第54話、『 トリビュート 』

 3回連続の、音楽ネタ。

 現在(2023年7月現在)、『 ジャニーズ問題 』の渦中にあるミュージシャンにも言及する事となるが、過去の音楽シーンでの存在意義のみ、と認識して頂けたら幸いかと。



 第52話で、土岐英史氏の事について記述させて頂いた事に端を発し、懐かしくなってしまったので、その後、土岐さんの音を探し、色んな楽曲を聴いていた。

 土岐さんは、山下達郎のバックメンバーだった為、当然、達郎の楽曲を多く聴いたのだが、著作権の関係か、YouTubeでは達郎の楽曲は削除される事が多い。 曲に合わせ、南洋の島々の美しい映像とカップリングした、非常に秀逸かつ美しい動画もあったのだが、全て削除されている……


 そんな中、達郎の楽曲の内、名曲と言われる『 SPARKLE 』をカバーした動画を見つけた。

 この楽曲、実際には、非常に多くのカバー演奏動画がUPされている。 しかし、演奏技術・サウンド感・レコーディングの質など、当然にして原曲を越える事などは出来ないとは思うが、明らかに『 コピー感 』が前面に出てしまっている動画が多く、落胆する事が常だったのだが、この動画だけは違った。


 楽曲に対するトリビュート感が、ハンパない……!


 達郎らしい、クリアなサウンドは勿論の事、レコーディング・レベル、コーラスのミキシング・バランス、サスティーンにおける音の奥行き感まで、究極に再現されているのだ……!


 肝心な、達郎のボーカル部分は『 モノまね 』をしている訳では無いのだから、多少の違和感はある。 しかし、歌い方などからは、達郎へのリスペクト感も窺え、聴いていると違和感は、微塵にも消し飛んでしまう。 どうやら、トランペット・サックス等のブラスセクションの、完璧とも言えるな演奏技術の高さが、それを後押ししているようだ。

 私自身、管楽器吹奏を趣味としている為、ブラスセクションを多用する達郎の楽曲は大好きだ。 その嗜好感を、たまらなく突いて来る管楽器奏者たちの、演奏レベル・クオリティーの高さ……!

 完璧である。

 原曲から、コンピュータによるマイナスワンを制作してミキシングしたのでないかと疑うほどだが、土岐氏を敬愛して来た私が聴くに、アルトサックスを吹奏している奏者は、間違いなく実際に演奏をしている。 ドラムも、青山 純氏( 達郎のバックメンバー:故人 )に合わせたタムの叩き方をしているが、実際の演奏だ。 ベースも、伊藤 広規氏( 同じく、バックメンバー。 現在は、音楽プロデューサー )を模した奏法で、少々、オリジナルよりはチョッパー奏法が多いが、達郎フリークとしては、全くもって嬉しい限りである。


 リーダーらしいボーカルのアーティストは、海外で活躍している音楽プロデューサーのようだ。 メンバーは、ブラスセクションも含み、アジア系の日系奏者たちが多いようだが、とにかくもって、素晴らしいの一言に限る。


 ボカロ全盛のご時世となったようだが、音楽は『 ヒト 』が発信するメンタルなメッセージだと、私は信じる。

 AIでの制作も可能となった世の中だが…… 私は、聴いていて、どこか違和感を感じるのだ。 IT機器を通じて発信する内容と、IT機器から発信するのとは、明らかに違うと思う。

 聴くのは、『 ヒト 』なのだから。



 *近況ノートに、動画のアドレスを貼っておきます。

  是非、聴いてみて下さい。

 ( 必ず、ヘッドフォンにて、音量は中くらいより、やや『 大 』必須 )

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