Point Break

ちい。

Point Break

 朝日の登ったばかりの光りを全面に受けて輝く海は、目を細めて眺める事しかできなかった。


 僕は買ったばかりのサングラスをかけ、その海を見つめている。


 遠くの沖の方からうねりが数本の筋を作りながら海岸へと押し寄せ、波となり崩れると、その波の崩れた後の白い泡が僕のいる砂浜へたどり着き、そして、また海へと戻っていく。


 それを繰り返している海。


 自転車のキャリアに積んでいたサーフボードを下ろし砂浜へと座ると、ボードのデッキにワックスをごりごりと塗り始めた。


 次第にしっかりとした粒が出来ていく。


 ぺたぺたとデッキを触りワックスの状態を確認した僕は柔軟体操を終えると、脇にボードを抱えて海へと足をつけた。


 朝の海水は冷たくぶるりと体を震わせた。


 海水の感触を確かめるように腰の深さのところまで行くと、ボードの上に体を乗せ腹ばいとなると胸をぐっと逸らした。そして右手を伸し、その指先を海水の中へと入れた。


 ゆっくりと両手で海水を掴むように後ろへ押して漕いでいく。


 リズミカルに左右の腕を回しながら、沖へと向かう。


 すると目の前に波がブレイクした直後のスープが迫ってくる。


 僕は波が来る直前までしっかりとスピードをつけると両手でボードのレールを掴み、ぐっと体重をかけ、ノーズを沈めると右足のつま先でテールを沈めた。


 水中に沈むボード。


 それを十分に体へと引き付ける僕の頭上を白い泡が通り過ぎていく。


 水中から見上げる海面は太陽に光りを受け、外から見る海の青ではなく、翡翠色の世界を僕へと見せてくれる。


 水面へと顔を出した僕は、また沖へと向かいパドリングしていく。


 そして沖へとつくとボードに跨った。


 ゆらゆらとうねりの動きに合わせて体が揺れる。大きなうねりが来ると、ふわりとした浮遊感さえ感じる。


 何本かのうねりをやり過ごしていると、波のピークが鋭利な刃物のようなうねりが僕の視界へと入ってきた。


『これだっ‼』


 僕はすぐに海岸の方へ体の向きを変えると、力強くボードを漕ぎだした。


 うねりのピークが崩れていく。


 そして、そのうねりが僕のボードを押していくのが分かった。


 それを感じてからの一漕ぎ。


 ボードの上に立ち上がり、つま先へと重心を掛け体勢を低くした。


 一気に波のボトムへと降りていきターンすると、その勢いを殺さず、一気にボトムからリップを目指した。


 ボードが波に対して垂直になる。


 そのボードのテールを後ろ足で波の裏側へと思いっきり蹴り込んだ。


 扇状に広がる水しぶき。


 その水しぶきが太陽の光りで、宝石のような輝きを放っている。


『決まったっ‼』


 そう思った時だった。


 僕はバランスを崩し、足からボードが離れると同時に海の中へと放り出された。





 自宅から高校まで自転車で片道一時間近く掛かる。


 海沿いの町から見える丘の上にある高校。


 特別に頭が良いわけでも悪いわけでもない、どこにでもある公立高校。


 その高校へと続くだらだら続く長い坂道を、浩平こうへいが自転車を漕いで向かっている。


 体力をつけるため。


 バスで通えばあっという間に着くこの道のりを、敢えて自転車で、それもクロスバイクやロードバイクなどのスポーツタイプではなく、重く、しかも今の時代に変速さえついていないママチャリである。


