第47話、八重山諸島 旅行記【 番外編 】

 美しいビーチ・景観・お勧めドライブコースなどを、数編に渡って旅行記としてご紹介して来たが、最後にビーチ以外の『 食のスポット 』を、沖縄本島と石垣島から厳選してご紹介しようと思う。

 まあ、こういった趣向は旅行ガイド等の専門雑誌に掲載してあるので、敢えてご紹介する必要も無いかとは思うが、私が実際に行って来た『 味わい 』の話しなので、広告料無し、『 フカシ 』無しの、紛れもない『 食 』のスポットとしてお読み頂けたら幸いである。



『 第1 牧志公設市場 』

 沖縄本島の那覇市、国際通りの『 むつみ橋交差点 』から、アーケードのある『 市場本通り』を入った先にある有名な老舗市場。 魚介類を中心とした、沖縄ならではの食材が所狭しとあり、購入した魚などを2階の食堂に持ち込むと、格安で調理してくれる。

 石垣牛の専門店や雑貨店もあり、とにかく、安くて新鮮。

 魚介類は苦手な私だが、刺身と唐揚げに調理してもらった『 アカマチ( 沖縄3大高級魚の1つ:ハマダイの事 )』は、今までの人生の中で食した魚の内、最高に旨いと宣言出来るものだった。

「 公設市場を訪れなかったら、那覇市へ行った意味が無い 」とまで言われている市場で、周囲のアーケード商店街も、雑多な商店が立ち並び、見ているだけでも楽しい。 おそらく、誰もが衝動買いにて、両手が塞がる事だろう。 周囲の路地も含め、かなりの範囲に渡ってアーケードがあるので、雨天の場合の観光に最適である。



『 松原屋製菓 』

 第1 牧志公設市場から、国際通りへ戻った所にある沖縄の慶弔用和菓子の専門店。 店舗としては老舗で、饅頭1個から買える。

 格別に美味しいのが、沖縄銘菓『 サーターアンダギー 』。 色々な味があるが、シンプルなプレーンが最高。



『 さよこのサーターアンダギー 』

 サーターアンダギーの名店をもう1つ、ご紹介しよう。

 石垣島でよく滞在したホテルは、離島ターミナルの真ん前にある『 ホテル・ミヤヒラ 』だが、近くにある『 730記念碑 』交差点を『 大川 』交差点の方へ歩いて行くと、信号機の無い交差点の角に、この店がある。 観光ガイドにも必ず紹介されている名店で、とにかく美味い。

 昼近くに行くと、ほとんど売れ切れ。 売れ切れていても、材料と時間に余裕がある日なら、その場で揚げてくれる。 この『 出来立て 』が、幻し的に美味しく、イチかバチかの賭けで、ワザと狙って来店する者もいるくらいである。 私は偶然、食する事が出来たが、まさに絶品だった……!



『 月桃庵 』

 『 ホテル・ミヤヒラ 』内にある、石垣牛専門の老舗鉄板焼店。 ステーキは非常に美味しく、少々、値段は高くなるが、宿泊した時には必ず行く。

 実は、『 牛肉 』が苦手な妻だったが、この店の料理は食べれたのだ。 しかも、「 メッチャ美味しい! 」との感想。

 石垣牛は、牛肉独特の臭みが無く、歯応えもソフトで、味も非常にヘルシーな感じを受ける。 最初、「 絶対、美味しいから 」と、私が勧めて連れて行ったのだが、妻は懐疑的だった。 肉料理が大好きな娘は、ワクワク。

 以下、当時の様子をどうぞ。

 ↓

 妻と娘を、初めて連れて行ったのは平日だった。 店内に客は誰もおらず、私たち家族の貸し切り状態。 奮発して、200g \17500のフィレステーキを注文。 娘は、サイコロステーキ。

 シェフが目の前で調理する様を、娘はカウンター席で微動だにせず、じっと凝視。( 多分、気分的には、よだれダラダラ )

 最初に、とてもサイコロとは思えない、大きめにカットした娘のステーキが出来上がって来た。

 フォークに刺し、ひと口、頬張る娘。

「 …んぉうっ…! 」

 不思議な『 呻き声 』を発した後、無言でステーキを頬張り始めた。 それこそ、吸い込むように、次から次へと…


 ちゃんと、味わって食わんか! それ、サイコロステーキのクセして、\5500するんだぞ?


