ハーダー、ベター、ファスター、ストロンガー 4

 そうは言ったものの、ダイヤモンドのダメージは深刻だった。元々、ウルツァイトを相手に一番長く、一番密接して戦っていた彼女である。ホワイトリリーの強化された回復魔法があっても、消耗は避けられない。傷こそ腕に噛みつかれたもの以外ありはしないが、ルビーにまだ必殺技を使えるかと訊いたときにはもう、危険信号が灯っていた。


 そこへきてスピネルのボウガンである。打たれ強いダイヤモンドだが、中身まで頑健というわけにはいかない。幸い、矢は片方の肺に命中しただけだったが、心臓などに当たっていればショックで動けなくなっていた可能性もあった。肺だって危ないが、魔法少女の体であれば、呼吸ができなくなっても、回復魔法さえかけてもらえれば動くことはできる。


「余計な怪我を負っちまったな……」


 ダイヤモンドが独り言ちる。剣を出し、チャージをはじめる。


                  ▽


 ウルツァイトがルビーに向けて車を投げる。ルビーは炎を出しながら空中を飛んでなんとかウルツァイトの攻撃を避けている。


 そろそろルビーの目くらましも通用しなくなってきていた。魔法使いとなったウルツァイトにも火に対する原始恐怖はあるが、それが自分をまったく傷つけられないとあれば、気にせず攻撃してくるようになってしまう。そのためルビーは近距離まで寄ることでウルツァイトの動作を釣って、なんとか彼女を引き付けている。


 オブシディアンはウルツァイトの動きを読もうとしているが、なかなか隙がない。胸のほうではなく背中側に傷を作るべきだったか、と思うが、ここまで来たらやり直すというのも厳しい。それにウルツァイトは今はルビーを相手にしているが、オブシディアンを警戒していないわけではない。


 それどころか、オブシディアンを一番に警戒しているぐらいなのだ。ここまで自分にダメージを与えたのは、ダイヤモンドが打撃やチャージでかなり。ルビーからはなし。巨大な魔法使いからはほんの少し。そして、オブシディアンからはそこそこである。しかし、オブシディアンからのダメージはダイヤモンドのそれと比べると、防ぐ方法が限られるという特徴がある。アーマメントを防ぐにはオブシディアンを近づけさせてはいけないし、キックは、絶対に当てられてはいけない。


 これは、ウルツァイトの考えていることではない。ウルツァイトの未熟な脳みそでは、そのような考察はできない。これはウルツァイトの戦闘勘のなせる技である。どれだけ研ぎ澄まされた戦闘の流れを読む力よりも、そちらのほうが厄介だ。特に、ウルツァイトのような魔法少女がそれならば。


 彼女の頑健さは、度を越している。


 ルビーは“宝石王の威光”を一回分、魔力を残していた。


 オブシディアンがキックを当てられれば、ウルツァイトを仕留めることはできる。そのために温存していた魔力だ。自分がウルツァイトをよろけさせ、隙をつくる。


 ルビーはウルツァイトの爪を避け、彼女の背後に降り立ち、「マジェスティ!」と叫んだ。そして、すぐに必殺技の構えを解いた。ウルツァイトがオブシディアンのほうへ行ったのだ。


「そりゃそうだ、と」


 しかしオブシディアンは、慌てなかった。逃げるのではなく、逆にウルツァイトの懐へ飛び込んだ。拳に黒曜石の爪をつけ、肘の後ろに三つ、黒曜石を配置する。


 ウルツァイトは避けなかった。オブシディアンも狙いを外さなかった。拳が杭に突き刺さる。


「やっ」


 ……た、と、ルビーが一瞬、喜びの声をあげそうになる。しかし、ウルツァイトの陰から見えるオブシディアンの顔色を見て、逆のことが起っていると知る。


 オブシディアンの拳は確かにウルツァイトの肩に刺さっていた黒曜石の杭を叩いた。威力は十分。キックに比べれば弱いかもしれないが、ウルツァイトに大ダメージを与える筈だった。


 そう、はずだったのだ。


「傷が! こいつ!」


 オブシディアンが叩くはずだった杭と、ウルツァイトの体に刻まれていた傷。それが叩く寸前になくなったのだ。正確には、ウルツァイトが体の傷を治し、杭を圧力で割ったのである。


――簡単に杭が刺さったのはこういうことだった……! 誘ってやがったんだ。わたしを! こっちはまんまと引っかかったということだ!


