第44話、八重山諸島 旅行記『 西表島 』編

 次に紹介するのは、西表島( いりおもてじま )。

 西表島と言えば、北にある上原港から入島する観光客が圧倒的に多い。 名だたるビーチが、島の北側に集中しているからである。 カヌーによる体験アクティビティ等の拠点も上原港近辺に多い。

 …しかし、私は、敢えて南の玄関口である大原港からの入島をお勧めする。

 理由は3つ。


  1、観光客が少ないので、レンタカーが借り易い

  2、連絡船の乗船チケットが安い

  3、航路・天候等の理由により、上原港行連絡船は、欠航する事が多い


 3の理由に関しては、台風が来る夏シーズンは、要注意だろう。 潮流の関係で波が高くなり、まず、欠航する確率が高い。


 さて、観光の手段だが、西表島は、島の中心と西側は、ほとんどがジャングルである。 だからこそ、イリオモテヤマネコも生息しているのだが…… 観光は、レンタカーを借りて廻るのが賢明な島だ。

 どのみち、水牛車で有名な観光地『 由布島:ゆふじま 』への移動手段は、レンタカーで行った方が良い。 バスも走ってはいるが、本数が限られている。 タクシーは高いし……

 数日前くらいから、レンタカー店へ予約を入れておくと、港まで、店名を書いたプラカード持参で迎えに来てくれる。 ただし、何時の連絡船に乗船して行くかを伝えないと、迎えに来る事が出来ないので、事前に各島々への連絡船の時刻表を入手し、前もって調べておかなくてはならないので、注意が必要だ。


 大原港にてレンタカーに乗り換え、一路北へ。 由布島に向かう。


 膝下くらいの遠浅な海が広がっており、そこを牛車に乗って渡る。 300mほど西の沖合にある島が、由布島である。 西表島観光の名所で、観光ポスターには必ず掲載されている場所だ。


 水牛車上では、御者の方の三線( さんしん )演奏による民謡の弾き語りが聴ける。

 乗れる水牛車は、その時によって違うが、年配の御者だった場合、本格的な民謡が期待出来る。 撮影は自由。


 これぞ沖縄、と言うシチュエーション。

 素朴な三線の音色と、年季の入った歌声。

 水牛の足元からは、踏み入れる遠浅の海の音……


 三線の音色を聴きながら、牛車の揺れに世俗を忘れ、ぼんやりと海を眺めている時間は、まさに、格別なひと時と言える。


 ( 近況ノートに、水牛車上から撮影した画像を添付致しましたが、この時、雨雲が出て来てしまいました…… 残念ながら空の青さと、遠浅の砂の白さは、写り込んではいません。 水牛の向こう側に見える対岸が、由布島です )


 由布島を後にし、西表島の北の玄関口『 上原港 』へと向かった。

 ちょうど昼時だったが、昼食を取る予定にしていた食堂( 社員旅行の際に寄って食べた八重山そばが、メッチャ美味しかった店 )が休業中だった。 由布島への渡しの、ほぼ、真ん前にあったので都合が良かったのだが、休業中では仕方が無い。 上原港の辺りに行けば、何らかの店があるので、とりあえず向かった。


 上原港の真ん前に、食堂を発見。 『 デンサー食堂 』とある。

 沖縄から八重山諸島各地でよく見る、コンクリート建ての造り。 入口は、飾り気が全く無いアルミサッシ……

 フツーだったら入り難い雰囲気が満々なのだが、もう慣れた。 与那国島の店に比べれば、こちらの方がずっと『 店 』らしい。(笑)  何の躊躇も無く開け、入店。


 ……後から分かったのだが、結構に有名な店だったらしい。 まあ、店の数も少ないし、港の真ん前にあるので、観光客は良く行くのだろう。

 八重山そばが美味しかった……!