 次に、私と妻のフィレステーキ。

 焼き具合は、妻はメディアム。 私は、シェフは嫌がったが、ウェルダン。

 ひと口、食べた妻が、笑いながら言った。

「 ははは、コレはウマいわ! 」

 ……恐るべし、石垣牛。



『 シーサイド・ドライブイン 』

 沖縄本島、恩納村( おんなそん )の国道58号沿いにあるアメリカン・レストラン。 何と、24時間営業で年中無休。 沖縄が米軍統治下にあった1967年の創業で、当時では、沖縄初のドライブ・レストラン。

 外観は、70年代アメリカのレトロな感覚のドライブインで、テイクアウトもOK。

 ブロンドの髪をポニーテールにし、白のタンクトップと真っ赤なミニスカートに、ローラースケートを履いた女性が「 ハーイ! 」とか言って、車の運転側の開け放した窓に小さなテーブルを勝手に装着し、テキトーに焼いたパティを挟んだハンバーガーと、紙コップに入ったコーラを置いて行きそうな雰囲気満々である。( BGM:ビーチボーイズのサーフィンU・S・A )


 まず食して頂きたいのが、テイクアウトのスープ。 ホームメイドスープで、豚骨をベースとしたクリームスープだが、かなりイケる…! サイドメニューで、店内でも注文出来るのでオススメだ。

 店内には、レトロバイクやブリキ製の玩具が展示してあり、注文したものがテーブルに届くまでの間、見ていると楽しい。


 テーブルにあるメニュー表を見ると、炒飯が『 フライライス 』となっていたり、あんかけ焼きそばが『 チャーメン 』となっていたり、英語風の表記が面白く、思わず見入ってしまう。

 カットした牛肉・ピーマン・玉ねぎなどを、酢豚風に炒めた『 チャップステーキ 』が美味だが、特に旨いのが『 オックス・テール(牛尾肉)の煮込み 』だ。 牛肉の旨味を効かせた特製ソースも最高で、スープ・パンorライス付き。

 窓からは美しいビーチも見渡せ、稼働するジュークボックスから聴こえるオールディズが懐かしい。

 モーニング・ランチ・ディナー… 数回の旅行にて、全ての時間帯を利用したが、どの時間帯に訪れても満足のいくレストランだ。 しかも、海岸沿いに立地している為、周りには建物が無く、夜間に行くと、レトロなネオン看板が夜空に生えてインスタ映えする。(笑)

 国道58号線沿いにある為、地元の人たちは『 ゴーパチ 』と呼ぶアンティークなドライブ・レストラン……

 ひととき、時代を遡ったような感覚を楽しむのも、旅の一興か。



『 沖縄料理 南風( なんぷう )』

 沖縄料理店と銘打った店は、那覇市・市外… それこそ全国にも、数え切れないくらいある事だろう。

 那覇市、路地裏の一角…… 偶然に出会ったこの店の紹介で、この八重山諸島 旅行記を締め括ろうかと思う。


 ナガンヌ島の宿泊が無くなり、紹介してもらったホテルの裏通りに、この店はあった。 那覇市泊港の東、国道58号を那覇空港の方へ行くと、信号6つ目に『 泉崎 』と言う交差点がある。右折( 西の方角 )して、すぐの路地を左折。 50mほど先の左側に、小奇麗な店舗としてある。

 間口が狭く、少々、初めての客では入り辛い雰囲気があるが、まあ、それはどんな店舗だろうと同じ事だ。 遠慮なく、入って欲しい。(笑)

 暖簾には『 肉料理 』・『 魚料理 』とある。 まさにその通りで、何を注文しても美味しいのだ。 接客は年配の女性がしてくれたのだが、気さくで面白い方だった。 出してくれた料理の『 一味違う 』食べ方も丁寧に教えて頂き、旅の良い思い出となった。

 この時、娘は小学5年だったが、普段、あまり好んで食さない魚料理を、それこそ夢中で食べていた。 最後に、サービスでパッションフルーツを出して頂いたのだが、これがまた、最高に美味しかった。

 沖縄料理『 南風 』、万歳……!



 海は、信じられないほど美しく、抜けるような蒼さの空に、南国の太陽……

 観光ホテルではなく、リゾートホテルにてリラックス感を満喫し、

 旅を彩る『 食 』に、まさに時を忘れる。


 沖縄~八重山諸島は、一度は訪れて欲しい『 南国 』である。



                  八重山諸島 旅行記 / 完



 *近況ノート最後の画像は、八重山諸島で一番美しいと思った竹富島の

  『 コンドイビーチ 』の情景です。

  いつの近況ノートだったか忘れましたが、コンドイビーチのあまりに美

  しい情景に、呆然と立ち尽くしている娘の後ろ姿の写真をUP致しまし

  たが、娘が見ていた情景が、これです。


  頬を撫でる、柔らかな潮風。

  耳に聞こえるのは、小さく足元に寄せる、かすかな波音のみ……

  時は、止まったかのような静寂があり、そこはまるで別世界の様な

  美しい所でした。

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