 朝とはいえ、真夏の太陽が容赦なく浩平をこれでもかと言うくらいに照りつけている。


 額から流れ落ちる汗。


 半袖から見えるよく日焼けした前腕にも、玉のような汗が吹き出している。


 「畜生……」


 悪態をつきながら自転車を漕ぐ浩平の横を、学校前のバス停へと向かうバスが通り過ぎていく。


 その中に、浩平の見知った顔がいくつも見えた。


「バスにしときゃ良かった……」


 ペダルを漕ぐ足に力を入れると、無駄だと分かっていてもバスを追いかけようとする浩平。


 そんな浩平をバスの中から見つめる少女がいた。


 どんどん引き離され小さくなり、そして見えなくなってしまった。


「あの子、確か佳苗かなえのクラスの男子でしょ?」


 佳苗の隣に座る少女が、浩平を見て尋ねた。それに無言で頷き答える佳苗。


「いつも自転車よね?夏くらいバスに乗れば良いのに」


 そう言うとその少女は窓から目を離し、携帯の画面へと視線を戻した。


 車内に佳苗達の降りる学校前のバス停に近づいた事を知らせるアナウンスが流れる。


 速度を落としたバスがゆっくりとその大きな車体を軋ませながら止まった。


 バスから降りた佳苗は、浩平が来るであろう方向を見つめている。


「佳苗、信号変わったよ」


 一緒にいた少女が佳苗へと声を掛けた。


 佳苗は少女と並んで横断歩道を渡ると、もう一度、バス停の方へと振り返り、頑張ってと小さな声で呟いた。




 購買にある自動販売機でスポーツドリンクを購入した浩平は、その蓋を開けると同時に一気に飲み干した。


 それでも飲み足りないと感じたが、さすがにもう一本飲むとお腹を壊しそうなのと、財布の中身が少ない事もあり断念した。


 なかなか汗が引かない。


 校舎の中は外に比べるとだいぶ涼しく感じるが、それでも暑い。


 教室へと続く廊下の窓の外に目を向けると、高台の麓にある浩平の住む町と、その先に続く青く広い海が見える。


 ふと立ち止まり眼下に広がるその景色を眺めていた。


 ぼやっとしていると、ホームルームの時間を知らせるチャイムが廊下に響く。


 チャイムの音で我に返った浩平が慌てて教室へと入って行った。


 窓際の自分の席につく浩平へ隣席に座っている女子が、おはようと声を掛けてきた。その女子へ小さな声で挨拶を返すと、すぐに窓の外へと視線を向ける。


 退屈な一日が始まった。


 教室の窓から見える景色は、廊下から見える景色と違い、中庭と向こうの校舎が見えるだけだった。


 なんの面白味もない。


 ふわぁっと欠伸をすると、頬杖をついたまま目を閉じた。教室の中の空調が程よい眠気をさそってくる。


 暑くもなく、涼しすぎることも無く……


 うつらうつらとしている浩平を呼ぶ隣席の女子の声が聞こえてくる。


 しかし、そんな声に答える気すら起こらない。


岸辺きしべくん……岸辺くん」


 肩を遠慮がちに揺すられる。


 半分夢の中へと足を突っ込んでいた浩平が隣席の女子へと顔を向けた。そこには困り果てた女子が浩平を見ている。そして、ちらりと浩平の前へと視線を向けた。


 浩平も眠たい目を擦りながら、その女子の視線の方を見ると、担任の教師が怒りのこもった眼差しで浩平を見下ろしていた。


「岸辺……朝から居眠りか?」


 すんませんと小さな声で謝る浩平に、担任はなにかぶつぶつと呟きながら教壇の方へと戻って行く。


「ごめんね……早く起こせなくて……」


 隣席の女子、小金井こがねい佳苗が小さな声で謝ってきた。


「いや……別に……」


 そう言うとまた窓の外へと顔を向ける浩平。その浩平を佳苗が少し寂しそうに見ている。


 この高校に入学して三ヶ月。


 入学式から変わる事のない席。


 その間、浩平とまともに会話すらした事がない佳苗。


 いや、佳苗とだけではない。


 浩平はこのクラスの誰ともほとんど会話をしない。するとしたら、なにか委員などの仕事で必要な時だけだ。そして、いつも一人で窓の外を見ている。教室の窓の外、廊下の窓の外をぼんやりと眺めていた。




