仁義なき女の戦い パート2

チカチカ

1話完結。

アタシはちょうど1年と少し前、デビューを果たした。

思えばそれまで、あの子に先を越されてばかり。

あの子ときたら、日本人ならほとんど全員、あの子を好きなんじゃない?ってくらいに人気がある。

アタシとあの子、どこが違うっていうのよ。ルックスは似てると思うのに。

アタシは派手系、あの子は地味系、アタシの方が華やかさでは負けていない。

だけど、そう、あの子ときたら・・・・・・なんていうか、儚げ?

そこかしらね、日本で受けているのは。

サクラのやつ、あざといんだから。

アタシだって、海外じゃちょっとしたものなのよ、アタシの方が人気が高い国だってあるんだから。

でも、負けない!だって、ようやく、アタシを見い出してくれたプロデューサーがいるんだから。

ずっとずっと、サクラのやつばっかり日の目を見ていて悔しかったけど、「モモ、君が必要なんだ。」って言ってくれたプロデューサーのために、頑張るわ!

まあ、そりゃあ、デビューしたての一年前は、サクラに惨敗だったけど。

でも、今年は違うわよ、プロデューサーが私の魅力を最大限に引き出すために、そりゃあ力を入れてくれたもの。

ふん、もうすぐサクラの出番だけど、見てらっしゃい、あんたとアタシ、本当にすごいのはどちらか、一緒のステージに立てば、はっきりするわ。


・・・・・・え、ちょ、ちょっと待ってよ、退場ってどういうこと?

だって、あの子が、サクラがようやっと来たんじゃない。アタシとあの子、ようやっと同じステージに立てるのよ、もう少し待ってよ、ね、ねえ、アタシにもう少し出番を、出番をちょーだーぁぁぁい!!!


「やっぱ、売れないっすね、これ」

「だよなあ。何でも、本部の企画課長が、「今年こそ、桃の魅力を最大限に引き出した!キャッチコピーも作り直したぞ!」って力入れたらしいけどさ、去年とそんなに変わってないよな」

「なんで桃の花のスイーツなんすかね。日本で春といや、桜の花でしょ」

「企画課長の奥さん、中国の人なんだと。中国じゃ、桃の花の方が人気らしいぜ。で、奥さんに頼まれて作ったんだとさ」

「はー、そういうわけっすか。でもねえ、ここ日本だし」

「だなー。じゃ、撤収すっか。んで、新商品、並べようぜ」

「あー、今日も上がるの遅くなるっすね」

二人のコンビニ店員は、山のように売れ残った「一足お先に春を感じてみない?うきうき桃の花まんじゅう」をバックヤードに片付け、「春限定スイーツ 桜の花のふんわりケーキ」をレジ前に並べた。

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