 県道215号を北上し、『 星砂の浜 』へ。

 八重山諸島 竹富島( たけとみじま )に伝わる星砂伝説は有名だが、最近は海洋汚染や乱獲により、八重山諸島近辺での星砂は激減しているそうである。

 星砂の正体は、有孔虫の殻。 最初は、綺麗な星の形をしているのだが、波で洗われ、角が擦り減ってしまっているものがほとんどだ。 それでも五角形の『 痕跡 』があり、浜で拾い集めていると、結構に楽しい。

 12個持っていると、異性と良い巡り逢いが出来るそうで…… この辺り、南の島のロマンチックな一辺と言ったところか。 私は、20年以上前、与論島へ行った弟夫婦に土産で貰った事があり、今の妻とも、良い縁に巡り合えたと思っているので、前回の社員旅行の際は、娘の為に拾い集め、小さな瓶に入れて渡している。 今回、娘は、仲の良いクラスの友達の為に、拾ってあげたいのだそうだ。


 星砂拾いは楽しいが、結構、大変である。 ドコに落ちているのか…… 1~2mmの小さなモノだけに、見つけるのが一苦労なのである。

 干上がっている浜では、見つけ難い。

 穏やかな波打ち際… 海水が少し流れている小さな岩の窪みに溜まった砂を、人差し指の先ですくってみる。 指先に付いた砂をよく見ると、星型をしている『 砂 』がある。 それが、星砂だ。

 小一時間も探しただろうか、どうにか12個を拾い集め、娘は満足したようだった。 持って来た小さな瓶( 若干の海水が一緒に入るので、キャップ付きの物が良い:100均ショップにある )に入れ、ご満悦である。


 西表島最北端にある『 星砂の浜 』は、数ある八重山諸島のビーチの中でも、星砂が拾える浜として有名だが、本当は、この浜の沖合、数キロにある『 鳩間島( はとまじま ) 』が、知る人ぞ知る星砂のメッカだ。

 石垣港から連絡船も出ているが、午前中に上陸したら、帰りは午後の便しか無く、1日を鳩間島で過ごさなくてはならない。 よって、観光客はあまり行かないので、星砂も採取されていない… つまり、沢山ある、と言う訳らしい。

 個人的には行ってみたかったのだが、天候が悪かったら最悪である。 合羽を着て、丸1日を過ごす事になるのだ……

 よって、今回の予定からは削除した。


 この『 星砂の浜 』の東側海上… 『 鳩間島 』との中間地点に、幻の島『 バラス島 』がある。

 潮の満ち引きによって、干潮の時だけ100mほどの真っ白な砂洲( 全て、サンゴの欠片 )が、紺碧の海原に突如、出現するのだ。 従って、この『 バラス島 』は地図には存在しない。 定期便も無い為、ツアーで行くしかないが、砂洲が見えている時間帯は、上陸する事が出来る。

 潮が満ちて来る時は、砂洲が段々と細長くなり、最後には水没するが、波が穏やかな海域なので、写真に獲ると、まるで海原を歩いているような『 トリック写真 』が撮影出来る。 よくCMなどの撮影に使われる観光スポットだが、ここも時間的に無理があったので、今回の予定からは外した。


 3時を回ったので、連絡船に乗る為、大原港へ戻る。

 燃料を給油してレンタカーを返却し、連絡船乗り場で待っている間、港の土産物店にて『 IRIOMOTE 』Tシャツを買った。 左胸に、イリオモテヤマネコのイラストとロゴが、ワンポイントで入っており、中々に可愛い。

 大原港から連絡船で石垣島港へ戻り、ホテルへ戻った。


 実は、与那国行きの旅行の際、初めて飛行機に乗った娘だったが、船も、今まで乗った事は無かった。 今回、娘にとっては初乗船。 連絡船は小型なので船酔いを心配したが、終始、ゴキゲンだった。 しかも船内ではなく、船尾にあるオープンデッキを『 ご所望 』。 時々、波飛沫が掛かるが、歓声を上げて騒いでいた。(笑)


 →続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る