 浩平と佳苗は同じ町に住んでおり、中学校も同じであった。また、一緒のクラスになった事はなく、浩平は佳苗が同じ中学校の出身だという事を、自己紹介の時に初めて知った。


 だからと言って隣の席になった佳苗が浩平と仲良くなったわけでもなく、現在の状態である。


 教室では誰とも喋らず、部活もしていない。学校が終わるといつの間にか教室からいなくなり帰っている。


 何事にもやる気のない態度。


 無気力な少年。


 先生達やクラスメイト達に、浩平はそう思われている。


 そんな風に思われていても、全く気にしていない様子の浩平。相変わらずマイペースに毎日を過ごしている。


 しかし、そんな何事にもやる気がなく無気力な少年と思われている浩平が、自分の夢に向かって頑張っているのを佳苗は知っていた。


 決して彼は無気力な少年なんかじゃない。


 毎日、自転車で登校しているのもその為であると分かっていた。


 何故、佳苗はそれを知っているのだろうか?


 浩平は自分の夢を学校で話した事はない。


 話したとすれば、両親や知り合い位である。その前に、そんな話しをする友達が浩平にはあまりいない。


 ちらりと浩平の方を見る佳苗。


 少し垂れ気味のその眠たそうな目をしょぼしょぼとさせながらも、必死で堪えている浩平の横顔。短めの髪に日焼けした肌。シャープペンシルの先っぽでぽりぽりと鼻の頭を掻いている。


 今朝も海に入ったんだろう……


 海に入った日は、一限目から眠たそうにしている。


「小金井、余所見をするな」


 先生から注意された佳苗は慌てて前を向いた。クラスメイト達が佳苗の方を向いた。かぁっと顔が火照るのが分かる。


 恥ずかしがり屋で人見知りのある佳苗。


 そんな佳苗を浩平が見ている。その事もあり、さらに顔が真っ赤になっていく。


「大丈夫、顔が赤いけど具合が悪いのか?」


 珍しく浩平が佳苗へと声を掛けた。余程の事である。それだけ、佳苗の様子がおかしく見えたのだろう。


「……大丈夫」


「そっか」


 小さな声で答える佳苗に、浩平はそう言うとすぐに前を向いてしまった。


 佳苗はもう一度だけ浩平の方を向くと、ありがとうと呟くように言った。その声が聞こえたのか、浩平が一瞬だけ佳苗の方へと視線を向けたが、何も言わずすぐに前へと視線を戻した。




