第68話、『 ラガブーリン 16年 』

 ウイスキーの本場、スコットランドの本島から、西側にあるキャンベルタウンより、更に西側にあるアイラ島…… このアイラ島で醸造されたシングルモルト・ウイスキーを『 アイラモルト・ウイスキー 』と呼ぶ。

 ちなみに、シングルモルトとは、単一の蒸留所で醸造された事を指す。 『 モルト100% 』のウイスキーである事も含意しているので、トウモロコシやライ麦で作られる『 グレーン・ウイスキー 』を混合したものは、シングルモルトとは呼ばない。


 さて、このアイラモルト・ウイスキーだが、製造過程に特徴がある。

 野草や水生植物などが堆積し、長い年月を掛けて炭化した泥炭( 炭化のあまり進んでいない石炭 )を『 ピート 』と呼ぶが、ウイスキーの原料となる麦芽を乾燥させる際、このピートをいぶして麦芽を乾燥させる。 この製法工程によって、独特な香りが付くのだ。

 アイラモルトの場合は、その燻す量と時間が非常に多い為、かなりスモーキーな香りが麦芽に付く。 知らない銘柄を飲んで「 これは、煙たいな 」と感じるウイスキーの多くは、アイラモルト… もしくは、アイラモルトをキーモルトに使用したブレンデット・ウイスキー… と判断しても間違いはないだろう。


 先記の通り、アイラモルト・ウイスキーは『 煙たい 』味がする。 俗に言う「 ヨードチンキ 」みたいな味だ。 まあ、実際にヨードチンキを飲んだ『 変人 』は、いないはずだが……(笑)

 しかし、アイラモルト・ウイスキーのテイストに慣れて来ると、このクセのある味を、たまらなく旨く感じるのである。 『 通の味 』とでも称しようか……


 有名な銘柄として、アイラモルトの女王と言われる『 ボウモア 12年 』がある。 次いで、『 ラフロイグ 10年 』辺りか……

 それに次ぐ銘柄と言えば、やはり、このタイトルにある『 ラガブーリン 16年 』だろう。 デイリー・ショットとして愛飲している『 ホワイト・ホース 』のキーモルトとしても有名なので、今回、取り上げてみた。


 アルミの封印を外すと、コルクキャップが現れる。 アイラモルト・ウイスキーは、ほとんどの銘柄でスクリューキャップではなく、コルクキャップだ。 この『 ラガブーリン 』は、更に、紙の封印がされている…… やはり、『 それなり 』の銘柄は、それなりの仕様と言うワケだ。 その昔、サントリー・ローヤルを開ける時、封印替わりの『 リボン 』を切る際の、少々、優越的な気分になった心境を思い起こさせる。(笑)


 ショットグラスに注ぎ、ストレートで味わってみる。

 舌に広がる深いコクと、鼻に抜ける刺激的なピートの香り……

 シングルモルトならではの、ピュアな味わいも嬉しい銘柄だ。


 ちなみに、ウイスキーは、グイグイと飲む酒ではない。 勿論、この『 ラガブーリン 』も。

 ウイスキーたるもの、基本的にはショットグラスにて、ストレートで味わうものである。

 『 命の水 』と、称される所以だ。

 ロックにすると、徐々に溶ける氷により、数分後には、ちょうど良い比率の水割りが楽しめる。(笑) 勿論、この時はロックグラスを使用したいところ。 氷は、ロックアイスの大きめの氷、2~3個が良いだろう。 時間が経ち、溶けた氷がグラスの中で鳴る…… 至上の、ひと時である。


 蛇足だが、この『 ラガブーリン 』を含むアイラモルト系の封印は、アルミ封印を切ると、王冠状にキャップの「 蓋 」が残る。 『 クラウン 』と呼ばれる物で、何となく、捨て難いものだ……( 貧乏性 )



*近況ノートに『 ラガブーリン 16年 』の画像をUP致しました。

 『 箱 』が付いて来ると、それなりの酒である… との感があり、優越感に浸れますね。 まあ、いわゆる自己満足の世界ですが……(笑)

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