第96話、EV車について考えてみた

 近年、自動車界に進出して来たEV車。

 パワー不足や充電時間など、今のところ改善すべき課題は多いようだが、間違いなく未来的志向の乗り物である事は明白だ。

 だが、製造・販売戦略を誤ると、由々しき問題を巻き起こす要因ともなる。 既に『 問題 』が発生している国がある。


 某国のEV車販売が好調で、いわゆる『 バカ売れ 』しているが、その好調な売れ行きの裏で、実は、色々な問題が噴出して来ている……


 問題の1つは、他国との摩擦。

 自分たちの事しか考えない某国は、他人の家に、平気で土足で上がる感覚の為、他の国の経済保護に関する観点などに関しては、全く眼中に無い。

 つまり、他国の販売市場を席巻する事に関し、何ら『 遠慮 』が無いと言う事である。

 日本も、かつて世界のガソリン自動車販売市場に台頭し、そのトップを奪取した。

 だが、他国の販売網を蹴散らして販売を進めた訳ではない。 必ず、その国のトップ・ディーラーと共同・同調し、お互いの利益の配分などを考慮して来た。 なりふり構わず販売を伸ばしている某国とは、販売方針が違う。

 当然にして現在、某国は、他国からの反発を猛烈に受けている。


「 売れるから、売ってるんだ。 悔しかったら、我が国のクルマより性能の良いクルマを作ってみろ 」


 まあ、そんな言い分なのだろう。

 …実は、性能が良いから某国のEV車が売れている訳ではない。 後に記すが、日本を含む先進各国の場合、販売した『 後 』の事… 特に、ecoに関する問題点を考慮し、本格的な生産に踏み切っていないだけである。 後々、販売実績が逆転した時、某国のEV車は、悲惨な現実を直視せざるを得ない立場に立たされる事だろう。


 次なる問題は、EV車の製造上の問題だ。

 数年前、某国は、未曽有の水害に遭遇した。 水没して廃棄されたEV車は、相当数に上る。

 そう、EV車は『 水難事故 』に弱い……

 車両に搭載されているバッテリーには、ニッケルやリチウム、コバルトなどの希少金属が含まれており、リサイクルをしなければ資源の無駄遣いになることは言うまでもない。

 しかし、まだ某国には、リサイクル施設の環境が整っていない…… 後先を考えず、とにかく作る事だけしか考えなかった為、廃棄されたEV車両は、そのまま野原に大量放置されたままか、テキトーに『 処分 』されている。 もちろん、リサイクル率は限りなくゼロに近い。

 実は、EV車の製造の際に排出される二酸化炭素量は、非常に膨大で、ガソリン車製造の比ではない。 電気で走り、二酸化炭素を排出しないエコ車両は、生産されてから後の『 走っている期間 』で地球環境に貢献するはずなのに、すぐに廃棄されては、何の意味もなさない。 そんな事も分からずに、ただ単にEV車を増産・販売して『 我が世の春 』を宣言・謳歌している某国には、もはや、哀れみの感すら覚える。



 ごく近い将来、確実なる未来として、日本にもEV車時代が到来する事となる。

 某国にEV車生産の独走を許している理由は、先に記した通り、リサイクル環境の整備に、時間を掛けているからであるが、加えて、日本のトップ企業であるトヨタが、EV車なのか、水素車なのか… その舵取り方向の選択に、かなりの時間を掛けている状況も加味される要点だろう。


 水素の力で発電モーターを発動させ、得られた電気で走るのか……

 水素自体を燃焼させて走るのか……


 その選択にも、時間を費やしている。

 結果、トヨタは、後者である『 水素エンジンを主体とする経営戦略 』に踏み切ったようだ。 今まで培って来たガソリン車構造の、膨大に蓄積されたノウハウが応用利用出来る大いなる利点の存在があるからと推察される。 現在、あちらこちらに水素ステーションが建設されつつあるのが、何よりの証拠だ。 おそらく、政府との『 やりとり 』もあったのではないだろうか。 EV車の製造についても、他社メーカーと同じく、同時進行的に進めて行くようである。


 どちらにせよガソリン車は、あと10年で、そのほとんどの姿を消す事だろう。

 私としては、歓迎したい状況だ。 なぜなら……


 騒音をまき散らして走り回る『 暴走族 』が、いなくなるからである。


 一部の『 愛好者 』たちの存在は、残る事だろう。

 だが、長年、世間を騒がせた輩共は、間違いなく衰退する。

 某国の、EV車のように……

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