第109話、我が娘なれど……

 この春から、中学生となった娘。

 先日、初めてのテスト週間を経験し、その試験結果が出た。


 学年順位、7位。


 ……え?

 今年の1年生は、全員で120名ほどと聞いている。

 その中で、お前…… 7位なの?


 ホントに、私の娘か? お父さん、勉強嫌いで… 学年順位なんぞ、下から数えた方が早かったぞ?( 拙作『 アホなら出来る! 』 第2話、馬鹿の定義、参照 )

 どうやら、頭脳明晰、名門私立高校卒 → 国立大学 法学部卒の妻のDNAを、完璧に受け継いでいるようだ。 女の子だから、アタマの出来だけは妻に似て欲しいと願っていたのだが、その望みは、見事に叶ったと言う事である。


「 でも、あたしよりアタマの良い子が、まだ6人もいるんだよ? 」

 いや、そうだケド……

 お父さんとしては、充分です。 感無量です。 ありがとうございました。

 ええモン、見せてもらいましたわ。


 親バカの続編となってしまうが…… 小学校低学年の頃から、「 この子は、賢いのかも? 」とは思っていた。 今回、順位と言う数字で表され、それは如実のものとなったようだ。 まあ、この後の勉強の仕方次第では、成績なんぞ、急降下も有り得る事だが……


 2年前に亡くなったお袋が、娘の幼児期に「 この子は、賢い 」と良く言っていた。

 自称、『 文学少女 』を語っていたお袋…… 小学生の頃は、学校の図書室の蔵書は全て読んだ、と豪語していた。 本人が言っているだけなので、何も信憑性は無いが、確かに博学なところを見せる機会が多かったお袋だったので、多分、事実なのだろう。 そのお袋が言ってくれたのは、正直、嬉しかった。

 娘に対しては、お袋は、異常なほどに溺愛し、良く可愛がってもらった。 娘の記憶にも、お袋と百人一首をしたり、一緒にお風呂に入れてもらった思い出が、沢山あるようだ。

 ……良かったな、お前。 親父にも、良く相手して( 買い物ごっこの、お客さん )もらえたし……


 娘から渡された成績表を、仏壇に供え、線香をあげた。

 微笑む2人の遺影に、各教科の点数を報告する。


 ……は? 全教科、90点以上だと……?


 国語は、100点。 私が、最も苦手としていた数学は、98点である。

 お前、ホントに、私の娘か……?(笑)

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