 ウルツァイトがオブシディアンを押し倒す。


 噛みつこうとしてきたウルツァイトの顎に対し、オブシディアンが両手をクロスして差し出す。


 ウルツァイトの動きが止まる。アーマメントを使っているとバレているのだ。


 代わりにゆっくりとオブシディアンの胸に爪を沈み込ませていく。ウルツァイトの体にも傷が刻まれるが、オブシディアンのそれに比べれば随分浅い。やはり個体の能力によっては効き目が変わるらしい。


 ルビーが再び魔力を込め、ウルツァイトの背中に焦点を合わせる。


「使うな!」


 オブシディアンが言った。


「その一回しかないんだろ! なら今じゃない!」


 そう叫んだものの、本当にそうか。オブシディアンには疑わしかった。今ここで自分が死んだとしたら、これを倒す手段があるだろうか。かと言ってルビーが魔力を使い切って飛べなくなった時、自分一人でウルツァイトからルビーを連れ出すには、体力を消費しすぎている。なら正しいのは、逃げろと言うことかもしれない。でもそれをきくルビーではないだろう。


「ダイヤモンド! なにしてる!」


                  ▽


 ダイヤモンドはちょうど、最後の傾斜に差し掛かったところだった。


「不味いよ、ダイヤモンド……。君の生命力が、なんだかどんどん減っているみたいだ……」


「……やっぱり? 毒でも塗ってあったのかなあ……あれに」


 ダイヤモンドが額を汗でびっしょりさせながら、一歩ずつ歩みを進めていく。


 胸の傷からどくどくと血が流れてきている。


「せめてチャージをやめないと! 身体が持たない!」


「お前だけでも先に行った方がいい。リリー。あいつら二人だ。倒してくれるなら万々歳だが、どっちもやられることだってありうる。それぐらいの相手だぜ、あいつは」


 それに、とダイヤモンドが言う。


「アタシが屋上につけたら――つけたらだが、そのあとはもうチャージしてる暇はないよ。今が最後だ」


 ホワイトリリーがダイヤモンドの回復を続ける。


 ダイヤモンドは壁に手をつきながらも、空を見上げた。


 バリバリとなにかの飛ぶ音がしていた。


                 ▽


 K県K市上空。一台の報道ヘリが空を飛んでいる。


 白いボディに航空会社と、局の名をのせたヘリからは、一人の女性が身を乗り出し、現場のリポートの準備をしていた。


 乗組員は、リポーターの彼女を含めて、ADが一人、カメラマンと音声が一人ずつ、そして操縦士が一人である。彼らは避難区域に指定されたところの少し外に本局を置くローカルなテレビ局であり、そのため他の局よりも早く動くことが出来たのだ。


「あのデカい魔法使いは確かに駆逐されたみたいですけど。でも警報は解除されてませんよ! 捕まったりしないですかね!」


 顔中ににきびをつくった若いADが心配そうに言う。


 魔法少女が魔法使いと戦うようになってから数十年、法整備によって、避難警報に逆らった者にたいする処罰は年々厳しくなっている。前は保険なし、事故に対してどんな請求も却下されるなど、自己責任的な要素が強かったのだが、数年前にある動画配信者が要救護者である自分を差し置いて戦いを続けていたとしてある魔法少女をあげつらったために、自己責任から処罰対象となった。その時の政府は、人間よりも魔法少女が重要なのかとバッシングを受けたが、結局、法案は押し切られ、法整備されている。


