第75話、『 オールド・パー 12年 』
このウイスキー特集の再掲載を提案して来た知人から「 全部、飲みたくなっちゃうから、ここいらでいいよ? 先記の、お手頃価格『 ホワイト・ホース 』、800円台で販売していたから買っちゃったよ 」と連絡があった。(笑)
先回、そろそろ『 シメ 』か、と記させて頂いたが、う~む… 4~5回の予定だったはずなのだが、もう8回か。 このままだと、永遠にウイスキー談義となってしまう予感もあるので、やはり今回をもって最後としようかと思う。
ウイスキー銘柄紹介の最後は、「 初めて日本に入って来たウイスキー 」とされる『 オールド・パー 12年 』で、シメてみよう。
1873年、岩倉具視の欧米視察団が持ち帰って来たウイスキーとして知られており、その後、明治天皇にも献上された。 吉田茂や、田中角栄が愛飲した事でも有名な銘柄である。
ラベルにデザインされているのは、152歳まで生きたと言われるイギリスの農夫、トーマス・パー。 ドイツ、バロック期の有名画家ルーベンスによる肖像画と、彼の生没年がデザインされている。( 近況ノート参照 )
テイストとしては、スペイサイドにある、クラガンモア蒸留所の原酒がキーモルトとなっており、フルーツのような甘い香りと、まろやかな口当たりが心地良い。 水割りにしてみても、モルトバランスが崩れる事は無い。 非常に、完成されたテイストを持つブレンデッドウイスキーだと思う。
特徴あるボトルは、丸みを帯びた角を有する四角い黒いボトルで、その表面には、17世紀の陶製ボトルをイメージした『 クラックル・パターン 』と言う、ひび割れ模様がデザインされている。
安定感があるスタイルの為、斜めにしても起き上がり、『 倒れない 』事から、縁起物としての贈答品に人気だ。 ハッキリ言って、デカくて持ち難く、注ぎ難いボトルなのだが、妙に愛着が湧くルックスなのである。
ちなみに、スコッチの蒸溜所の8割近くが集まる最大産地がスペイサイドだ。 元々は、ハイランドの一部だったが、ハイランドがあまりに広大なことに加え、そのなかでも突出して蒸溜所が多く、しかも『 グレン・フィディック 』や、紹介にも挙げた『 マッカラン 』など、世界的な有名銘柄が多いことからスペイサイドが独立した地域として分類され、“スコッチの聖地”と呼ばれるようにもなった。
『 オールド・パー 』のキーモルトは、そんな『 聖地 』生まれの原酒である。 長年に培われた醸造技術にて、類稀なる上質なモルト原酒を用い、世に送り出されている。
近年、新たな銘柄としては、オールド・パー 『 シルバー 』が登場しているが、私的には、あまりにも『 飲み易い 』印象だ。 口に含んだ際の、アルコールの刺激感が少な過ぎると感じるが、ウイスキーを飲み始めた方なら、スッキリと楽しめ、ハマる銘柄かもしれない。 ポケット・サイズが出ているので、お試しあれ。
数週間に亘って連載させて頂いた『 ウイスキー特集 』、本編にて完結である。
勿論、ご紹介した銘柄以外にも、数多くの逸品がある。 珍しい銘柄を見つけたら、またご紹介をしたいと思うので、その際は、お付き合いの程を……
『 命の水 』に、乾杯!
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