 放課後、やっぱりいつものように浩平の姿は消えていた。隣席の佳苗にも挨拶をせずに帰ってしまったのだ。


 浩平のいない隣の席を見て、はぁっとため息をつく佳苗は、自分も帰る準備を終えると席を離れ、友達へと挨拶をすると教室を後にした。


 教室の前に今朝、一緒に登校していた少女が立っている。その少女は教室から出てきた佳苗へと手を振った。


 佳苗も少女へと手を振り返す。


「ごめんね、沙織さおり。遅くなっちゃった」


「ううん、大丈夫。私も来たばかりだから」


 沙織と呼ばれた少女が佳苗へと微笑む。


 佳苗も沙織に微笑み返し、二人並んで歩いていく。


 校舎を出ると、太陽の暴力的な日差しが容赦なく二人を照らしていく。


 学校の正門を出て数十メートル先にあるバス停。


 そこまで歩く間に「暑い」と何度も言っている沙織に佳苗がぱたぱたとタオルで扇いでやった。


「あー、海かプールに行きたいねぇ……」


「私、かき氷が食べたい」


「良いよねぇ、かき氷。佳苗はしゃりしゃり派?ふわふわ派?」


「私はしゃりしゃり派」


「私もっ」


 お喋りをしながらバスを待つ二人。


 そんな二人の前にバスがやってきた。ドアが開くと急いで乗り込み二人がけのシートへと座った。


 車内は外の気温が嘘のようにとても快適である。タオルで汗を拭うと、鞄からボディシートを取り出すと拭き始めた沙織。


「生き返る……」


 佳苗も同じように汗を拭い、ボディシートで体を拭き始めた。拭いた場所がエアコンの風でひんやりとする。


『岸辺くん……まだ家についてないよね』


 動き出したバスの車窓から外を見た佳苗。目の前に現れてはすぐに流れ去っていく景色。


 登校時は上り坂のこの道も、下校時は下って行くだけである。だから自転車でも苦にならないはずだ。


 それでも、さすがに浩平が家にたどり着くには早すぎる。


『どこかで追いつかないかな……』


 そんな期待を胸に佳苗は車窓から外を眺めているのだ。


「佳苗ってさ、あの……誰だっけ……佳苗と同じクラスで同中だった……あぁーっ、名前忘れたっ!!」


 浩平の事だろう。


 沙織は隣町に住んでおり、佳苗達とは中学が別であった。


「岸辺くん……?」


「そうそう、岸辺くん。そいつの事、気になるの?」


「……うん」


 突然の沙織の言葉に、佳苗が小さく頷き俯きながら答える。


「やっぱり。佳苗、ずっと岸辺くんを目で追ってるよね」


 そんなつもりはなかった。だが、沙織からそう言われるならそうなんだろう。自分は無意識に浩平の事を見ている。その事がとても恥ずかしくなってきた。


「佳苗に悪いけど、岸辺くんのどこが良いの?いつも一人ぼっちで、なんか彼って無気力すぎるやん?」


 確かに、浩平はそう見えてもおかしくないと言うか、現に学校だけの姿を見るとそうであり、佳苗に反論は出来ない。


「うん……でもね……」


 佳苗が何かを言いかけた時である。


 バスが一台の自転車を追い抜いていく。


 その自転車に乗っていたのは浩平だった。浩平は自転車を漕ぎながらバスを見上げた。その浩平と佳苗の視線がばちりと交差する。


「噂をすれば……岸辺くんだ」


 車窓に顔をつけてまで見ている沙織。そんな沙織を不思議そうに浩平が見ていた。


 そして、また佳苗へと視線を向けると、にこりと笑った……ような気がした。


 たぶん、気の所為だろう。


 佳苗はそう思った。


 あの浩平が自分へと笑いかけるはずがないからだ。


 あっという間に車窓の端へと消え、見えなくなってしまった浩平。


「笑ってたね、岸辺くん」


 車窓から顔を離した沙織が佳苗へ向くと、にやりと笑った。


 やっぱり、笑っていたんだ……


 同じクラスの隣の席になったにも関わらず、今の今までろくに話しをしたどころか、笑顔さえも見た事がなかった佳苗は、その事がとても、とても嬉しかった。


「良かったね」


 まるで自分の事のように喜んでくれる沙織に、佳苗は頷きながらも照れてしまっていた。


 佳苗の降りるバス停の三つ前で、沙織がバスから降りた。バスから降りてもずっと手を振り続ける沙織に佳苗も手を振り返す。


 ばれてたんだ……


 自分が浩平を意識している事が。


 知らず知らずのうちに視線で追っていたなんて……もしかしたら、浩平にも気づかれているかもしれない。


 そう思うとまた、佳苗は自分の顔が火照り、真っ赤になっていくのが分かった。