「処罰がなによ! だいたいね、一般人ならまだしも、こっちは報道機関よ! 報道に際して魔法少女に接近することはある程度許されてるし、罰則金を払うことになったって! このリポートを成功させれば御釣りがくるぐらいだわ!」


「ある程度ね……」


 その女性リポーターと付き合いが長いらしい音声が皮肉っぽく呟いた。


「どうやらうちの街の魔法少女たちは、優秀だったみたいね……。街が全然破壊されていないわ。スタジアムのほうに行きましょう。あそこなら瓦礫も死体もあるでしょうから」


 ADが異常なものを見る目でリポーターを見る。その視線を無視してリポーターが外の景色に眼を向ける。


 マイクをリポーターに向けながらも反対側の窓から下を見下ろしていた音声が、スタジアム周辺の破壊状況に感嘆の言葉をもらす。


「すごい。あれを見ろ、若林。あの破片がすべてあの魔法使いのものだ。オブシディアンだな、あれをやったのは」


 若林と呼ばれたADが一緒に窓の外を見る。宝石の海が下に広がっていた。朝日を受けてキラキラと輝くそれは、周囲に燻る火や瓦礫と合わせると、誇張された印象派の絵画のようでもあった。


「そんなのどうでもいいわよ」


 女性リポーターが言った。


「そんなことより、あそこ! カメラ、あそこ映して! まだ戦ってるわ! なにあの化け物……すごいすごい! 社長賞が貰えるわよ……」


 屋上に巨躯の化け物がいる。それがオブシディアンらしき人影を押し倒し、ルビーが少し離れたところに立っている。


 リポーターの要請を受けて、ヘリコプターが屋上に近づいた。


「おい! イカれてるぞ! こんなデカい音出して近づいて! あのバケモンがこっちに来たらどうする!」


「うるさいわよ音声。あんたの声が入ったらどうするの」


 リポーターが髪と化粧を整える。カメラマンにサインを出し、カメラマンがカウントダウンをする。音声が溜息をつきながらも、リポーターのほうへマイクを傾ける。そして、リポートを始める。


「見えますでしょうか! KTVより宇佐美がお送りいたします! 現在! 魔法使いの消滅が確認されたK県K市のスタジアム周辺ですが、まだ戦闘が続いている模様です! 我らがキュア・オブシディアン、それからキュア・ルビーが、トカゲでしょうか、とにかくデカい魔法使いと今、今まさしく戦闘を行っている最中です。頑張れ! オブシディアン! ルビー! ダイヤモンドはこの窮地の中、どこにいるのでしょうか! 現場近くにまだいるというかたは、外を出ないようにしてください。それから――――――――――――――――――――」


                 ▽


「どこの馬鹿よ! こんな時に!」


 ルビーが耳に手を当て、叫ぶ。


 そして、髪が揺れて視界を狭くされながらも、ウルツァイトがヘリコプターのほうを見上げているのを認める。


 オブシディアンもまた、自分の胸を抉る手が弱くなっていることを認める。


 ウルツァイトがヘリコプターのほうを見て、考え事をしているようであることもだ。


――ヘリコプターの音に気を取られたのかと思った。ウルツァイトは感覚も鋭いようだし、あの大きな音を鬱陶しがったのかと。ヘリコプターを襲うんじゃないかと。でも違う。ウルツァイトはなにかを聴いている。


 それは正しかった。ウルツァイトはヘリコプターの音に気を取られたのではなく、リポーターの声に気を取られたのだ。


 化け物。自分をそう呼ぶ声。魔法少女ではなく、魔法使いと呼ぶ声。


“あなたはね、キャアキャア言われに行くのよ。アイドルまがいのおにんぎょうにね。ほんと、バカバカしいったらありゃしないわ”

 

“ほんとに? あっちに行ったら、みんなボクのことを愛してくれるの? スピネルみたいに?”


