素々子さんのカクヨムブログ

肥前ロンズ

素々子さんのカクヨム読書日記

涼月さま『ティアル・ナ・エストレア ー青髪の双子の王子ー』

「イントロダクション」&「1.簡単なあらすじ」

 博物館・美術館を、英語ではミュージアムと言います。

 これはギリシャ神話のムーサ(ミューズ)から来た言葉です。

 ムーサは文芸・学術の女神たち(九女神)ですが、元々は水の女神たちだと言われています。ギリシアの詩人たちは、ギリシャにあるいくつかの泉や川の水を飲むと、ムーサから創作のインスピレーションを授けられるのだと考えていました。



 今回は、そんな「知恵の泉」が出てくる作品をご紹介します。

 涼月さまの『ティアル・ナ・エストレア ー青髪の双子の王子ー』です!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054918445774




【簡単なあらすじ】

~伝説パート~

 舞台はエストレア星という遠い星。そこには、のちに『知恵の泉』と呼ばれる不思議な泉がありました。

 宇宙の神はその畔で「始まりの人間」を作り、数を増やした人間たちは『始まりの民』となりました。知恵を持って生まれた民たちは、エストレア星全体に広がります。

 しかし、時が経つにつれ、人々は姿や思想で差別し、戦争するように。争いを忌避した『始まりの民』は自分たちの存在も『知恵の泉』も隠し、伝説の存在となりました。


~本編パート~

 その『始まりの民』の末裔が暮らす国、聖杜せいと。聖杜の国王は、『ティアル・ナ・エストレア』と呼ばれる、『知恵の泉』の守り手だったのです。

 父親である前王が突然死し、主人公である青髪の双子の王子は、守り手の証としてそれぞれ『星砕剣』と『星光石の指輪』を受け継ぎます。

 しかし父の突然死は、内通者によって手引きされた天空国の謀略でした。天空国は、『知恵の泉』を狙っていたのです。

 禊祭という王位継承の式に襲撃された双子の一人・飛翔ひしょうは、


 うっかり『知恵の泉(井戸)』に落っこちてしまいます。


 そこで宇宙の神と出会い、飛翔は神から「本来の使命を果たせ」と言われます。

 当然それどころじゃない飛翔は「元の場所に戻して欲しい」「ここで本来の使命を教えて欲しい」と必死に懇願しますが、


 神は笑ってあっさり断り、

「自分で考えろ(要約)」

と言って、飛翔を約1000年後の砂漠のど真ん中に飛ばします。


 危うく死にかけた飛翔でしたが、そこで好きな女の子とよく似た面差しの少女・フィオナに救われ、1000年後の世界で生きることになります。

 一方残された双子の片割れ飛王ひおうは、王として聖杜をどう導くのか、『知恵の泉』の処遇を問われる日々を送っていました。

 飛翔は1000年後の世界から、聖杜や飛王たちがどうなったのか、追跡することになります。





「……っていう物語です」


 作者。ちょっと待って。

〉うっかり『知恵の泉(井戸)』に落っこちてしまいました。

 の、うっかりって何。


「いや、だってうっかりじゃん」


 主人公襲われてるんだけど!?

 そもそも飛翔は飛び込むこと前提じゃなかったっけ!? 確かに予定は早まったけども!


「好きな女の子と一緒に行く予定だったのに襲われてる片割れ残してフライングした挙句、神によって1000年後の砂漠のど真ん中に放置されるって踏んだり蹴ったりだよな」


 そう言われると確かに過酷!

 なろう系異世界転生の神なんかすごく手厚いのに!



※注意

 この読書日記は、考察して調べたり、考察して妄想したり、考察して感想を述べたりととにかく自由に好き勝手してます。なので、考察するためのネタバレが遠慮なくされてます。存分にお気をつけてお進み下さい。



【参考文献】

リチャード・ウォフ著 細井敦子訳2010『古代の神と王の小事典1 ギリシア・ローマの神々』學藝書林

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