第94話、『 サントリー・ホワイト 』

 実は、前から気になっていた銘柄である。

 しかし、いつも「 また今度の機会に…… 」となってしまい、『 素通り 』に。

 なぜ、そんなシチュエーションになってしまうのか?

 答えは簡単だ。


 安いから。


 加えて、ドコでも売っている……

 そんな安易な理由で後回しになっていた銘柄ではあるが、遂に手にしてみた。

 ボトルデザインは、悪くない。 深胴のキャップも、回したカンジは良い。

 肝心の、味は……


 ……ん? おい、旨いじゃないか……!


 このテイスト・飲み心地からして、1000円を切る価格設定は、破格でもある。

 ハッキリ言って、意外だった。 スッキリした感覚に、アルコールの刺激も少なめである。 どちらかと言えば、ウイスキーを飲み始めた方にピッタリかも。

 私的にも、中々に、旨い。 しばらく、愛飲してみようかと思う。



 『 サントリー・ホワイト 』は、サントリー創業者である鳥井 信治郎 氏が、国産第1号のウイスキーとして、1929年( 昭和4年 )に発売した。 実は、意外と由緒あるウイスキーである。

 当時の名前は『 白札 』。

 発売当初は『 サントリー・ウイスキー 』と言う、まんまのネーミングだったが、白いラベルから『 白札 』と呼ばれるようになり、60年代初頭に『 ホワイト 』と改められた経緯がある。 日本のウイスキーの原点とも称される1本だ。

 国産の利点から製造過程の経費が節減出来、ブレンデッドである事も加味され、低価格帯を実現。 バーや小料理店などでの扱いが増え、量産に対応出来るようになったが為、現在までも低価格を維持出来ている。 よって、「 どこでも見かける、安い酒 」のイメージが浸透しているのだ。

 だが、『 安い酒 』だけの事で、100年近くも、この世に存在するはずが無い。

 その理由は、味わってみて納得した。


 『 純 』な味わいと、余韻の様に残るコク……

 それは、いつしか『 甘さ 』として感じるようになる。

 マジで、おススメである。


 実は、発売当初、ピート臭が強く、あまり売れなかったらしい。 当時の日本は、まだウイスキーの味に慣れていない時代…… 本場スコットランドのスコッチ・ウイスキーを、少々、意識し過ぎていたのだろう。

 そして、販売促進の為に、次いで発売されたのが『 サントリー・レッド 』だ。

 しかし、残念ながらこれも失敗……


 テイストに改良を重ねた結果、徐々に受け入れられるようになり、戦後に入ってからは洋酒ブームの追い風に乗って、一気に販売は向上。 現在に至る。

 発売当初のテイストとは、少々、異なるようだが、ジャパニーズ・ウイスキーの発祥点となった『 ホワイト 』。

 是非、お試しあれ……!



*どこでも見る事の出来る銘柄なので、近況ノートへの画像UPは致しません。

 ただ、よく見掛ける銘柄が『 当たり前 』のようにサイドテーブルなどに置いて

 あると、「 安物しか飲まないのか 」と言う推察よりも、「 ウイスキーが、好き

 ヒトなんだな 」と思われる傾向にあります。

 さりげなく、個人的嗜好を主張するのも、ある意味、一興かと。(笑)

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