“……みたいに? ええ、そうですわね。みんなあなたの愛らしい姿にぞっこんになるでしょうね。楽しみにしてなさい。でもそのためには、やらなきゃいけないことがあるの”


“それってなに?”


“わたくしたちの区域を不法占拠してる、不届きものの魔法少女どもをとっちめてやるのよ。そうすれば、あの街の魔法少女の座はわたくしたちのものですわ”


 あの日、こちらへ来る前に魔法の国でスピネルと交わした会話を思い出す。


 ウルツァイトは、愛されに来たのだ。痛い目にあうためでも、化け物扱いされるためでもない。


 スピネルが自分を利用しようとしていることもわかっていた。でも最後に、最後に生き残っていれば、きっとスピネルは一緒にいてくれる。そして自分は、魔法少女になることができる。


「ウルツァイト……」


 ウルツァイトは自分の手を見た。ごつごつとした、巨大な腕。凶悪な爪が伸びている。


 空に向けて咆哮する。空間が震え、オブシディアンの髪が揺れる。そして片手で片手を引っ掻く。オブシディアンが後退してウルツァイトの体の下から抜け出そうとする。自分が自分であることを拒否するように。ウルツァイトの眼の焦点が揺れる。


「寝そべれ」


 奇妙なほど小さな声でダイヤモンドが言い、ダイヤモンドの《チャージ》が、ウルツァイトの体に直撃した。


                  ▽


 びかびかと光が瞬き、光線が揺れ動いた。ダイヤモンドは胸から血を流しながらも、剣がぶれすぎないよう体に力を込める。気合をいれるために叫んだ。


「チャァァァァジ! ろくじゅうはち! ぱーせんと! だ!」


 ダイヤモンドの周りのコンクリートが融解してきている。ダイヤモンドのコスチュームの端が熱で燃えている。


 ダイヤモンドがいつもチャージを20や30で止めているのは、なにも貯めるのに時間がかかるというだけの理由ではない。あまりに威力が高いために、高出力のチャージは制御が難しく、二次被害も大きいのだ。この時も、オブシディアンのコスチュームがダイヤモンドのそれと同様、燃え始めており、体にも被害が及ぼうとしていた。


「オブシディアン! 聞いて!」


 ホワイトリリーが言う。


「ルビーと、ダイヤモンドと。複合技を使って!」


「複合技!?」


 オブシディアンが素っ頓狂な声をあげる。ルビーが近づいてきて、オブシディアンの腕を掴んで立たせる。

 

「ウルツァイトを倒すにはオブシディアンの必殺技が一番だけど、それだと威力が足りない! さあ早く! ダイヤモンドの《チャージ》が終わる前に!」


 ダイヤモンドは剣を制御しながらウルツァイトに接近していた。ウルツァイトもまた、剣の勢いに押されそうになりながら、距離を近づけている。


「そんなのいきなり言われたって……」


 以前、アンホーリー・トライフェルトと戦ったときはうまくいかなかったのに。


「以前は私も、ダイヤモンドも、オブシディアンのことがよくわかってなかった! だってなにも言わないから! でも今なら! できるはずだよ!」


 ルビーがオブシディアンの肩を叩く。


「弱いな! 弱いぜ! てめえ、そんなガタイしてるくせに覚悟足りてねえんだよ!」


「グァァァァァアァッ!」


 握手できるぐらいの位置まで接近したダイヤモンドの腹を、ウルツァイトが貫く。ダイヤモンドが目をかっと見開き、血を吐き出すが、逃げることも、倒れることもせず、剣の先をオブシディアンを傷つけたさいにできた傷にあてがう。


