第56話、制服は必要か?
エッセイではなく、コラムのようになってしまうような……
でも、ふと思った事だ。
現在、日本国内の大部分の中学・高校で、制服があると思われる。 少数の学校では、着用が義務付けられている訳ではなく、制服はあるが、私服登校が認められている学校も存在する。
最近、Webサイトで、この学校制服についての存在意味を問う内容の投稿を見かけた。
「 制服は、無くても良いのでは? 」
おそらく、賛否両論だろう。
『 着ていく服を、毎朝、考えなくても良い 』との意見に対し、「 別に、そんなに悩む事、無いぜ? いつも着る服は大体、決まってるし 」と、答える生徒も多いかと思う。
また、『 貧富差を感じる事も無く、プライバシーを尊重できる 』との意見に対しても、飽和の時代を迎え、その見解が、全てに対して正しいのかどうかは難しい判断だ。
『 統一性が保たれ、常識的な視覚効果が得られる 』との見解に対しては、「 個人の自由を束縛しているし、新しい思考を育む環境を阻害している 」との意見がある。
まあ、言ってしまえば、何に対しても『 反論 』は存在する訳である。 更に言えば、反論に、時代との関連性はない。 良きも悪きも、現状を打破して改正を求む声は、いつの時代にも巻き起こるものである。
では、『 個人の自由 』・『 発想の阻害排除 』が叫ばれ始めてから随分と時が経っているが、革新的と言われた言動が様々な分野に推奨され、はたして現代は『 良い 』時代になったのだろうか?
……個人的見解から発言させて頂ければ、私的には『 NO 』だ。
むしろ、人間形成的視野に立って物申せば、逆行していると思える。
親だろうが、子だろうが、お構いなしの犯罪が横行し、しかも、殺人が増えているのが現状だ。 プライバシー無視の発言然り、公共性を尊重しない言動も然り、である。 個人的自由の尊重意見は、ただ単に、勝手気ままな人間を増やしただけの結果に終始してしまったように感じるのは、私だけだろうか?
自由とは、常識的範疇においてあるべきものだと、私は思う。
それぞれが自由奔放に生活したら、社会はどうなる?
規律を守り、粛々と生活している者たちがいるからこそ、『 自由 』に生活する輩が存在できるのだ。 テキトーに人生を謳歌している者は、己の考え方を改めるべきだろう。 自由に生活していたのではなく、『 させてもらっていた 』のだ。 いずれ、どこかで報いを受ける事になるだろうし、また、受けなくてはならない『 義務 』も存在する。
制服も同じ。
少なくとも、私はそう考える。
確かに、革新的な視野・思考を育むために、自由なフィールドは必要だろう。
しかし、全てが、本当にそうか……?
自由なフィールドを与えなければ、自由な発想は出て来ないのか?
もっと突き詰めて問えば、『 お膳立て 』をしなければ、ナニも出て来ないほど、現代の『 ワカモノ 』の積極性は皆無なのか?
私が言いたいのは、そこだ。
制服を自由化した程度で、若人の志向性は変わらないだろう。 むしろ、社会的には逆の状況になるかもしれない……
規律を緩和するのではなく、定められた範囲で『 自分らしさ 』を表現すれば良い。
「 え~? どうやって? 」
そのくらい、自分で考えろ!
敷かれたレールしか乗れないヤツに、未来を謳歌する権利など無い。
必要と思うなら、自分で思考せよ。
シンプルな制服の、どこに変化を付けて自己をアピール出来るか……
安直に考えれば、奇抜な『 付属品 』、他と違う着こなし、既存の大きさ・長さを変化させる、くらいだろうか。
……そんな『 付加 』的な考えでは、『 既存を崩した見せ方 』しか出来ないだろう。 言い切ってしまえば、『 だらしなく 』見えるだけだ。
スラックス・プリーツスカートを、綺麗にプレスしてみる。
たったそれだけの事で、『 どことなく 』見栄えがする。
シャツやブラウスの襟にアイロンを掛け、パリッとさせてみる。
それだけで、清潔感を身に纏う事となる。
シャツの胸ポケットに、『 安価ではない 』ボールペン( 金属製 )を挿してみる。
それだけで、知的に見える。
ブレザーやセーラーの胸ポケットから、チラッとハンカチを見せると品位が感じられる。 小さなメモパッドが見えると、勤勉な性格がうかがえる……
何をもって、そう感じさせるかは、人それぞれだとは思うが、『 ちょっと 』考えてみる… 少しだけ、さりげなく、他の人との差別化・独創感を目指してみる……
『 考える 』事が大事なのだ。
良くても悪くても、結果が全てを表すのではなく、結果に至った『 道程 』が大切なのだ。 新たなる視野も指標も、全て、そこから生まれる事だろう。
改革は、決して緩和から生まれるモノではない……
それと同じような思考を、社会的に置き換えてみるだけで、ヒトの社会は、随分と変わるだろう。 今あるフィールドを変える事が、全てにおいて有効な手段ではないと信ずる。 脈々と継続されて来た事柄を変えてしまう事は、私に言わせて頂くなら、完全なる愚策だ。 表面的な事しか見地せず、それを声高に叫ぶのは、愚かとしか思えない。
また、炎上しそうな論理を、ぶちかましてしまったようだ……
自分で納得が出来ない事に関して、異常に白熱してしまうのは、私の欠点だとは認知している。 あくまで、個人的な意見であると、ご容赦頂こうか。
制服の賛否とは、全く関係が無いが、真剣に漫画家を目指していた者から、制服に関する、制作的な『 アドバイス 』をひとつ……
写真でも良いのだが、今、とある少女が画面にあるとしよう。
彼女のバック風景は、夜の公園。 時計塔があり、針は2時10分。 夜なのだから、午前2時10分となり、真夜中である。
彼女が、普段着だったら、まあ、夜更かし程度の現状となるだろう。 しかし、これが制服を着ていたらどうなるか……
どことなく、事件性すら感じられるショットとなる事だろう。
制服は、そんな『 設定 』を、自ずから発信するのだ。 まあ、日本国内的な、限られた世界感である事は否めないが……
制服は、年齢を決定させる。 私学以外なら、地域的にもよるが、胸にある名札の有無で、中学生なのか高校生なのかも知らしめる事が出来る。
意識的に創作に使用すると、設定しなくても良い部分が多く、表現には最適なアイテムなのである。
私服が認められている学校では、他校の生徒が紛れ込んでも分からない。
制服は、学校に対する誇り・愛校心を誇示できる。
校名が判別出来る制服は、地域での安直な行動を抑制する効果がある。
制服は、未成年である事を指し、保護すべき対象である事を認識させる。
……長所を挙げ出したら、キリが無い。
制服は、日本の精神・風土が育てた『 文化 』だと思う。
文化は、消し去ってしまうものでは無い、と私は信ずる……
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