h21.06.25. 弓張月


 雲に波風たてるよう 降る宵闇に浮かぶ半月


 遠く弧をぐあの弦を 爪弾かんと手を伸べる

 そうして生まれる音ならば 夜空を伝って響くといい

 星が揺れて滴るけれど その白い頬に落ちぬよう


 欠けた月の頼りなく されど其処へと届くなら

 張りつめ絞る弦一つ あの弧へ結び鳴らしゆく

 粉雪そっと舞い立たせ 渇いた空へ鳴らしゆく


 紡ぎ織りては重なりて 遠い其方を包む沙羅

 弦の音結って舞う更紗。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る