「行け! やれ! オブシディアン!」


 オブシディアンはダイヤモンドの背中を見る。ホワイトリリーを見て、ルビーを見る。


「わかった」


 オブシディアンが言う。


「ルビー」


 ルビーが頷く。オブシディアンの背中に手を当て、魔力を集中させる。


「私の中の宝石たちよ。私の同胞を、仲間を、友を助け、そしてこれに仇名すものに天の裁きを……」


 ルビーが叫ぶ。


「マジェスティ! ラトラナジュ!」


「オブシディアン・キック!」


 オブシディアンの体が虹色の光を発しながら、サップレッサー・ウィズ・ダイヤモンドへと吸い込まれていく。


「オブシディアン・キック! チャージング・マジェスティ!」


 オブシディアンの足がサップレッサー・ウィズ・ダイヤモンドの柄に触れる。すると同時に、オブシディアンの体が粒子となり、サップレッサー・ウィズ・ダイヤモンドを構成する原子の隙間へ入り込む。そして彼女が完全に剣と一体化したとき、収束した高エネルギーがウルツァイトの体の中で暴れまわり、彼女の体内をめちゃくちゃにする。


 オブシディアン・キック・チャージング・マジェスティ。


 三人の複合技。


 それがウルツァイトを貫く。


 オブシディアンがウルツァイトの背後に出現する。


 ウルツァイトの体は制止していた。数秒間。その間に、サップレッサー・ウィズ・ダイヤモンドの光が収まる。ルビーが口元を手で覆う。ホワイトリリーがオブシディアンと目を合わせる。


 ウルツァイトの体は急激な原子の衝突によって崩壊をはじめていた。それは本当の衝突というよりは、文字通り原子レベルの、観測できない衝突だった。そのような衝突というのは、現実の時間の流れに適用されるまでに時間を要する。そして、オブシディアンが外に出て、数秒。結晶化したウルツァイトの体が複合技の火力を実感し、これとともにウルツァイトは、複合技の方向へ爆裂した。オブシディアンの体に破片が降り注ぐ。


 オブシディアンは顔の前に手を置いて顔を顰めた。


 足元に四歳ぐらいの女の子が転がっていた。栗色の髪をした、かわいい子供だった。

 ウルツァイトの本体だろう。生きているようだ。


 音と光が収まり、聞こえるのは邪魔なヘリコプターのプロペラの音だけだった。


「終わった?」


 ルビーが言う。


「終わった、みたいだ」


 ホワイトリリーが言う。

 二人が顔を合わせるのを見たダイヤモンド。


「マジ、限界……」


 そう言い残してその場に倒れ伏す。


「きゃあ! ダイヤモンド!」


「治療しないと! 無茶するから!」


 ホワイトリリーが回復魔法をかける。


 ダイヤモンドはへらへらと笑っている。あの分なら問題はないだろう。


「…………」


 オブシディアンは昇りきった陽を見て、疲れたように息を吐き、体育座りになった。


 彼女は自分の掌を太陽にすかせた。身体のなかを、虹色と金色の光がまたたき、それがどんどん小さくなっていった。


「どうしたの?」


 ホワイトリリーがオブシディアンの肩に乗り、そう尋ねた。


 オブシディアンは独り言のようにして言った。


「タルト・タタンが食べたいな……それから、ベルベット・アンダーグラウンドを聴きながら、駅前の店のイチゴのケーキも……」


「食べればいいじゃない」


 ホワイトリリーが言う。そして、彼女の眼を見た。


「ねえ、オブシディアンは本当によく頑張ってくれたと思うよ。やめたって誰も文句言わないぐらいには。でも、でもね、でもお願いだから、もう、魔法少女やめるって言わない?」


 オブシディアンが不安げなホワイトリリーを見た。

 

――あの魔法使いを倒すときに、あれだけ恥ずかしいことを言ったのに、まだこの子は自信がないみたい。


 オブシディアンは楽し気に呟いた。


「リリーがそういうから、やめようかな」


 そして頭を傾け、ホワイトリリーの体にくっつけた。


                ▽


「――見ましたか! かっこいいですね~! 我らがキュア・ルビー、キュア・ダイヤモンド、そしてキュア・オブシディアンが見事にやってくれました! こちらはKTV、リポーターは間宮由美子が現場からお伝えします。近年まれにみる魔法使いの侵攻でしたが、我らがK県K市は――――――――――」

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