第115話、最近の『 地理不得手 』について

 昨年だったろうか、e-Stat( 政府統計ポータルサイト )か、総務省統計局の調査結果かは忘れたが、( もしかしたら厚生省白書 )何かの文献で10代~30代の若年層において、いわゆる『 方向音痴 』、もしくは、場所の説明が上手く出来ない者が増加傾向にある、とあった。

 最近、私の娘や、中学校のクラスメイトたちとの会話でも感じるのだが、確かにそう思う事が良くある。

 私が思うに、場所の説明… つまりは、特定の場所への『 案内 』が不得手な者は、確実に増加しているのではないかと推察する。


 原因は、『 スマホ 』だろう。


 私の娘もそうなのだが、車に乗り込んだ瞬間、スマホをいじり出す。 目的地に着いても「 セーブするから 」とかほざき、中々、車から降りない。

 目的地に近付いて来たら、用意くらいしておけ。 施錠が出来んだろうが……!

 急いでいても、雨が降ってもいてもお構いないである。

 そんなんだから、当然、車外の景色などは見てはいない。 しょっちゅう通る道や交差点、特徴ある家屋・ビルなどの建築物も、全く、本人の記憶には無いのだ。 そんな状態で、経路を説明しろと言っても無理があるのは当然だろう。 方向音痴と判断される以前の問題である。


 我が家では、助手席でのスマホ使用に関しては、ナビ案内使用以外、禁止にしている。 当然、娘は、速攻で後部座席に座るようになった。 塾の送り向かいは、助手席に座るが、スマホは触らない。 てか、わずか数分の送迎の間くらい、周りの町並みを見ろ。 『 助手席 』とは、運転手を補佐し、その助手をする為にあるの席だぞ、コラ。 スマホや、うたた寝をするくらいなら、後部座席へ行け。 ったく……!



 さて、地図の見方についても触れてみよう。

 文献には、地理案内をする事が不得手な者は、地図を見る際、進行方向に対し右左折などの状況を、地図とシンクロさせる事が苦手な者が比較的に多い、との記述もあった。

 地図は、上が『 北 』として作図されているが、これを、クルクル回しながら見ないと、目的地に着けない方がいるのだ…… つまり、進行方向を常に『 上 』にしないと、右左折などをした場合、地図と実際の地理関係が理解し難いのだ。


 最近は、ほとんどの車にカーナビゲーションが搭載されているが、現在地を示すカーソルは、常に、上が進行方向を示し、画面の地図が回転する。 地図を回すのと、全く同じ状況だ。 設定操作で、カーソル自体が回転して、常に画面の上が『 北 』を示し、画面の地図が回転しないモードにする事も可能なのだが、ほとんどの方の場合、地図が回転する設定で使用されている事だろう。

 私は、『 地図を回さない 』派なので、画面の地図が回転するのは、非常に違和感を覚える。 そもそも、カーナビを使うのは邪道だと思っている古い人間なので、わざわざカーナビを外しているのだが……


 この、地図をクルクル回す方々の中には、確かに、方向音痴の方は多い。

 加えて、特定の場所への経路が不得手な方も、かなり多く存在する。


 原因は様々あるとは思うが、私が思うに地図を回すと、『 起点 』となる方向… 東西南北が、常に変化してしまうところに、地理の理解が混乱する要因があるのではないかと推察する。

 常に、『 上 』を北に据えれば、人に説明する際にも『 暗黙の了解 』が出来る。 「 その交差点を右に回って… 」と言えば、脳裏の『 画面上 』では、東に曲がると理解が出来るのだ。 メモ用紙に略地図を描いて説明する場合も、上を北として作図すれば、説明を受けている方にも、理解度が増す。

 常に、北を示す北極星があるように、地図は『 上 』が北、が基本だ。 この基本の認知度の軽視も、経路説明が不得手な者たちの増加に拍車を掛けているのではないだろうか。


 自分で東西南北を確認する事無く、最近はカーナビが、その手間を代行している。

 やはり、自身で方向を確認しなくても良くなった分、方向に対する感覚が疎くなるのは必然の事なのだろう。


 ちなみに、妻は『 地図を回す 』派である。

 経路説明は、見事なまでの不得手。

 最近、免許を取得したばかりなので、車を運転したくて仕様がない様子だが、方向音痴を自覚している為、出掛ける際は、かなりの躊躇が狼狽うろたえとしてして表情に現れており、見ていて面白い。(笑)

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