第77話、ワインは、いかが?

 思いがけず、特記すべきワインと出逢った。

 ウイスキー談義が終了した矢先だが、『 良いモノ 』との出逢いは、紹介したくなるものである。 少々、前置きが長くなるが、1話だけ、お付き合い頂こうか……



 私は毎日、夕食の際に食前酒としてワインを飲んでいる。

 以前はビールだったが、『 下戸 』である私にとって、注がれたビールの『 3くち目 』からは要らない…… 要は、量的に多く飲めないのだ。

 だが、ワインは好きな量だけを飲む事が出来る。 しかも貯蔵は、低温であれば室内でも可能だ。 もう、20年くらい前からだろうか、食前酒としてワインをたしなむようになった。 冷やして飲むのが好きなので、ワインは白、と決めてある。


 普段は、コスト面から、チリ・ワインをデイリー・ワインとしているが、何らかの記念日やイベント日、『 機嫌が良い日 』などに、保管してある特別なワインを開ける。 その1本に『 ブルグライヤー・シュロスカペレ・アウスレーゼ 』と言うドイツ・ワインがある。

( 近況ノートに、画像をUP。 向かって右が、ブルグライヤー )


 実に、長ったらしい名前だが、ワインは基本的に『 産地 』・『 醸造所 / 醸造者 』・『 ブドウ品種 』・『 格付け 』等をラベルに印字する。 通称は、醸造所だ。

 原料となるブドウは、実に、様々な産地が存在するのだが、中でもドイツ南西部… ラインヘッセンとモーゼルの両地域に、東と西から挟まれた『 ナーエ市域 』と言う地区からは、非常に良質な高級種ブドウが収穫される。 このブドウから醸造される白ワインが、『 ブルグライヤー 』なのである。

 ドイツ・ワインと言えば、白……

 特に、先に記させて頂いたドイツ南西部は、歴史あるワイン醸造所が数多くあり、この地区から送り出されている糖度の高いドイツ白ワインは、世界的にも有名だ。


 ナーエの醸造所と言えば、聖アントニウス醸造所。 青い瓶にボトリングされた、別名『 幻のブルー 』は、あまりに有名な銘柄である。

 ラベル表記の最後にある『 アウスレーゼ 』とは、ドイツ・ワイン格付けの内、最上級クラスを、更に6等級に格付けした中にある『 級 』の呼び名で、『 カビネット 』、『 シュペトレーゼ 』に次いで、3番目に位置する。 かなり上質のワインに付けられる『 称号 』であり、非常に糖度が高く、甘い。 その上質ワインの基となる、高級ブドウ品種の名が『 リースリング 』だ。


 ワインにおけるブドウ品種の内、世界3大品種と言われるのが『 シャルドネ 』・『 ソーヴィニヨン・ブラン 』・『 リースリング 』である。 ワイン大国であるフランスでは、ブルゴーニュ地方原産のシャルドネ種より醸造されるワインが圧倒的に多いが、ドイツでは、リースリング種が最も多い。 ブルグライヤーは、このリースリングから醸造された、非常に高品質な白ワインなのである。

 価格的には、そんなに高いワインではないのだが、『 ナーエ 』・『 アントニウス 』・『 アウスレーゼ 』の3拍子が揃ったワインは、入手ルートが限られ、価値的には希少となる場合が多い。



 ……さて、最初にお断りさせて頂いた通り、前置きが長くなってしまったが、このブルグライヤーに勝るとも劣らないドイツ・ワインに最近、出逢ったのだ……!

( 画像、向かって左のボトル )


『 モーゼルランド・セント・ミハエル・リースリング 』


 またまた、長ったらしい名前となるが、まず目を引いたのがボトルを通しての、妖艶とも思える『 青 』だ。 ボトル自体が青い事もあるが、やはりブルグライヤーを連想し、思わず手に取って見てみた。

 ……何と、リースリング。

 フランス産ワインがひしめく商品棚の中にあった為、まさかドイツ・ワインがあったとは思わなかったのだ。 更に驚くべきは、裏ラベルにあった『 ナーエ 』の文字。 産地はモーゼルだが、ナーエにほど近い地区での醸造らしい。 格付けは『 クーベイアー 』とある。

 ドイツ・ワイン、4段階の格付けの内、最上級のプレディ・カーツヴァイン級には、先記の通り、更に6つの格付けがされているが、クーベイアーは、プレディ・カーツヴァインの、1つ下にある高級ランクだ。


 これは、試しておかなくては……


 入手ルートは、ブルグライヤーに比べ、安定しているようだ。 もしかしたら、手頃に楽しむ事が出来るドイツ白ワインとの、偶然の遭遇かもしれない……!

 妻の誕生日である先日、このミハエルを開けてみた。


 ……美味い……!


 かなりイケる。 お手頃価格だし、手に入り易いのが、最大のメリットだ。

 これは、私的には、かなり嬉しい出来事だった。 翌日、早速に2本をゲットに走ったのは言うまでもない。 1本は、イベントがあった際、すぐ飲めるように冷蔵庫へ。 もう1本は、ウイスキーと同じく、押し入れ内の『 貯蔵庫 』へ。(笑)


 下戸のクセに、洋酒については、かなりうるさい私なのである……

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