第108話、このキャラ、誰?

「 お父さん、見て見てぇ~ 」


 先月の始め頃だろうか、iPadを手にした娘が、PCをいじっている私の所へ来た。

 見せられた画面には、今風の、女の子キャラ。

「 ふ~ん…… 可愛いじゃん。 何のアニメキャラ? 」

 PCのモニターに目を移し、キーボードを操作しながら、私は聞いた。

「 あたしが作ったの。 まだ、名前を付けてないからさ、どんなのが良いと思う? 」


 ……は?


 これ、お前さんのオリジナルなん?

 マジか……!


 先月( 3月 )頃から、熱心にiPadをいじくっていたようだが、こんなイラストを創っていたとは……

 最近は、スマホにもイラスト制作用のアプリがあるらしいが、こんな仕上がりにまで迫る事が出来るとは、全くもって驚きである。 てっきり、ドコかのサイトからダウンロードして来たイラストだと思った。

 ……ん? ちょっと待て。 娘は小学生( 3月現在、小6 )だぞ? 学校でiPadを使って授業をしてはいるが、こんなイラストを制作出来る技術… 操作を、ドコで覚えた?

「 これ、あやちゃんが作ったのか? 操作は、誰から教わったの? 」

「 何となくやったら、出来たよ? 」

「 …… 」


 もう、お父さんは、ついて行けません。


 まさに、現代っ子なんだな、と思う。

 キーを押したり、タップをしたらどうなるか… なんてコトは、私にとっては、全く持って未知の世界であり、ある意味『 恐怖 』だ。 操作する前から、どうやったら『 元に戻れるのか 』が知りたくて、指先はタッチパネル上で、いつも躊躇する。

 だが、娘世代には、そんな不安は微塵も無いようだ。

 操作した結果、変化する画面… その『 アフター期待 』の方が、後の不安よりも大きいのだろう。 躊躇などはせず、とにかく問答無用でタップする。 その操作には『 早い者勝ち 』の意気込みすら感じ取れるのだ。

 妻もPCには精通しているので、目にも留まらぬ速さで操作を行う。 ブラインドタッチなので、私にしてみれば、手品をやっているに等しい。(笑)



 ワードをしていたPC作業の手を止め、改めて娘の『 作品 』を見てみた。

 ……確かに、線はフリーハンドっぽく、稚拙な部分はあるが、中々どうして、見事である。 まあ、同じようにWeb制作している方から見れば、一笑に付すイラストなのだろうが、私にしてみれば『 快挙 』に相当する。


 私に似たのか、幼稚園の頃から、絵を描く事が大好きな娘……

 人物イラストの制作におけるポイントは、既に『 伝授 』してあり、その中でも、最も重要な『 目には、必ずハイライトを入れる 』と言う極意を守っている所は、まずもって誉めてやろう。

 『 可愛い系の女子の場合、左右の両目を結んだ水平線は、顔の中央より、わずか下 』も遵守しているようだ。 『 アゴの下には、影を入れる 』・『 髪には、ツヤ光を入れ、色で全体を塗らない 』も出来ている……

 つまりは、私の好みの描き方・仕上げだから尚更、気に入ったのかもしれないが、良く出来た『 作品 』だと思った。


 それと、我が娘ながら、感心した点が1つある。

 ……全体を、ピンク系のカラーリングで統一し、制作してある点だ。


「 空は青いけど、あやちゃんが気に入れば、何の色だって構わない。 大好きなピンクだって、空に塗る事は出来るんだよ?  そうだな…… まずは、濃い色を最初に塗らない事だ。 薄い色… 『 ココは、明るい 』と思う色から、塗って行ってごらん? 」


 デザイン学校の色彩授業で習った手法は、説明してある。 ただ、小学生の娘に理解出来るかどうかは疑問だったが、何となく分かったらしい。 水彩とは違い、濃い色の上に、薄い色を重ねる事など、電子制作なら何の問題も無いが、このイラストは、明らかに淡い色の色調で構成されており、意図的にピンクの濃淡で基調を考えている。 小学生にしては、見事だ……!


 あまり褒めちぎると天狗になるので、かなり抑えて褒めてやった。

「 いいね。 デッサンもしっかりしているようだし、何と言っても、一目見て『 可愛い 』と思えるから上出来だ 」

 娘は、ご満悦の様子だった。


 夕食のお手伝いとか、風呂のお湯張りとか、玄関の掃除とか… これくらい熱心にやってくれると、お父さん、もっと嬉しいんだけどね。(笑)

 あと、何で、右腕に〇ンドエイドを貼ってるの……?



 *近況ノートに、『 作品 』をUP致します。

  親バカですが、見てやって下さい。(笑)

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