 三年間の片思い。


 佳苗はずっと浩平を見続けていた。でも、浩平は入学後の自己紹介の時まで、佳苗が同中だった事さえも知らなかった。


 恥ずかしがり屋で人見知り。


 特に可愛い訳でもないし、勉強やスポーツができていた訳でもない。特徴があるとすれば、誰よりも長い髪の毛。それを緩い三つ編みで結んでいる。


 やる気がない無気力の少年。


 違う。彼は夢に向かって努力している。逆になんの夢もなくだらだらと過ごしているのは自分の方だ。そんな浩平に恋をしていいのか……


 佳苗ははぁっと大きなため息をついた。


 浩平に恋をして三年間、何度も何度も同じようなため息をついている自分が嫌になる。かといってなにか夢を探したかと言われれば、探していない。


 また、車窓の外へと目をやると、防波堤の向こう側に海が見える。


 海はまるで空と繋がっているかのように青く、遠くから押し寄せてくるうねりがこちらへ近づくにつれ、その力を抑えきれず爆発し波となり陸へと向かっている。




 バスは佳苗の降りるバス停についた。


 バスから降りると、佳苗はその暑さに顔をしかめてしまう。バスの中が快適過ぎて余計に暑さを感じてしまったのだ。


 急いで家へと帰るとキッチンへと直行し、冷蔵庫で冷やされた麦茶をコップに注ぎ一気に飲み干すと、大きく息を吐いた。家の外では見せられない、まるで一口目のビールを口にした父親のような姿である。


 それを見ていた母親が苦笑いをしている。


「佳苗……女の子なんだから、もう少し……ね」


 そんな母親にへへへっと笑うと、自分の部屋へと戻って行く。そして、部屋のエアコンをつけると着替えを終え、程よい室温になるまでベッドに横になった。


 それから、授業で出た課題などを済ませ、時計を見ると午後六時少し前になっていた。


 窓から外を見た。まだ明るい空。


 ふと佳苗は外に出たくなった。


 そう思うと居ても立っても居られなくなり、部屋を飛び出すと、キッチンにいた母親へ散歩に行ってくると声を掛けた。


 のんびりと海沿いの歩道を歩いていく。


 特に目的もなくぶらぶらと歩いている。


 汐の香りとべたつく海風。


 この海沿いの町で生まれ育ち、そして、今も生きている。海の匂い、風、音、その全てが当たり前にある日常。


 ふと足を止めて海を眺める佳苗。


 夕陽を受け眩しく光る海面。その眩しさに思わず目を細めてしまう。


 そして、また少し歩くと、砂浜へと出る防波堤の階段の側に見た事のある自転車が停めてあった。


『岸辺くんの自転車だ……』


 その自転車には、いつもついていないキャリアが装着されている。


『海に入ってるんだ……』



 防波堤の階段から砂浜へと降りていくと、波打ち際から少し離れた所に、黒いビーチサンダルが一足、綺麗に並べて置いてあった。


 その横へと座り、沖の方へと視線を向けた。


 普段は砂浜へ降りず、歩道から見ていた浩平のサーフィン。


 砂浜側に背を向け波を待つ浩平の背中が、うねりの動きに合わせ上下している。


 ぼやっと眺めていると、浩平がくるりとこちらを向くとボードへと腹這いとなり、パドリングを始めた。


 波を捕まえた浩平がボードの上へと立ち上がり、まるでダンスを踊っているかのように、軽やかに波の上を滑っている。


 そして、海岸近くに来ると波の勢いも無くなったのかボードから降りた浩平が、ビーチサンダルの横に座っている佳苗に気がついた。


 浩平が自分を見て驚いているのがわかる。


 そりゃそうだろう。


 特に仲の良い訳でもない女子が、自分のビーチサンダルの横に座っているのだから。


 練習の邪魔になるかもしれない。


 だけど勇気を振り絞り、浩平へと手を振る佳苗。


 少し戸惑いながら佳苗を見ていた浩平が、佳苗へと小さく手を振り返した。


 そして、すぐに浩平は沖へと出ていってしまった。


 佳苗はそれでも嬉しかった。


 小さく手を振り返してくれた浩平。


 中学生の頃からの片思い。


 報われないかも知れない片思い。


 だが佳苗はそれでも浩平の頑張る姿が好きだ。その姿を見ているのが好きだ。


 浩平のサーフィンをいつまでも見ていたい。応援し続けたい。


 佳苗は沖に見える浩平の背中を見ながらそう思った。

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