第3話 荒木さん
「貴女が今回通報してくれた荒木さんっすか?」
「はい、こんなところまで来て下さりありがとうございます。」
荒木さんは50代前半で夫と二人暮しをしていて、優しそうな風貌と暖かい声で出迎えてくれた。せんべいと緑茶を出してくれたようだ。
「うわぁ!いいんですか?僕せんべい好きなんですよね~」
「あら、それは良かったわ!ここのせんべい美味しいのよ?」
「ちょ、海野先輩、まずはお話を聞かないと!」
「あ、そうだったね、ごめんごめん。それで、今回通報して頂いた経緯を聞いても良いですか?」
荒木さんは覚悟を決めたようにこちらを見て、経緯を話してくれた
「実は、隣人が動物を虐待してるようなんです。」
「隣人さんっすか。」
「それで、何故そう思ったんですか?」
せんべいをガツガツ食べながら質問をする海野先輩、この人すげえな…
「私は時々、眠れない時に外を散歩するんですけど、一昨日の深夜、近くの公園で捕獲器の中にいる猫をしゃがんで眺めてる隣人を見たんです。街灯があったので確実に彼だと分かりました」
「なるほど?でも、捕獲器で捕まえただけなら虐待にはならないっすよ?」
「はい、問題はその後で、彼は猫の尻尾を掴んで、引き上げたんです、猫は宙ぶらりん状態で、痛そうに声をあげていました」
「なるほど~?体が浮くくらいの力で猫を引き上げてたらそりゃ痛いでしょうねぇ」
こんな話してる中、せんべい食べれるの海野先輩だけだろうなぁ…あ、お茶すすり始めた
「なるほど、でも証言だけじゃどうもできないんで、動画とかないっすか?」
「それが…、怖くて撮ろうとも思わなくて…」
「そうっすか…でも気持ちは分かるっす。じゃあ、その公園と隣人さんがいた場所を俺達に教えてくださいっす」
「隼斗くんもしかして僕より仕事できる感じ?先越されちゃったなあ。」
「いやいや、そんな事ないっすよ?あ、なるほどそこの公園ですね、了解っす」
海野先輩はせんべいを用意された半分ほど食したあと立ち上がり玄関に歩いていった
「じゃあ僕らはこのくらいで失礼します!捜査協力ありがとうございました~!せんべい美味しかったよ~」
「失礼しましたっす!ではお邪魔しましたっす!」
「またいつでもいらしてね、協力は惜しみませんよ」
ガチャ……カチッ
荒木さん、ドア閉めたらすぐに鍵も閉める人なんだな。
「ん~、じゃあ隣人さんのお宅に張り込み調査としようかぁ、食料コンビニで買った後にね」
「げっ、まだ入るんすか?あ、でも警察の張り込みといえばやっぱりアンパンと牛乳っすかね?!」
「ごめーん、僕あんこ食べれないんだよね、普通におにぎりとかでもいいらしいよ?」
「そ、そうなんすね…じゃあまず隣人さんのお宅の前に張り込みで様子を見た方がいいっすね」
「じゃあ僕車持って私服に着替えてくるよ、隼斗くんも私服に着替えて警察署に集合にしようか」
「了解っす!!じゃあまた後で!」
やべぇ、ドラマで見た張り込みが本当にできるなんて…ワクワクする気持ちを抑えて1度自宅に戻った雨宮であった
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