第104話、39年前の投稿漫画 選考結果
引っ越しをすると、色々なモノが出て来る。 それを、いちいち手に取って眺め、懐古などをするから片付けに時間が掛かるのだ。
それは分かっている。
充分過ぎるほど分かっているし、過去にも掃除の度、似たような状況に陥った経験がある方も、それこそ星の数ほどいる事だろう。
過去を懐古してしまうのは、人間の性なのかもしれない……
さて、何やら小難しそうな雰囲気の書き始めとなったが、何の事はない。 懐かしいモノが出て来たのである。
投稿漫画の最終選考結果が載った、週間少年雑誌……
この拙作エッセイでも、何度か話題にさせて頂いたが、私は以前、真剣に漫画家になろうと志していた時代があった。 小賞を受賞し、手塚 治虫先生に監修・手ほどきを受け、一時は担当編集者もデビューも決まっていたが、手塚先生の助言を受け、プロになる事は辞めた。
それからは、手塚先生の『 教え 』通り、自分が描きたいもの… 訴えたいテーマに沿っての創作・作画をしていたのだが、此度、出て来たのは、このカクヨムでも掲載している拙作『 萌黄色の五線譜 』の原作になった『 46本のインスツゥルメンツ 』と言う作品の最終選考結果。 投稿用31ページのストーリー漫画である。
この時の総応募数は、742編。 その内、3次選考後の最終選考に残ったのは6編で、私は、その6編の内の1編に残っていた。
……しかし、手塚先生の『 教義 』に従い、自分が訴えようとするテーマに沿っての創作だったので、編集部の『 言う事 』など、1ミリも聞いちゃいない。 最終選考までは残れても、当然、賞などを受賞する事は無かった。
この回の漫画大賞は大賞が選出されず、佳作も無し。 奨励賞を受賞した作品が1編のみだったので、最終選考に残った作品は、6編とも『 カット 』が小さく掲載された。 なので、記念にとってあったのだろう。
他にも、数10冊の週刊漫画雑誌が出て来た。 後日、『 正体 』を確認して、このカクヨムに掲載した拙作の『 元ネタ 』だったら、発表しようと思う。
選考結果で掲載されたカットは、漫画作品中で準主人公( 戸田先輩 )だったキャラのポートレート。 楽器を吹奏しているカットなので、マウスピースと楽器本体のマウスパイプが、途中まで描かれている。 知らない人が見たら、「 ナンじゃ、こりゃ? 」って感想だろう。(笑)
ほんの数センチのカットなのだから仕方ないとは思うが、もっと『 マトモ 』な構図のカットを選んで欲しかったものである。 手前味噌ながら、最終選考まで残れた作画技術水準が、全く感じ取れないのが、非常に残念でならない。 流行りばかりを追い続ける編集部の連中の鼻を明かしてやろうと、渾身の作画で描き切った作品だっただけに、悔しさが残った。
引っ越しと、実家の荷物整理では、他の投稿漫画作品の設定資料や原稿のコピーなども大量に出て来た。 以前の近況ノートでも、原稿の発表は、何度かさせて頂いていたが、作品なるものは、新しい記録ほど喪失しているものである。 『 46本の… 』は、比較的に新しい作品だけに、「 どこかにあるだろう 」的な感覚でいた為、思い返せば、一度も読み返した事が無い。 過去に同人誌関連の探し物をしていて、偶然に1枚のコピー原稿を発見した事があったが( 2021年9月23日の近況ノートに発表 )、この作品の全編コピーが出て来たのは、最終選考結果が出された当時以降、おそらく初めてだと思う。 40年近く前の作品の、全編コピー原稿発見だっただけに、荷物整理の手を止め、思わず読み返した。
……うぅ~む、青いのう~……(笑)
キュンキュンしとるわ。
まさに、青春群像… ってか?
ストーリー内容自体は、当時の審査員の先生方( 手塚治虫 氏、石井いさみ 氏、山上たつひこ 氏 )も、紙面で発言されていた通り、非常に重い。
ある意味、感動的だが… 絶対、少年誌には合わん。 まあ、この時代、青年誌は刊行されていなかったので、仕方の無い事なのだが…… 今だったら、どうなのだろう? 青年誌に投稿していたら、私の人生は大きく変わっていたのだろうか?
……野暮な事は、考えないようにしよう。
過去の時世を変える事は出来ない。
現在に満足している自分があるのだから、手塚先生の教え通り、プロにならなかった自分の、人生の岐路での選択は間違っていなかったのだ。
少年誌の裏表紙の背には、『 昭和60年発行 』とあった。
もう、そんなに経つのか……
青春の『 遺物 』を前に、しばし、当時の記憶に想いを巡らした、追憶のひと時だった。
*近況ノートに、選考結果発表のページに載ったカットの画像をUP致します。
次いで、本編の表紙( 『 扉 』と言います )のコピー画像を、連続で掲載させ
て頂きますね。
1ページ目で、プロローグ的に状況が動き、次の2・3ページ目で表紙となる、
当時としては珍しい( 時代的に、かなり異端的。 自分では、画期的だと自負
していた )構成で、しかも、無謀とも言える大胆な両開きのコマ落とし( 枠
線が無い画面 )にした作画の表紙です。
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