけることにした。
「行こう。相棒」
機械っ娘が無表情で沈黙し、袖を握る。相変わらず肉が千切れそうになるほど痛かった。
「……」
10Gと一緒に貰える【ヒノキノボウ】が次回いろいろするようだが、どうすればいい?
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