h22.06.26. sugar broom
融けずに残る一欠けに 擁き解いては滲む色
今は鏡に影もなく 瞼へ触れた指先も鮮明に
ただ独り髪を断ち やがて目も閉じ終えて
君といた季節が降る その眩しさの中 歩き始める
仰ぐと浮かび 俯くと零れるので そのままにして綻ばせた
雲も路も水浸しで あの時の僕らに合いそうな日だった
指の繋ぎ方すら分からずに並んだね 何処にも行けない二人のまま
探し物の無い ただ引き返す為だけに歩いた道を憶えている?
遠退いた今は 揺れる反射を塗り潰していくような日々で
もう届かない 其方の空へ向かう光を見送るばかりだった
またあの場所に雨が降る。 やがて陽が射してあの花が咲く。
この季節は、君といるようで 光と声で満ち溢れて
あの町にさえ行けば、また君と会えそうで。
揺れる葉は空より近く 煉瓦に踊る影の中
そこで胸を押さえて ずっと経って痛んだ
君が聞きたい事ばかりを探し 君に訊きたい事など考えもせずに
会えなくなって漸く話したい事を見つけてゆく僕を 笑ってはくれないよね
花弁を落とす雨に なぞらえる今は
指で一つ一つを失くしていた もう確かめられない筈だった
またあの坂に風が吹く。 それを合図のようにあの歌が言う。
この季節は、君といるようで 翳る時間もどこか火照って
約束の無い日でも、また君と会えそうで。
水は濡れた花より浅くて 波の届く場所までは来なかった君を
たった一歩の距離のまま呼んでいたんだ。
この季節が、君といるようで その最初と最後の言葉を思い出しては
痛みのままに走り出せそうで ただ破れかぶれには踏み出せずに
この季節には、君といたので 今も涙に代わるものを探して
それでもまだ、いつかきっと 君が笑ってくれそうな気がしていたんだ。
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