h26.04.19. 


 黒く苦く、珈琲を淹れる。白い甘みで濁してみたり

 窓辺のテーブルで、君は眠たげに私の本を読む。

 何時の間にだか、互いの書物が入れ替わっていたり

 君は漢詩の読みを問い、私は英詞の意味を問う。


 君は私の一日を事細かに知りたがった。傍に居たくせにと思っていたけれど

 どれだけ救われていたのだろう。

 

 君が子供の振りをして居てくれたから、私は大人の振りをして居られたのだと漸く気付いて

 君に伝えたい事を、また一つ重ねてゆく。


 託された身だと忘れてはいないが、なぜ私をこんな場所に残したのだろう。

 「約束だから」という、君が最も嫌がる理由だけれど

 もう果たしようも無い約束だけれど。


 紅く細い月を、傷口みたいだと慮っていた

 一つの風邪を分け合って歩いた道を憶えている


 昨日の終わりと、今日の始まりに。

 甘くと苦く、珈琲を淹れるよ

 姉上。




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