第51話、セダンが好きだった……

 最近の車種から、セダンが減った。

 以前は、車と言えばセダン。 若い世代だと、スポーツタイプの車に人気があり、4ドアより2ドア車。 クーペタイプが主流で、後部トランクはハッチバック・スタイルがほとんどだった。

 しかし、中年以降はセダン。

 パワーやスピードよりも、ゆったり感・高級感が求められ、つまるところ、年齢に合った車に変わって行ったのである。 まあ、一部の方は年齢を重ねても、スポーツタイプやアウトドアタイプの車に乗っている人がいたが……


 そのセダンが最近、めっきりと姿を消した。 クーペタイプを除くと、典型的なセダンは『 絶滅した 』と言っても過言では無いだろう。

 代わって台頭して来たのが、ミニバンタイプの車である。 おそらく、現在の人気車種の内、そのほとんどがミニバンタイプではないだろうか。


 以前は、一目見ただけでモデル名が分かり、メーカー名も識別出来るほど、各車のデザインスタイルは個性的だった。 今や、フロントから見るとモデル名どころか、メーカー名すら判別出来ないほど、スタイリングは似ている。 まあ、製造過程におけるライン向上性に特化した経費削減は必須のご時世だし、AIを始めとするコンピュータによるスタイリングデザインが優先されている為、独創的なモデリングは除外視されている為である。

 つまるところ、『 金の掛かるスタイリング 』は、しないのだ。

 従って、右を見ても左を見ても『 ミニバン 』ばかり…… 私としては、非常につまらない。


 私が乗っている車は、正統派『 セダン 』。

 スタイリングのほとんどが直線的で、クラシックな雰囲気さえ感じる。 まあ、『 築25年目 』に入り、まさに『 クラシック 』なのだが。(笑)

 セダンは、直線的なスタイリングが多く、古くなっても存在感がある。 現在、流行りのミニバンのスタイリングは、『 新しさ 』オンリーだ。 25年経ったら、確実に『 時代遅れ 』感を覚える事だろう。 まあ、そんな長く乗る方もいないとは思うが……


 クラウン ロイヤル・ツーリング 2500V。


 新車で購入して、もう25年経った。

 以前、6年落ちの中古車を、20年乗った事が『 誇り 』の私だったが、あの頃は『 直して乗る 』時代だった。 修理ではなく、『 交換 』する時代の車が、25年以上走れるとは思ってもいなかった……


 ロイヤル・ツーリングというグレードも、現在は存在しない。 『 アスリート 』というスポーツ指向の名に、スタイリングと共に変わった。

 飽きの来ない、セダンと言うカテゴリの車…… 必要なのは、存在感と高級感・ハイスペック・静粛性。 セダンに、スポーティーさは必要ないと思う私は、やはり古いのだろう。 変貌を遂げた現在のクラウンが、それを象徴している。 ……私は、絶対に乗らない。


 クラウン史上、最後のハードトップモデル( 窓枠の無いモデル )。


 最後に冠したロイヤル・ツーリングの名に恥じず、2500ccの軽量スポーツエンジンは、今でも良く回る。

 ロイヤル・ツーリングの中でも、チルトアップ / フルオープンのムーンルーフ( 天窓 )を装備したGパッケージと言う希少モデルで、当時、流行っていたシャイニーホワイト( パールホワイト )のツートンカラーを、特注でオプションした( Gパッケージには、ツートンカラーのモデルは無い )。 メタリック塗装車だが、マンガンではなく、天然雲母の入った3層コート塗装で、ちょいとコスると、バカ高い修理代で鼻血が出る。(笑)

 ちなみに、同じモデルで、全く同じ塗装の車には、25年間の内、1回だけ、公道ですれ違った事があった。 ロイヤル・ツーリングではなく、ロイヤル・サルーンは、今でも時々、見掛けるが……


 23年間、購入したディーラーで修理などの世話をしてもらっていたのだが、もう交換部品が無く、現在は、会社近くの修理工房で面倒を見てもらっている。 ディーラーでは、交換する部品は新品か、新古品だ。 当然、数が無い。

 …実は、Webなどで検索すると、交換部品はいくらでも販売している。 勿論、中古品だが、使用には充分に耐えられるものである。 しかも、超安価。 ディーラーで見積もってもらった50万超えの修理代が、現在、お願いしている修理工房だと、何と、5万円だった。 これなら安心して、これからも乗っていられる。


 走行距離も23万を超えたが、さてさて… ドコまで走ってくれる事やら……



*近況ノートに、愛車の写真をUPしました。

 妻が命名した名前は『 クラリス 』。 まんま、やんか……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る